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草原の国へ行ってきました

子どもの頃から、一度は行ってみたかったシルクロード。
その西の草原の国々を旅してきました。
カザフスタンを皮切りに、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタンをめぐる旅。

地平線まで続く草原。その上に広がる輝くような青い空。
その果ての地面と交わるあたりに雲がわき、その下の烟るような灰色は雨。
何時間もバスに揺られてたどり着いた街は雨上がり。
さっきの雲の下にあったのはここだったのかと、思い至る。

キルギスでは、憧れの天山山脈を仰ぎました。
あいにくのお天気で、イシククル湖は灰色だったけれど。
あの雪をいただく山を古の人々が歩いて越えたのかと思えば、胸に迫るものがあります。

こんなスケールの大きな自然を前に、人の一歩のなんと小さなことか。
それでもその一歩を連ねて、私たちの祖先は険しい峰を、厳しい砂漠を越えたのです。
その人たちが抱いていた、見知らぬ土地、豊かさや知識への憧れの強さ。
自分の持ち得ない強い意志を、突きつけられた気がしました。

旅する前は、きっと一番好きになるのはサマルカンドだと思っていました。
「サマルカンドブルー」と呼ばれる青は、乾いた日差しの中で眩いくらいに輝いていました。
けれども振り返ってみると、心に深く残ったのは、キルギスのことでした。

私たちを案内してくれたキルギス人ガイド、エルメックさん。
その人の知識と人柄が、キルギスを好きになる大きな要因だったことはもちろん。
キルギスには日本のODAが入り、JICAから派遣された指導員が村々へ入って、その地域の特産品を商品化するために力を注いでいることを知りました。

またアクベシムの遺跡では、日本の大学の研究者の手で今も発掘が続いていること。
玄奘三蔵が滞在したはずの寺院や、王宮の跡が手付かずで土の下に眠っていること。
本やテレビで見知っていた発掘の現場に自分が立っていることに興奮しました。
一見するとただの草原。
その下から現れるのは、素人にはそれとわからないような土塁や穴。
頭の中で一生懸命CGを組み立てながら、考古学者の情熱を聞きました。

もちろん、他の国々も素晴らしいものでした。
思い出話は尽きません。
それはまた追々記すこととして。

旅した国には、愛着が生まれます。出会った人々のことは心に深く残ります。
遠く離れた中央アジアの国々。そしてそこに暮らす人々の幸せを祈ります。

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