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#エッセイ
申し訳ないのはこっちです
1.
どんなに超絶急いでいても、駅の改札は開かない時は開かない。特にsuicaにお金が入っていない時はなおさらだ。でも人は焦れば焦るほど、当たり前の事実から目を背けがちになる。何かの間違いでは?となんどもセンサーにカードを叩きつけ、貴重な数秒が流れていった。
この日はイラスト持ち込みの営業の日で、時間が迫っていた。その会社はなんども電話してようやくアポの取れたセンスのいい憧れの会社だった。
「私」を構成する、「私」以外のなにかについて
「私」というのは、とても曖昧な存在だ。
0歳の私、10歳の私、20歳の私、今の私。全部同じ「私」であるはずだけど、本当にそうか?の保証はどこにもない。
頭の中におぼろげに残るいつかの記憶だって、それが本当に存在したものかどうか、確かめる術もない。もはや記憶から抜けおちてしまったことは、“はじめからなかったもの”と変わらない。
初めて食べたケーキの味。小学生のころのお気に入りの靴。人生で初めて
さよならバックパック。と、母でない私
最寄駅前のミスタードーナツでこれを書いている。
深夜1時まで開いているから、夜どこかにふらっと出かけたくなると、ついここへ来てしまう。
カフェインレスコーヒーがあるのもいい。食べようと思っていたエンゼルクリームは売り切れていたから、2番目に好きなゴールデンチョコレートにした。
カウンター席には、男性の1人客が3組。均等に間を空けて座っている。電車の座席もそうだけれど、こういうとき、誰かと隣り