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芸術文化(なんでもござれ)

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映画、美術、音楽、本などファッション以外のこと……
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2023年 舞台まとめ

2023年 舞台まとめ

2023年の目標として「月1回舞台に行く」を掲げていたけど、やはりこれまで舞台に縁のなかった私なので、当然(?)未達。

とはいえ、年に1回観れば良い方な舞台ビギナーとしては、2023年のうちに5回観れたのは成長と言って良いのではないでしょうか。
これらの記憶も、数年後に振り返るためにまとめておこう。

『ハリー・ポッターと呪いの子』(1月)

現実では起こり得ないと思っていたことが、次々と展開さ

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2023年 果てしなき映画ベスト10

2023年 果てしなき映画ベスト10

2023年はここ数年に比べてあまり映画を観なかった。なによりも体調を優先した甲斐あり、2023年は風邪や感染症に罹らずに済んだ。映画を観るにも体力が必要だからね。そんななか観た映画のうち、映画にやみつきになった作品ベスト10。

【条件】
・映画館で鑑賞したものであれば新旧問わない
・2023年時点で初見だった作品に限る

①『私たち』(2021)

パリ郊外で暮らす人々を撮影した記録映画。監督ア

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2023年下半期 展覧会まとめ

2023年下半期 展覧会まとめ

2023年下半期の展覧会まとめ。

※上半期はこちら👉

「A=Z」

@スパイラルガーデン

アンリアレイジがコロナ禍の2020〜2023年に発表したコレクションを展示。いつかは行ってみたいパリのファッションウィークを無料で疑似体験して大興奮。デザイナーの森永邦彦の言葉も壁面パネルに掲げられていた。

世界的デザイナーになるためには、進んで孤独になるほどの強い意志が必要なのだろう。

「ソール

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2023年上半期 展覧会まとめ

2023年上半期 展覧会まとめ

2023年上半期に足を運んだ展覧会のまとめ。

「雲をつかむ : 原美術館/原六郎コレクション」

@原美術館ARC

展覧会タイトルである「雲をつかむ」というのが、文字通り気象に関するものではなく、慣用句の方だという時点でまず面白い。私は現代美術を通ってこなかったので、ひとつひとつキャプションボードを見ながら鑑賞。どの作品も、純粋に色使いやフォルムに魅力を感じたあと、さらに作者の意図や解説(とい

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映画『ナイト・ウォーク』

映画『ナイト・ウォーク』

※こちらは友人たちと制作してる映画ZINE「EVERYBODY」のInstagramに寄せた、山形国際ドキュメンタリー映画祭の日記&寸評です。

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ソン・グヨンの『ナイト・ウォーク』は、詩集における挿絵がそのまま映像になったような作品。65分間の無音の中、夜の風景と詩が展開されていく。この静寂の世界にこそ、豊かな音が広がっているのではないか。無音は知覚を刺激する。視える風

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エリック・ロメール オールナイト上映@新文芸坐

エリック・ロメール オールナイト上映@新文芸坐

2023年4月22日、エリック・ロメールのオールナイト上映。はあ〜楽しかった、楽しかった!楽しすぎたので忘れないように日記で残しておこう。

新文芸坐はかなりの頻度でロメールのオールナイト上映を組んでくれていて、私はその度に行くようにしている。ヴァカンス映画の巨匠と称されるほどに陽光や海の煌めきが印象的なロメールだけど、深夜に観るのが格別に良くて。やっぱりロメールは孤独にどこまでも寄り添ってくれる

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2022年 果てしなき映画(特集上映)ベスト10

2022年 果てしなき映画(特集上映)ベスト10

※見出し画像はラフォーレ原宿にあったアパレルブランド・Charles Chaton内で開催された『気狂いピエロ』タイアップ展示。

2022年の旧作映画ベストは本当に決められない。なんでも即断即決な私が音を上げたからよっぽどだ。リバイバル上映だけでなく、映画祭もかなり充実していた。リバイバル上映については、とくに私が人生を捧げたいと思うほど愛してやまないこの4人全員が特集を組まれた異常事態。

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2022年 果てしなき映画ベスト10

2022年 果てしなき映画ベスト10

2022年は忙しいながらもたくさんの映画に出会えた一年だった。2023年1月が終わってしまう前に、「この映画に出会うために、映画を見続けてきたのだ」と思えた作品を10作挙げる。

①『恋するアナイス』(2021)

曖昧なまま流されていくのではなく、その時その時の明確な欲望のもと忙しなく駆け回るアナイスのなんと魅力的なことか。欲望の実現のためにはちょっとした嘘もついてしまうけど、自分の心にはどこま

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2022年下半期 展覧会まとめ

2022年下半期 展覧会まとめ

2022年下半期に足を運んだ展覧会を簡単に記録する。

●7月
「アングラ・アヴァンギャルド 挑発・革命・斬新 ー時代を変えたポスターたちー」

@Bunkamura Boxギャラリー

Bunkamura1階にあるギャラリーは、通りすがりにふらっと入れる小さい美術館(本当に一部屋分の大きさ)という感じで、ゆっくり楽しむ時間の余裕はないけど美術を愛する気持ちは忘れたくないときに救いとなる場所だ。ア

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2022年上半期 展覧会まとめ

2022年上半期 展覧会まとめ

私の人生は、芸術文化なしにはありえない。

昨年は仕事に全力を尽くしすぎて(それはそれで偉かったけど)芸術文化に触れる時間がだいぶ減ってしまったのが悔しかった。だから今年からは、毎月1回は展覧会へ行き、小説を数冊読み、映画を20〜25本観るというルールを定めた(こういうのは量ではなく質だと分かっているけど、私にはまずこの量が必要だと感じている)。

以下は各月足を運んだ展覧会についてのレポート。

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フランス映画への愛

フランス映画への愛

※トップ画像はLost in Filmから拝借しました
※フランス映画を勉強中の人が主語デカくなんか言ってんな〜くらいで軽くみてください

私はフランス映画が大好きだ。特に好きなのはヌーヴェル・ヴァーグで、私がいまこうやって生きていられるのは彼らの映画があったから。

でも「フランス映画が好きです」と、フランス映画に馴染みのない人にいうと9割方は「高尚だね」「フランス映画は難しくてよく分からないか

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映画『ハウス・オブ・グッチ』

映画『ハウス・オブ・グッチ』

70〜90年代のグッチ家を描いた本作は、“GUCCI”の名と富を巡る対立の話である。パトリツィア・レッジャーニ(レディ・ガガ)は、パーティでGUCCI後継者であるマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)に出会う。“物流関係”の仕事をしている両親のもと砂埃にまみれたオフィスで働いていたパトリツィアは、優れたコミュニケーション能力と先見性で見事マウリツィオを射止め、グッチ家に参入する。この頃のグッチ

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小説『木曜日にはココアを』

小説『木曜日にはココアを』

川沿いの桜並木がちょうど終わるあたりに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。ここで働く青年は、毎週木曜日に来店する女性に恋をしている。ここを出発点とし、遠くはシドニーまで繋がっていく愛の連鎖。12話から成る連続短編小説。

各話のタイトルには、ブラウン、レッド、イエローなど色が添えられている。物語内に必ず色の要素が組み込まれており、色彩豊かな世界が広がっている。 1話あたりのメイン登場人物は2〜3人で、

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小説『サンドの女 三人屋』

小説『サンドの女 三人屋』

美人三姉妹が営む「三人屋」。朝は三女がモーニングを、昼は次女が玉子サンドを、夜は長女がスナックを切り盛りするこのお店は、商店街のみんなが集う場所。三姉妹を取り巻く男性6人それぞれの視点から、密で愉快な商店街の人々が立体的に浮かび上がる連続短編小説。

どうやら一作目『三人屋』(2015)があり、その続編らしい。日常的な話題かつ一人ずつエピソードが展開されていくので、続編をいきなり読んでも十分ついて

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