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パイロットが空から学んだ一番大切なこと

時に旅行、時に出張。飛行機には年に何度も乗ります。仕事であれ、旅行であれ、飛行機の旅はちょっとだけワクワク感が募る。あと個人的に電車よりも疲れないで移動できる気がしています。飛行機に乗るのが怖いとおっしゃる方もいらっしゃいますけど、私にとって飛行機は恐ろしいものではありません。実際事故確率でいえば自動車よりも相当低いんですから、理屈上は恐ろしがる理由はそうない、といえます。

とはいえ。ケーブルテレビで航空事故の事例をとりあげいる報道番組があってよく見るんですけど、事故が起きた時の恐ろしさ、は半端なく、悲惨です。事故の要因をみると、決定的な大きなミス、というよりも小さなミスの積みかさねで起きていることがよくわかります。

ということで前置きが長くなりましたが、この本はそうした「小さなミスの積みかさね」がないように、細心の注意を払って飛行機を飛び続け、後輩を指導し続けた機長の本です。毎日が、いや、一瞬一瞬がリスクマネジメントの積みかさねな仕事であることがよくわかります。また、安全だけを追求しているわけではなく、快適に、飛行機の目的地、時間によって求められるニーズに応じてプランニングも分けているんですね。この本で初めて知りました。そういえば、食事の時間に機内が揺れることって少ないけど、これも
食事の時間帯には揺れるところにはいかないようにプランニングされているんですね。また出張で乗る飛行機の時は、必ず、といっていいほど「揺れが予想される」というアナウンスをされるのですが、これも揺れることよりも時間通りに着くことを重視したプランのせいなのだな、ということにも気づきます。

最後にクイズが出され、自分が機長になったつもりで瞬時で選択、というのがあるのですが、ことごとく間違えてしまう私。レベル判定があるのですが
レベルは当然に「アマチュア」レベル。機長ってほんとすごいな。

こうしたプロフェッショナルの人たちに必要なスキルは実はサラリーマンと一緒なところも多いのが、本からわかります。話しやすいチーム作り、後輩を育てる際のほめ励まし方法、リスクに対する対処の考え方。聴くことがリーダーの仕事、というのは味の素を立て直した元社長の方もおっしゃっていましたが、それは機長も同じ。ただ判断するのは機長。またその判断の理由を分かりやすく伝えることも機長の仕事。そしてそれを支えるチームに
感謝を忘れないでいることも仕事をしていく上で大事なマインド。

難しいことをやさしく、やさしいことを深くは、井上ひさしの名言ですがこの本もまさしくそれを体現しています。もっと小難しくも書けたでしょうが
実に読みやすく、かみ砕いて書かれています。その点でもすばらしい一冊だと思います。



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