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改めて知りたい!春の定番「桜」や「桜色」にまつわる話

こんにちは。macasellです。日本人にとって春には欠かせない「桜」。3月も中旬を過ぎると、桜がいつ開花するのか気になる方も多いのではないでしょうか。今回はそんな「桜」にまつわるお話しです。

陵南公園(東京都八王子市)




3月27日は「さくらの日」

1992年(平成4年)に日本の代表的な花の1つである桜への関心を高め、花と綠を豊かにすることを目的として、3月27日は「さくらの日」に制定されました。日付は「3×9(咲く)=27」の語呂合わせと七十二候*1の中の「桜始開*2」の時期から決定したのだとか。


*1 七十二候

七十二候(しちじゅうにこう)とは古代中国で考案された季節を表す方式の一つ。二十四節気をさらに約5日ずつ3つに分けた期間のことを指します。
江戸時代以降、日本の暦学者により国内の気候・風土に合うように改定され、現代でも活用されています。


*2 桜始開

前段でご説明した七十二候の一つ。二十四節気の春分の中間あたりの桜の花が咲き始める時期を指します。読みは漢字のまま「さくらはじめてひらく」と読みます。



改めて知りたい“桜の色”

桜を表現したり関連する色は様々あります。今回はその中から一部の色をご紹介していきます。


桜色(さくらいろ)

以前の投稿『“春の色”ってどんな色?』にも登場した春の定番色。
日本人にとって古くから特別な花であった「桜」の花の色は、桃よりもさらに薄くほのかに色づいた紅色。紅染の中でも最も淡い色合いです。


薄桜(うすざくら)

薄桜とは、薄い桜の花の色のようなほんのり紅みを含んだ白のこと。

別名:薄花桜(うすはなざくら)

最も薄い紅染の色とされる『桜色』の中でも、さらに薄く春の訪れを感じる色です。


薄花桜色(うすはなざくらいろ)

先ほどご紹介した薄桜の別名「薄花桜」はたくさんの意味を持っています。

色だと先ほどご紹介した「薄桜」のように薄い桜の花の色を表しますが、薄い藍色を指すことも。


桜鼠(さくらねずみ)

桜鼠は淡い紅色が灰色あるいは薄墨がかったわずかにくすんだ薄い桜色のこと。

いわゆる墨染の桜色を指します。色名に「鼠」が付く色は江戸時代初期頃からあるとされ、桜鼠は元禄*3以降に用いられるようになったのではないかと言われています。

*3 1680〜1709年 5代将軍徳川綱吉の治世を指す。


灰桜(はいざくら)

やや灰色がかった明るい桜色のこと。

灰色の落ち着いた雰囲気を持ちつつも、上品さと奥ゆかしさを兼ね備えた華やかな淡い桜色が印象的。近代以降に現れた色名だと言われています。

河口湖(山梨県南都留郡富士河口湖町)


桜といえば?

「桜」といえば「お花見」を連想される方も多いのではないでしょうか。

「お花見」は桜の木の近くで宴会を催すことを意味しますが、本来であれば桜の花見は「観桜」「桜見」、梅は「観梅」「梅見」、菊は「観菊」「菊見」といったように花に合わせて言い換えられます。


目黒川沿い(東京都目黒区)


お花見の歴史

元々、花見とは奈良時代に当時の中国から伝来した梅の木を観賞することを指していました。その後、平安時代には貴族が花を愛で歌を詠んだり、またはそれを目的とした酒宴を開いたことが始まりと言われています。

鎌倉時代まではこういった貴族の行事の一つとされてきましたが、安土桃山時代に豊臣秀吉が「吉野の花見*4」「醍醐の花見*5」といった大々的な花見の宴を開いたことで広まっていったのだとか。その際、初めて紅・白・綠の三色団子が振舞われたのだそうです。


*4 吉野の花見
1594年(文禄3年)現在の奈良県吉野で徳川家康や伊達政宗など総勢5000人が同行し5日間にも及ぶ花見の宴を開催したと言われています。現在、吉野山はシロヤマザクラが約3万本ほど咲き乱れる桜の名所の一つです。

吉野山(奈良県吉野群吉野町)


*5 醍醐の花見
1598年(慶長3年)に京都・醐醍寺に花見の為に700本もの桜を植え、三宝院の建物と庭園を造り、豪華絢爛な茶会や歌会などを催したのだとか。この故事にならって醍醐寺では毎年4月第2日曜日に「豊太閤花見行列」を開催しています。

醐醍寺・三宝院(京都府京都市伏見区)


一般に花見が広まったのは江戸時代と言われています。現在、全国各地で観賞できるソメイヨシノはこの時代に作られたものなのだとか。江戸時代、1716〜1736年(享保年間)に8代将軍徳川吉宗が飛鳥山(東京都北区)や隅田川堤(東京都墨田区)などに数千本の桜を植えて庶民の花見を奨励。実際に町では桜の木の下でお弁当を食べながら花見を楽しんだと言われています。

この頃から桜の名所として名高い「上野の山・上野恩賜公園」(東京都台東区)にも山桜が咲いていたそうです。

貴族が花を愛で花見を楽しんでいた頃、農民の間では豊作祈願の神事として花見が行われていたと言われています。桜の木は春に山から下りた神様が宿ると考えられており、桜の花の咲き方で農作物の収穫を占ったり、開花時期に合わせて田植えや種まきの準備をしたそうです。

桜の語源は諸説ありますが「さ=田の神*6」「くら=神の宿る場所」と考えられ『さくら』と呼ばれるようになり、桜の木にお供物をして豊作を祈り、宴会を催したのだとか。

*6 田の神
古代より日本では農耕神をまつる風習がありましたが、民間ではこういった神のことを「田の神」と呼称していたと言われています。ただし地域によっては「農神」「作神」「作り神」といったように別称されていたのだとか。


隅田川堤(東京都墨田区)


お花見にもある“春の色”

桜を表す色や関連する色をご紹介しましたが、前段でもお話しした「お花見」に関する色も気になるところ。ここではお花見にまつわる色をご紹介していきます。


三色団子

先ほど、醍醐の花見で初めて振舞われたというお話しで登場した「三色団子」。春らしい色が印象的なお団子です。

紅・白・綠の三色になったのは諸説あるとされていますが、一つは紅は桜色で「春」を意味し、白は「冬」、綠は「新芽」または「夏」を指し、この三色には秋が無いないことから「飽きない」「商い」を掛けたとも言われています。また縁起のために紅(桜)白に邪気を祓う色とされる緑を合わせたという説も。


桃色(ももいろ)

春を彩る桃の花のような、ほんのり淡い紅色のこと。
桃の花で染めたのではなく、紅花や蘇芳を染料として使い、桃の花の色を再現したと言われています。

「桃」という名称は室町時代以降の名称で、桃は不老長寿や邪気を払う等、縁起の良いシンボルカラーとして使用されています。


卯の花色(うのはないろ)

卯の花のようなわずかに黄みがかった白色のこと。
平安時代からの伝統色名の一つ。卯の花はウツギの花の別称で初夏頃に開花します。


蓬色(よもぎいろ)

ヨモギの葉の色のようなやや青みのある緑色のこと。
春の訪れを告げる植物の一つであるヨモギは、香りの高さから魔除けや邪気を払う神秘的な力を持つと考えられ、厄除けや無病息災を祈るために食べられてきました。


桜餅

桜にちなんだ和菓子である桜餅も花見に欠かせない和菓子の一つではないでしょうか。桜餅はひな祭りに食べる雛菓子の一種でもありますが、8代将軍徳川吉宗が隅田川堤にソメイヨシノを植え花見客が訪れるようになった際、近隣の和菓子屋が桜の葉を塩漬けにして桜餅を考案し、長命寺(東京都墨田区)の門前で売り出したことから発展したと言われています。

また桜餅は関東風桜餅の「長命寺」と関西風桜餅の「道明寺」の2種類があります。

長命寺は小麦粉などを用いた生地を平たく焼き、餡をクレープ状に包み、塩漬けした桜の葉で巻いたもの。

道明寺は道明寺粉(蒸したもち米を乾燥させ粗挽きにしたもの)で餡を包み、まんじゅう形に整え塩漬けした桜の葉で巻いたお餅のこと。

(左:道明寺・右:長明寺)

現在は食紅で餅に色付けをするため赤みが強い印象ですが、昔は桜の葉から色を抽出したと言われていますので前段でご紹介した「桜色」「薄桜色」が、比較的近い色なのではないでしょうか。


草色(くさいろ・そうしょく)

若草が濃くなったようなくすみのある濃い黄緑色のこと。

別名:草場色(くさばいろ)

古くからある色名の一つで緑色を代表する色。桜餅に使われる葉の色にも近い一色です。


今回は「桜」と「お花見」をテーマに季節の色をご紹介致しました。一般的な淡いピンク色だけでなく実は様々な色があります。販促物やWebサイト等、様々な場面で色を取り扱う際には固定概念に囚われてはいけないなと改めて思いました。

季節感のある販促物やWebサイトが欲しい時、コンセプトカラー等「色」に関することでお困りの方は、macasell にお気軽にご相談ください。


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