青年

大きなお寺の塀を乗り越えて
葉を目一杯に伸ばす木々たち
濃緑の日傘の下を
青年は歩いている
背は高く 華奢な左手には
昭和の医師が持つような
ラクダ色をした鞄
目指す先には1923年に建てられた赤レンガ倉庫がある
真っ青な空に
屋根はくっきりと輪郭を残し
まるで浮かんでいるようにも見える
そして青年もまた
赤レンガにくっきりと輪郭を残し
まるで浮かんでいるように見える
赤レンガ倉庫が
彼の職場だ

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