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新しい経営学
経営に必要な、思考モデルをわかりやすく、解説している本です。もともと女子栄養大学での授業がベースになっている本のようです。
経済学科とか経営学科とかではなく、「栄養」を学ぶ人たちに教えたというところが肝なのかな。もう当然、こんなことは知ってますよね、という前提ではなく、本当に0ベースで教えてくれるから、実にわかりやすい。
まずビジネスを考えていくには、ターゲット、バリュー、ケイパビリティ、収益モデルを考える必要があると説き
”事業経営において、われわれは●ターゲットやバリューを定めるために、経営略論とマーケティング論を学び●ケイパビリティの設計とその実現のために、人・組織論とオペレーション論を学び●収益モデルを作り上げていくために、アカウンティング論をさらに学ぶのです。これがわれわれが経営学の基礎を学ぶ目的です”と「経営学」を一言で実にわかりやすく説明してくれています。いきなりなんちゃら理論、とかから入らないで、目的から説明されることで、理解が進みやすくなります。
また曲りなりに社会人生活を長くやっていると、基本に立ち返ることで
今の自分の仕事の課題を振り返ることもできます。
たとえば「ターゲット」がこれまでは一定規模存在していたのだけど、
小規模に多くの種類存在しているのが今の成熟市場の在り方なのでは、とか。とはいえターゲットごとにビジネスモデルを全部作り変えていたら大変な手間になるから、同一の仕組みでできるところ、変えるところの見極めがいるのではないか、とか。
ま、私が考えるくらいですから、著者の三谷氏も当然考えられていて、リーダーシップの在り方を支配型から複雑性や曖昧さに耐えられるコラボレーション型に変えないといけない、と説いています。これはほんと、私自身の実感値からも感じるところです。もちろんPJマネジメントでいうところの、役割分担、とか、スコープ、とか明確にする努力は必要なんだけど、すぐには言語化できないことにこそ、課題があり価値がある、こともあるのかな、と思うのです。
そして、ロジカルシンキングというのはビジネスの基礎中の基礎、でもれなくMeceに考える、ということが必達とされてきましたが、もれなくすべてをやりきるのではなく、大事なことを見極めて、大事なことにフォーカスをあてて考えることが重要。そして、大事だと思うことについてはそれがぢ大事であると相手に伝えて納得してもらわないといけない。ということも語られます。これを三谷氏は「重要思考」と名付けていますが実にわかりやすい名称ですね。覚えやすいし、日々意識もしやすいです。
もっともひとつだけ、ここはさらに考え方が変わるかもしれない、と思ったのは「スピード」についての考え方です。アメリカが開発に5年かかったところを日本は3年で開発してのけた。それこそが成長につながったとあります。。顧客の視点とケイパビリティの視点から、何にどれだけ時間がかかったか、を図らなければならない、と本にはありました。が、時間がかかったかだけでなく、価値を落としていないか、価値をあげられているかという視点が必要だと思います。そんなことは当たり前すぎてあえてかかれていなかったのかもしれませんが、価値を下げて時間だけ短縮しても社会のためにはなりません。
ということで、わかりやすくも深く学べる良い本でした。
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