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異世界薬局【マンガ紹介】

今回紹介する漫画は異世界転生です!
よく紹介している異世界ものですが、今回は世界観が少々違います。

原作:高山理図 漫画:高野聖 キャラクター原案:keepout

普通の異世界転生ものだと傷や病気に対する対応は大体魔法で解決します。
ヒール・ケアル・ホイミ・メディスン的な回復手段が存在して大体死んでいなければ回復できる便利状態です。
なのであまり薬や医療が発達していないことが多いのですが、この世界では回復手段が乏しいにも関わらず医療・薬も旧時代的な呪(まじな)いや祈り、用途や効果が確立していない薬草に頼っているという博打みたいな医療体制でした。

その世界に転生したのは薬剤師の男性(31)




子供のころ脳腫瘍で妹を亡くしていた彼はトップクラスの研究者に成長しました。
妹のような症例でも飲み薬だけで治療できる薬を開発する為、日々過労な日々を送っていた彼は普通に過労で倒れそのまま亡くなりました。

        ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

そして異世界に転生することになります。

目覚めると少年に転生していました。
そこは魔法はあるけれど医療や薬の拙い中世のような世界。
彼は宮廷薬師という貴族の息子で「神術」という魔法を使えるいわゆる名家の子でした。

元々の少年の記憶がおぼろげで人格は完全に生前のものなので、家族やメイドに訝しがられながらもなんとか誤魔化し初動を乗り切ったもののこれからどうしようかと思案します。

家の書庫を調べる内にこの世界の医学・薬学知識が偏っていることを知り、更に自分の眼には「神眼」という人の身体の異常が分かる技能があることが分かるとこの世界の医療体制を何とかしたいと思うようになりました。

まず初めに家周りの使用人や親族にこの世界の原料で作れるもので薬を作成することにしました。



家が薬師の家庭の為、薬の生成施設があっても適切な道具が足りないのですが、そこは魔法(神術)で補えたようです。
どうやら魔法による奇跡はイメージが大事なようで原子記号などを把握している薬学の研究家である彼にはそう難しくない技術のようでした。

難しい単語も多いですが、雰囲気で読めます。

それからガラス片や金属片を用いて顕微鏡の発明、結核の発見とその治療法、黒死病の予防など目まぐるしい活躍をしていきます。
異世界ですが、まるで地球の歴史をなぞっているかのように現実に存在する病気が多く出てきます。
ですが魔法や魔力がある異世界なので当然 主人公が知らない病気や呪いの類も存在します。

最初は異端児を見るような目で見ていた見識者たちも次第に彼の価値を認め始め、最後まで反対していた重鎮も彼の能力を認めるまでになりました。

また、この世界では貴族は薬や医療を受けられるけど、市民は薬ですらまともに得られないいわゆるお金がなければ治療も薬も得られないという悲しい世情もありました。

世界に現代医療を広めること、ないしは平民にもまともな医療や薬の処方を気軽に受けられるようにする為に自身で薬局を作ることになります。

その薬局名が異世界薬局です。(タイトル回収)

現代医学と有効な薬を安価で提供する薬局は異世界にとっては数百年分の医療薬学知識なので画期的と見られ よく浸透して一般市民の中で人気を博していきます。

この世界にあまり馴染みのない化粧品やビタミンCや塩を配合した飴なども開発して市民との信用や信頼を築いていきます。
オーラルケア(口内ケア)や身体に害となる水銀の接種の使用停止など現代では当たり前とされている予防方法も広めていきます。

ですが極端な変革に障害は付き物。
一定数のこれまでの常識に縛られ固執した層も存在します。
この辺がとてもリアルに描写されています。
妬(ねた)み 嫉(そね)み ひがみ やっかみなど同業者を中心に妨害を受けることになります。
また、ウィルスの予防に成功した時には
「大したことなかったじゃないか!病気も広まってないし!あんなに騒ぐ必要あったのか。」
と、感染病を広めさせまいと努力した主人公たちの苦労に見合わぬ感想を言われてしまったりします。

黒死病(ペスト)は14世紀のヨーロッパで何度も流行してヨーロッパ人口の半分が死んだと言われています。
異世界ではこれを知らないので行動を制限されたことによる悪態をつきたくなるのは分からないでもありません。
でもこの世界でも200年前に黒死病が流行した歴史はあるようです。
それでも自分の生きている間に悲劇が起きるとは中々結び付けられないのでしょう。

その世界における一般常識もそうですが、既得権益や妄執に囚われ受け入れられない層も一定数います。
結果よりもこれまで学んだ歴史や師・先生の教えを一番とする方々です。
なんか野党やコロナワクチン否定主義の人たちが根拠もなく言いそうなことですね。
予防の効果は形に残りづらく分かりづらいです。
何事もなかったイコール何もしていないという図式は浅はかとしか言いようがありません。

現実の世界のことですが、自分は2000年問題で何事もなかったのはコンピュータのリセット問題の対策を打ちまくったからだと思いますし、世界の水位がまだ深刻と言えるほど浸食していないのは何だかんだ環境問題に配慮した取り組みが世界中で繰り返されているからだし、保存や効果のしっかりしたワクチンを日本人の大半が接種することで日本が今の韓国や北朝鮮、中国のような悲惨な状況になっていないのだと思っています。

       ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

そんな現実のコロナ禍とも一部リンクするような漫画がこの「異世界薬局」です。
大人から中高生まで楽しめるライトな内容なのに、人心も含めとても勉強にもなります。
基本的には病気が敵で、時々その目的を邪魔する存在と戦うこともあります。
主人公は善性ですがそれゆえに騙されやすいです。
でも心強い味方も多く、悪性の敵に対してもなんとか乗り切っていく王道のストーリー展開が主なのでスルッと読めるお話です。


ぜひ一度読んでみてくださいな(>_<)

では今回はこんなところでノシ

メルカ


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