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知ってるつもり 無知の科学

無知の知。まず知らないということをわかっておかないと知ることはできない、というのをソクラテスはその昔説きました。その言葉を我々はみな知っていますし、意味も理解し…

luvhuey
8日前

くちぶえ番長

小6の姪に薦められて読んだ本。あの赤ん坊だった姪に本を進められるなんて感慨無量。しかも私の大好きな重松清さんの本! 期待にたがわず、相変わらずのあたたかく、心に…

luvhuey
2週間前

想定外シナリオと危機管理

東京電力のクライシス対応を軸に、危機管理で「あってはならない」企業行動が論じられている一冊。 東京電力の事故について、売り上げ利益の確保に偏り過ぎ、本来コストを…

luvhuey
2週間前

世界標準の経営理論

普通の単行本の大きさを想像して、近所の図書館に予約してた本書を受け取りに行ったら、そんじょそこらの辞書よりもかなり分厚い800ページ以上もある大作。最初はちょっと…

luvhuey
1か月前

多様性の科学

いい本とはどういう本か。 読み終わって感動に打ち震える本もいい本、だし 知らなかったことをたくさん知ることができて満足するのもいい本。 次どうなるのかドキドキしな…

luvhuey
1か月前
2

安全。でも、安心できない

どうして安全だからと安心できるのか。いや、安心できない。 本のタイトルを私なりに言い直すと、高校生の頃に学んだ漢文の言い回しを連想するこんな表現になります。 む…

luvhuey
1か月前
1

おろしや国酔夢譚

大黒屋光太夫と同じネタで、今度は井上靖による小説。 吉村昭氏よりは短く、どちらかといえば、ロシア本国に辿りついて 帰国の交渉をしてから日本に帰るまでの経緯が、吉村…

luvhuey
2か月前
2

世界最高峰の経営教室

マイケルポーター、フィリップコトラー、コリンメイヤーといったまさにタイトル通り世界最高峰の経営学者、その他新進気鋭の経営学者へのインタビューを通じて、最新、最高…

luvhuey
2か月前
1

パイロットが空から学んだ一番大切なこと

時に旅行、時に出張。飛行機には年に何度も乗ります。仕事であれ、旅行であれ、飛行機の旅はちょっとだけワクワク感が募る。あと個人的に電車よりも疲れないで移動できる気…

luvhuey
2か月前

想定外を想定せよ。失敗学からの提言

過去の事故の要因分析を通じて、以降の再発防止を考え続けている畑村洋太郎さんの著書。 私が一番印象深かったのはJALの事故機を社内に保存してある、という事例。こうし…

luvhuey
2か月前

未来実現マーケティング

SDGSに並んでいる、こうなったらいいな、でも解決は難しいな、というような難題も、お、もしかしたら解決できるかも、と思えてしまうようなさまざまなものの見方を示唆して…

luvhuey
3か月前
1

重大事件に学ぶ危機管理

いくつもの、それこそ重大事件を指揮してきた人だけに、なるほどと思わせる諫言がたくさんありました。 リスクが発生しているという報告も大事だが、逆に「異常なし報告」…

luvhuey
3か月前
3

大黒屋光太夫

船の難破、厳寒での過酷なロシア滞在。帰国の許可も中々おりない中、ロシア滞在を勧められ、それでも希望を捨てずに交渉し、十数年ぶりに日本帰国とあいなった人物の生涯を…

luvhuey
3か月前
4

現代美術史

現代美術がどう生まれ、どういう議論を経て、今に至るのか。 美術はよくも悪くも人々にどういう影響を与えていたのか、をわかりやすく書いている本です。何を芸術と考える…

luvhuey
4か月前
1

新しい経営学

経営に必要な、思考モデルをわかりやすく、解説している本です。もともと女子栄養大学での授業がベースになっている本のようです。 経済学科とか経営学科とかではなく、「…

luvhuey
4か月前
2

投資思考

この人に仕事を頼みたいと思えるように自分のブランド力を磨く、 企業価値を高めることにより、TSR(株主にとってのリターン率) があがることを目指さなければいけないの…

luvhuey
4か月前
1
知ってるつもり 無知の科学

知ってるつもり 無知の科学

無知の知。まず知らないということをわかっておかないと知ることはできない、というのをソクラテスはその昔説きました。その言葉を我々はみな知っていますし、意味も理解しています。
いや理解しているつもり、です。でも実際自覚していないだけで、知ってるようで知らないことはたくさんあります。本の中で出て来た事例ですが、たとえば水洗トイレの仕組みを我々は「知っている」か。水で汚物をみな流してしまう、というのはもち

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くちぶえ番長

くちぶえ番長

小6の姪に薦められて読んだ本。あの赤ん坊だった姪に本を進められるなんて感慨無量。しかも私の大好きな重松清さんの本!

期待にたがわず、相変わらずのあたたかく、心にじんわり感慨が残る一冊。
犬が死ぬシーンで号泣しましたが、姪は「え?あそこで?泣くの?」と意外そうな様子。考えてみたら私もあまり小学生の頃、本で泣くことはなかったな。かわいそうだな、とか大変だなとかは思ってもそれで泣くということはなかった

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想定外シナリオと危機管理

想定外シナリオと危機管理

東京電力のクライシス対応を軸に、危機管理で「あってはならない」企業行動が論じられている一冊。

東京電力の事故について、売り上げ利益の確保に偏り過ぎ、本来コストをかけるべき、リスク管理がおざなりになっていた、という主張が繰り返しなされています。そこに異を唱えはしませんが、そうなってしまったのはなぜなのかについてももう少し深堀しないと、そりゃそうだよね、で終わってしまうかなという感想を持ちました。

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世界標準の経営理論

世界標準の経営理論

普通の単行本の大きさを想像して、近所の図書館に予約してた本書を受け取りに行ったら、そんじょそこらの辞書よりもかなり分厚い800ページ以上もある大作。最初はちょっと腰がひけました。もともとは、はじからはじまで読むことだけを想定しているわけではなく、知りたい理論がでてきたら
つまみ食いのように読んでみる、といった読み方も著者自身が推奨されており、辞書的な本でもあるようです。

もっとも、私の場合、サラ

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多様性の科学

多様性の科学

いい本とはどういう本か。
読み終わって感動に打ち震える本もいい本、だし
知らなかったことをたくさん知ることができて満足するのもいい本。
次どうなるのかドキドキしながら読み進めることができるのもいい本。

さてこの多様性の科学も、いい本だなあと思ったのだけど、
上記にあげた「いい本」の定義にはあてはまりません。

英語の本を訳したからか、ちょっと読みにくいし、出てくる例示も訳本だからしょうがないけど

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安全。でも、安心できない

安全。でも、安心できない

どうして安全だからと安心できるのか。いや、安心できない。
本のタイトルを私なりに言い直すと、高校生の頃に学んだ漢文の言い回しを連想するこんな表現になります。

むろん、安心するために安全であろうと努力することは必要です。
でも安全であっても、人は安心できるわけではない。

この事例として、もう今どきのお子様は知らないであろう、赤福の製造年月日偽装事件が引き合いに出されます。赤福については食品衛生法

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おろしや国酔夢譚

おろしや国酔夢譚

大黒屋光太夫と同じネタで、今度は井上靖による小説。
吉村昭氏よりは短く、どちらかといえば、ロシア本国に辿りついて
帰国の交渉をしてから日本に帰るまでの経緯が、吉村昭のものより詳しく書かれています。逆に言えば吉村昭の小説の方が、船が難破し、島に命からがら辿りつき、ロシア本土に足を踏み入れるまでの苛酷な毎日を詳細に記しています。

吉村昭のほうが、過酷にして数奇な光太夫に起きた「出来事」に焦点をあてて

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世界最高峰の経営教室

世界最高峰の経営教室

マイケルポーター、フィリップコトラー、コリンメイヤーといったまさにタイトル通り世界最高峰の経営学者、その他新進気鋭の経営学者へのインタビューを通じて、最新、最高な経営の在り方を学ぶことができる一冊です。

難しいことをやさしく、やさしことを深く、は井上ひさしの名言ですが、やはり世界最高峰ともなると、小難しい言葉をひねりだすこともなく、言ってる内容は実にシンプル。ともすれば日本の社長だってこれくらい

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パイロットが空から学んだ一番大切なこと

パイロットが空から学んだ一番大切なこと

時に旅行、時に出張。飛行機には年に何度も乗ります。仕事であれ、旅行であれ、飛行機の旅はちょっとだけワクワク感が募る。あと個人的に電車よりも疲れないで移動できる気がしています。飛行機に乗るのが怖いとおっしゃる方もいらっしゃいますけど、私にとって飛行機は恐ろしいものではありません。実際事故確率でいえば自動車よりも相当低いんですから、理屈上は恐ろしがる理由はそうない、といえます。

とはいえ。ケーブルテ

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想定外を想定せよ。失敗学からの提言

想定外を想定せよ。失敗学からの提言

過去の事故の要因分析を通じて、以降の再発防止を考え続けている畑村洋太郎さんの著書。

私が一番印象深かったのはJALの事故機を社内に保存してある、という事例。こうしたものを残しておくことは、事故の悲惨さを伝える、というもっともらしいきれいな言葉で語られますが、言葉で伝えるよりも、生々しい事実で視覚で訴えられた方が、人の記憶に残るし、財産になる。動態保存はそういう意味でも意味があるというところでした

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未来実現マーケティング

未来実現マーケティング

SDGSに並んでいる、こうなったらいいな、でも解決は難しいな、というような難題も、お、もしかしたら解決できるかも、と思えてしまうようなさまざまなものの見方を示唆してくれる一冊です。

ちなみに著者の神田氏のマーケティングの定義はちょっと一般的なもの、つまりいわゆる営業、というものとはちょっと違っています。
神田氏のマーケティングの定義は「必要な価値を必要な人に届け、必要な変化を起こす仕組みづくり」

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重大事件に学ぶ危機管理

重大事件に学ぶ危機管理

いくつもの、それこそ重大事件を指揮してきた人だけに、なるほどと思わせる諫言がたくさんありました。

リスクが発生しているという報告も大事だが、逆に「異常なし報告」をしておくことも重要であること。アメリカの緊急報告体制に倣った「事実報告」→「情勢判断」→「意見具申」の短時間報告。アメリカの緊急事態においてはエレベーターに乗る15秒の間にこれをやるべく定められているそうですが、ビジネスシーンでも十分使

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大黒屋光太夫

大黒屋光太夫

船の難破、厳寒での過酷なロシア滞在。帰国の許可も中々おりない中、ロシア滞在を勧められ、それでも希望を捨てずに交渉し、十数年ぶりに日本帰国とあいなった人物の生涯を綴る吉村昭氏の歴史小説です。

この本を読む前、アメリカ彦蔵自伝という本を読みました。光太夫よりも
100年ほどのちに、やはり漂流し、アメリカの船に拾われ、アメリカに渡り、のち日本に戻って通訳として活躍し、何不自由のない生活を送る浜田彦蔵と

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現代美術史

現代美術史

現代美術がどう生まれ、どういう議論を経て、今に至るのか。
美術はよくも悪くも人々にどういう影響を与えていたのか、をわかりやすく書いている本です。何を芸術と考えるか、芸術を癒しとは考えず、物事を省みたり、考えを深めることに使っていこうとしている動きもよくわかりました。

文章は平易であっても書かれているイベントは突然出くわしたら、
今のはなんだったんだろう?と不勉強な素人は思ってしまいそうな
ものば

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新しい経営学

新しい経営学

経営に必要な、思考モデルをわかりやすく、解説している本です。もともと女子栄養大学での授業がベースになっている本のようです。
経済学科とか経営学科とかではなく、「栄養」を学ぶ人たちに教えたというところが肝なのかな。もう当然、こんなことは知ってますよね、という前提ではなく、本当に0ベースで教えてくれるから、実にわかりやすい。

まずビジネスを考えていくには、ターゲット、バリュー、ケイパビリティ、収益モ

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投資思考

投資思考

この人に仕事を頼みたいと思えるように自分のブランド力を磨く、
企業価値を高めることにより、TSR(株主にとってのリターン率)
があがることを目指さなければいけないのに、TSRだけに目をとられてはいけない。

などなど、さすがゴールドマンサックスのエリートと思える、スマートな解説が次から次へと繰り出されています。

が、限られたリソース(時間や体力)を使ってより大きなリターン(キャリアアップ、昇進)

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