速い スピードが 光速と言って差し支えないだろう 誰も咎める者はいない 速すぎるからね 振動もないから 止まっているようにさえ感じる 誰かが教えてくれなければ 誰も教…
空気に線を描くには どのペンにしよう そもそもペンなのか 色を選ぶ前に 空気を前に 佇んでいる
鮮やかな緑の線は 釣り糸よりもずっと細いのにもかかわらず 暗闇であることに助けられ 制限なく動くその姿を 僕たちに見せつけるのでした 科学者が偶然にも生み出したのか…
静寂のなかで弾ける ミクロのバブルは 真の静寂が何かを 教えてくれたんだ 以前は目を開けていたら その音に気づくことは出来なかった 微かに 震える空気は ゆっくりと …
やがて花は 散るという やがて花は 枯れるという やがて花は 土に還るという 愛でる瞬間は あなたが決めて 「やがて」を イヤホンケースに入れて 旅にでましょう …
ゆめを見ている ゆめの中にいる 満月は空に浮かんでいるのだと思っていたんだけど 小さな、君のコップに 浮かんでいたんだ 炭酸水なのか サイダーなのかは 分からないの…
眠りの狭間に 忘れものをしたと 手を伸ばすのだけど 古いホテルのエレベーターのように アナログな音を鳴らして ゆっくり 落ちてゆく 望んだはずはなく 人は眠りとともに…
彼はなにを見たのか? 彼はなにを考え続けていたのか? ピアノの黒鍵は白鍵に埋もれ 音波は斜塔の傾きを生み 風が吹き 厨房では料理長にネズミが顔を出しウィンク 最後の日…
砂漠を転がったわけでもないのに 限りなく丸い この球体は 砂を纏い 薄い膜を張っているようにみえる 触れると砂はサラサラと溢れ落ちるのに いままでそうしてこなかった …
大きなお寺の塀を乗り越えて 葉を目一杯に伸ばす木々たち 濃緑の日傘の下を 青年は歩いている 背は高く 華奢な左手には 昭和の医師が持つような ラクダ色をした鞄 目指す先…
煌々と彼の鼻筋を照らすランタンは いまが真夜中であることを改めて思い出させる 左ひと差し指を立てたまま 現代のモーツァルトが誰であるのかを 皆に言って聞かせている …
横顔 ストローは水面から顔を出し 彼女をじっと見つめている アナログな音をしたバイクが 軽快に駆けていくのを 彼女はストローの視線を避けるように眺めていた 僕は申し…
ある日の土曜 車窓に張り付く緑の虫が斜めに歩けば 遠くに望む山々を登るように見えた 平日の喧騒は トンネルを抜けた瞬間ピタリと止んだ イヤホンから流れる音楽を Jam…
一瞬 急な旋回に驚き 思わず尻もちをつきそうになったんだ いや、いまなっている最中だ 出来ることなら 余裕を見せたいよ スローモーションになる景色 手を伸ばしたはずが…
100年 息子が生まれた 何事もなければ彼はこれから100年ほど生きることになる 何事もなければと言ったが、死なずとも人生において何事もないことなどない 当たり前のこと…
エムラスタ
2024年3月13日 18:50
速い スピードが光速と言って差し支えないだろう誰も咎める者はいない速すぎるからね振動もないから止まっているようにさえ感じる誰かが教えてくれなければ誰も教えるものなどいない速すぎるからね衝撃とともに停止することは避けたいゆっくりと 時間をかけて まるで卵が孵化するように ゆっくりと 風のはじまりから カーテンを揺らすまで 一瞬のように ゆっくりと 時を駆けて ゆっくりと 止めよう
2023年9月17日 23:37
空気に線を描くにはどのペンにしようそもそもペンなのか色を選ぶ前に空気を前に佇んでいる
2020年10月11日 01:43
鮮やかな緑の線は釣り糸よりもずっと細いのにもかかわらず暗闇であることに助けられ制限なく動くその姿を僕たちに見せつけるのでした科学者が偶然にも生み出したのかまたは僕の心の奥底の記憶の波形なのか速度は一定でありまぶたを閉じて開けたときさえ違和感なく流れ続けるやがて終わりの時それが分かることが不思議だただはっきりとまもなく終わることを認識しているあなたが選び僕が選
2020年6月9日 02:25
静寂のなかで弾けるミクロのバブルは真の静寂が何かを教えてくれたんだ以前は目を開けていたらその音に気づくことは出来なかった微かに震える空気はゆっくりとあなたのもとへ向かいました遠い遠いあなたの場所へ時には偶然、赤いバスに出会い峠を上り窓から見える青々とした絨毯に銀色の糸の束を放り出したような美しき滝の音にかき消され旅した震える空気は消えることもあります
2019年12月28日 02:00
やがて花は散るというやがて花は枯れるというやがて花は土に還るという愛でる瞬間はあなたが決めて「やがて」をイヤホンケースに入れて旅にでましょう聞こえますか?花は散り花は枯れ花は土に還る愛でる瞬間はあなたが決めていつか聞くから「やがて」の美しい音色を。
2019年4月19日 00:37
ゆめを見ているゆめの中にいる満月は空に浮かんでいるのだと思っていたんだけど小さな、君のコップに浮かんでいたんだ炭酸水なのかサイダーなのかは分からないのだけども泡が星のようにね星ではないんだけどねそう見えたんだ起きた時に拍手が聞こえたらゆめを見ていたのかもしれないねそれとも、ゆめの中にいたのかもしれないねどちらにしてもゆめゆめゆめ果てしない広
2018年12月26日 01:03
眠りの狭間に忘れものをしたと手を伸ばすのだけど古いホテルのエレベーターのようにアナログな音を鳴らしてゆっくり落ちてゆく 望んだはずはなく人は眠りとともに齢をとる皺は静かに深く記憶をレコード盤に刻むように 眠らずの世界があるならそこは涙で溢れていることでしょう例え海の底から見る星々が美しくても私は忘れものを置いて今宵また眠るでしょう #詩 #現代詩 #自由詩 #
2018年7月7日 00:22
彼はなにを見たのか?彼はなにを考え続けていたのか?ピアノの黒鍵は白鍵に埋もれ音波は斜塔の傾きを生み風が吹き厨房では料理長にネズミが顔を出しウィンク最後の日に魂は地へ それとも天へリンゴが落ちたリンゴが落ちた あなたと手を繋ぎ抱き合い月を見よう #旅する日本語 #恋草 #詩 #現代詩 #自由詩 #ニュートン #リンゴ #ネズミ #ピアノ #料理長 #月 #万有引力の法則
2018年7月3日 23:01
砂漠を転がったわけでもないのに限りなく丸い この球体は砂を纏い薄い膜を張っているようにみえる触れると砂はサラサラと溢れ落ちるのにいままでそうしてこなかったどれだけの月日を過ごしてしまっただろうそっと手のひらにのせ薄い膜に沿って指を転がす浮かびあがるのはひんやりと肌に馴染む鏡のように私を映す限りなく丸い球体 #詩 #現代詩 #自由詩 #砂 #球体
2018年7月2日 23:47
By Your Side岩に生えた苔から一雫何百メートルを旅して緑に囲まれた透き通った小さな水たまりに波紋は広がる静けさのなかで他に動いているものはなく波は水たまりを彩る心が揺れているあなたはそこにいただけ
2018年7月2日 01:09
大きなお寺の塀を乗り越えて葉を目一杯に伸ばす木々たち濃緑の日傘の下を青年は歩いている背は高く 華奢な左手には昭和の医師が持つようなラクダ色をした鞄目指す先には1923年に建てられた赤レンガ倉庫がある真っ青な空に屋根はくっきりと輪郭を残しまるで浮かんでいるようにも見えるそして青年もまた赤レンガにくっきりと輪郭を残しまるで浮かんでいるように見える赤レンガ倉庫が彼の職場だ
2018年6月27日 01:42
煌々と彼の鼻筋を照らすランタンはいまが真夜中であることを改めて思い出させる左ひと差し指を立てたまま現代のモーツァルトが誰であるのかを皆に言って聞かせている一人はコーヒーを片手に反論するタイミングを探しながら一人は手枕に頭を沈め彼の動く右手を追いながら一人は写真で見るアドリア海のような色をしたテントの中央にかかったランタンが照らす彼の鼻筋を眺めながら 私は質問した 「
2018年6月24日 21:33
横顔ストローは水面から顔を出し彼女をじっと見つめているアナログな音をしたバイクが軽快に駆けていくのを彼女はストローの視線を避けるように眺めていた僕は申し訳なく思いストローを自分の顔に向けた水滴の上半分をカットしたような不完全なコップはたくさんの完璧な姿を持つ水滴を身に纏っていた彼女の横顔は美しい #詩 #現代詩 #自由詩 #彼女 #横顔 #アナログ #バイク #コップ #ス
2018年6月23日 20:55
ある日の土曜 車窓に張り付く緑の虫が斜めに歩けば遠くに望む山々を登るように見えた平日の喧騒はトンネルを抜けた瞬間ピタリと止んだイヤホンから流れる音楽をJames BlakeからKeith Jarrettへと変えた100mほど先を新幹線が飛んでった車内アナウンスがピアノに乗って僕が生まれた場所へ20代の頃はホームシックがどこかにあってまるで少年のあの日に帰るように思えたけれ
2018年6月22日 21:30
一瞬急な旋回に驚き思わず尻もちをつきそうになったんだいや、いまなっている最中だ出来ることなら余裕を見せたいよスローモーションになる景色手を伸ばしたはずが指先から溶けていくように力が抜けてお尻の先はヨセミテの大地が広がるかのようならば身を委ね無限や永遠が広がる頭上を見つめる君は驚いていたいまは笑っている僕はずっと目を開けていたはずなのに君は驚いていたいまは笑って
2018年6月22日 11:18
100年息子が生まれた何事もなければ彼はこれから100年ほど生きることになる何事もなければと言ったが、死なずとも人生において何事もないことなどない当たり前のことだが、私が死んだ後も彼は生き続ける私と妻との想い出を胸に、生き続ける彼が生きる最後の年の頃には、車はやっと空を飛んでいるだろうか?傘という原始的な雨避けは違う形に進化しているだろうか?人間が持ついくつの悩みを解決しているだろう