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緩やかな日々

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書き留めたことを、ほんのちょっとだけ公開中。
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草原の国へ行ってきました

草原の国へ行ってきました

子どもの頃から、一度は行ってみたかったシルクロード。
その西の草原の国々を旅してきました。
カザフスタンを皮切りに、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタンをめぐる旅。

地平線まで続く草原。その上に広がる輝くような青い空。
その果ての地面と交わるあたりに雲がわき、その下の烟るような灰色は雨。
何時間もバスに揺られてたどり着いた街は雨上がり。
さっきの雲の下にあったのはここだったのかと、思い至る。

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200話を書いた朝…

200話を書いた朝…

『月と陽のあいだに』の200話を投稿した。
思えば遠くへ来たもんだ。

この物語を書き始めたのは、コロナ禍が始まる前だったと思う。
親友が介護のために郷里に帰っていった。
その彼女にちょっとでも笑って欲しくて、他愛無い物語が生まれた。

もともと彼女以外の人に読んでもらおうとは思っていなかった。
だけど彼女は褒め上手で、喜んでもらえると欲が出た。
もっとあっさり終わるはずだったのに、どんどん長くな

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私はここにいます!

私はここにいます!

「せっかく書いたから、誰かに読んでもらいたいな〜」

そう思ってnoteに書き始めたのが、去年の7月。
最初は、本当に一人でも「知らない誰か」が読んでくれれば嬉しかった。
でも、ちょっとずつ欲が出た。
もっとたくさんの人に読んでもらいたいなあ。

それで読んでもらう努力をしたかと言えば、そうじゃない。
どうして?

だって、怖いじゃない。
「なにこれ?」「下手くそ」「陳腐」なんて言われたらどうしよ

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「たくさん書きなさい」 〜4月1日桜の下で〜

「たくさん書きなさい」 〜4月1日桜の下で〜

うららかなお花見日和。列島のあちこちから、桜満開の便りが届く。
伊豆の雑木林は、柔らかい若葉の色に衣替え。ところどころに淡いピンク色の桜が彩りを添える。

コロナ禍で行われずにいた、桜の下での親睦会。
春の日差しに誘われて出かけた。
今日一番お会いしたかった人は、私の父ほどのお年のKさんだ。

Kさんは、歩き旅の記録や親しい人々を題材にしたエッセイを出版されている。
私にとって一番身近な『物書き』

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また一歩踏み出す友へ

また一歩踏み出す友へ

今日は久しぶりに晴れた。
都心の桜は満開で、少し強めの風に花びらが舞い上がる。
学生時代の友人に会ってきた。

彼女は去年、会社を退職した。30数年勤め上げた、外資系の会社を。
男女雇用機会均等法ができた時に就職したから、彼女はいつも「前例」になる立場だった。
「総合職」なんていう言葉はできたばかりで、大企業で男性に伍して働く女性はまだ少なく、働く側も雇う側も試行錯誤の連続だったに違いない。

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彼女の『オズビック鳥』 〜ある勉強会で〜

彼女の『オズビック鳥』 〜ある勉強会で〜

絵本の勉強会に参加している。
本来は子どもの絵本が対象なのだけれど、時には大人のための絵本も登場する。
昨日の勉強会で、私は早速ゴーリー作『オズビック鳥』を紹介した。

絵本のあらすじを話して、実際に開いて絵を見せる。
どうしておすすめなのかを簡潔に(これが案外難しい)伝える。
そして、参加者が質問したり、いろいろ。
「子どもでも、いけるかも」
「ちょっと難しいんじゃない?」
「雰囲気はいいよね」

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血脈の記憶がまた一つ消えた

血脈の記憶がまた一つ消えた

今日、東京では桜の開花が宣言された。
その「宣言」を聞くこともなく、父方の伯母が亡くなった。

90歳を超えてもしっかりとして、家族に囲まれて暮らした人だった。
大往生なのだろう。
「もっと話を聞けばよかった」
伯母自身の人生と、伯母の父である私の祖父のことについて。

祖父は私が大学生の時に亡くなった。
寡黙な人だったから、自分のことはほとんど語らなかった。

田舎町で生まれた祖父は、小さなタク

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いちごのお菓子と老親と

いちごのお菓子と老親と

今日は、まるで晩春のような暖かさだった。
南風が薄手のコートの裾にまとわりつく。
つい先日まで、ダウンジャケットを着ていたのが嘘みたい。

老親を連れて、港が見えるホテルへアフタヌーンティーに行ってきた。
昨秋、孫娘からプレゼントされたチケットを、ようやく使うことができた。
父89歳、母86歳。父は杖をつき、母はカートを支えに歩く。
「こんな素敵なホテルに来ることは滅多にないから」
めずらしそうに

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『火曜日の手紙』 〜読書の記録〜

『火曜日の手紙』 〜読書の記録〜

火曜日、我が家の近くの公園に移動図書館がやってくる。
『火曜日の手紙』は、その車の書架からふと手にとった本だ。

『火曜日の手紙』 エレーヌ・グレミヨン 著
         池畑奈央子 訳
         早川書房  2014年6月25日 初版発行

母を亡くしたばかりの主人公の元に、一通の手紙が届く。差出人に覚えはなく、編集者でもある主人公は、最初はそれを小説の売り込みではないかと考える。

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にわかイベント屋の顛末

にわかイベント屋の顛末

昨日の伊豆はお昼から冷たい雨。散りかけの河津桜も震えていたに違いない。
そんなお天気の中、にわかイベント屋の本番当日と相成りました。

場所は、伊豆急行伊豆高原駅から徒歩10分ほどのところにある『りんがふらんか城ヶ崎文化資料館』というギャラリー・カフェ。
その一角をお借りして開いたのが「りんがふらんか おはなし会」。
椅子を15個並べただけの小さな小さな空間が、私たちの晴れ舞台になった。

 おは

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相棒がご機嫌を損ねると

相棒がご機嫌を損ねると

昨日は冷や汗をかいた。
私の大事な相棒であるiPadが、画像を読み込んでくれなくなったのだ。
画像だけじゃない。
noteのプレビューも使えなくなった。直近の記事も開かない。

投稿するとき、出来上がった原稿をプレビューでチェックする。
下書きでは気づかなかった誤字脱字を見つけるのは、この時が一番多い。
さらに不自然な言い回しを直したり、無駄な文を削るのもプレビューの段階。
それができないで投稿す

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にわかイベント屋になりました

にわかイベント屋になりました

今度の日曜日、ボランティアのイベントを企画中。
大人のためのおはなし会をします。
「やりたい〜、やりたい〜」と仲間を巻き込んだ。
なけなしの脳みそをフル回転させ、安い頭を下げまくったおかげだろうか。
みなさん、快くお力を貸してくださって、今日に至る。

プログラムを決め、ポスター描いたり、チラシを作ったり。
こんなことするのは、高校の文化祭以来かも。
勉強そっちのけで没頭したあの頃から、こういうの

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旅先で受けた親切は…

旅先で受けた親切は…

知る人もない旅先で、ちょっと声をかけてもらったこと。
見ず知らずの人に助けてもらったこと。
そういうことは、心の中に『ウレシイ』の旗が立って、いつまでも忘れない。

昨日、久しぶりに乗った特急電車で隣に座ったのは、桜見物に行くインドネシア人の女性だった。
「このままこの電車に乗っていて、目的地に着くかしら?」
「大丈夫、大丈夫」
そんなやりとりをしていたら、自分が旅した時のことを思い出した。

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耳からきくものがたり

耳からきくものがたり

今日は、春は名のみの風の冷たい一日だった。
久しぶりに電車で遠出して、子どもの絵本についての講演会に行った。

ここ数年、日本では年間2000冊近い絵本が出版されているそうだ。
溢れんばかりの絵本の海から、子どもたちにどんな本を選んで読み聞かせをしたらいいか、とまどうことばかりだ。
今日の講演会では、絵本を選ぶための指針と、何より子どもたちに接する時に大切にしなければならない心構えを学ぶことができ

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