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高齢期リハビリのココロエ

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これから高齢者になる方たちへ。高齢者リハビリ17年の作業療法士が考える高齢期リハビリにおけるたいせつなことをお伝えしていきます。リハビリは決して機能訓練だけではないんですよ。先入…
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#高齢者

高齢期リハビリのココロエ43 テレビショッピングの商品

高齢期リハビリのココロエ43 テレビショッピングの商品

早朝のテレビは【TVショッピング】のお祭りですね。ズバリターゲットは高齢者。その中でも『病気ではない身体不調を感じる方』でしょうか。

各番組の商品は様々です。ある日のラインナップは
青汁(活力)
オールインワンジェル(アンチエイジング美肌効果)
鮫の脂(活力)
マッサージ器(安楽)
老眼鏡(視覚改善)
足踏み式運動器具(運動能力)
でした。

だいたいが『◯◯を飲んで身体が軽くなりました。おかげ

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高齢期リハビリのココロエ42 高齢者施設のリアル

高齢期リハビリのココロエ42 高齢者施設のリアル

高齢になると時間ができるため男女とも趣味に勤しむ方が多くなります。そして弱らぬようにと運動習慣を身につけたりもしますよね。つまり退職後、子育て後の生活はそんな風になります。この時点でたくさんの時間を持て余す方も非常に増えるんではないでしょうか。

そして、あまり考えたくはないですが病気や不活発により要介護になったとしましょう。

晩年は施設に入所なんてことも可能性としてはあるかもですね。

では高

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高齢期リハビリのココロエ41 作業療法の考え方、多職種にひろがれ〜

高齢期リハビリのココロエ41 作業療法の考え方、多職種にひろがれ〜

要介護高齢者さんが施設に入ると、最初は『何かすることないか』ゴソゴソする方もいらっしゃいます。

認知症の方なんかは『何もすること無いなら家に帰ろう』とされます。

そしてどうにもならん環境とわかると『ここはジタバタしてもどうにもならん』と『動くこと』をやめます。

目の輝きは失われ、壁とテレビを見続ける、ベッドで寝る、生活になっていきます。

そんな施設ばかりではないですが、そんな施設は確実にあ

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高齢期リハビリのココロエ37 高齢者の肥満対応

高齢期リハビリのココロエ37 高齢者の肥満対応

 介護保険サービスでリハビリを長年してきますとご家族の要望をよく聞きます。『歩けるようにしてほしい』『トイレに1人で行けるようにしてほしい』がその代表ですが、『痩せさせてほしい。そのために施設で運動や機能訓練をしてほしい、家での体操を教えてほしい』という要望も結構あります。
 ご要望もわかりますが『無理です(マンツーマンの機能訓練だけでは)』というのが回答になります。なぜかと言いますと、介護保険サ

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高齢期リハビリのココロエ36 痛みは自分でコントロールするのだ

高齢期リハビリのココロエ36 痛みは自分でコントロールするのだ

【あらすじ】
2年4か月前に直腸がん診断され、治療により一旦、『がん』が消失したかに思えましたが、約4か月前に『がん局所再発』しました。手術ができず、抗がん剤治療で手をこまねいてます。作業療法士として高齢者リハビリは18年です。

【本題】
今日のテーマは高齢者の『慢性痛』です。わたしの『がん』の感じ方と絡めてお話いたしますね。
『慢性痛』とは原因がなく一ヶ月以上続く痛みです。肩や腰、膝が多いです

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高齢期リハビリココロエ34【どんな状態でも行動あるのみ】

高齢期リハビリココロエ34【どんな状態でも行動あるのみ】

健康度チェックです。
1.お腹が空いたらどうしますか?
2.気分転換したいとき何をしますか?
3.楽しみたいとき何をしますか?
4.身体がなまっているとき何をしますか?
1〜4の際に、何か行動できればあなたは健康です。たとえばお腹が空いたら『カップラーメンをつくる』『コンビニへプリンを買いに行く』などがその行動にあたります。
「それが健康?」という声が聞こえてきそうですが、そうなんです、それが健康

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高齢期リハビリのココロエ32【恥骨骨折後の触れないリハビリ】

高齢期リハビリのココロエ32【恥骨骨折後の触れないリハビリ】

 恥骨骨折をされた80代後半の女性を担当いたしました。骨折後は言わずもがな車椅子生活でした。本人も「もう歩けるようになんて絶対にならない。」と落ち込んでおられました。
 恥骨とは骨盤の一部です。イラストのマルで囲んだところで、体重を支えたり、内蔵を守ったりしてます。

で、やっぱり足を動かしたり、立ったりすると痛いんです。2週間は安静が必要となります。
 さて、安静期間ですが、車椅子生活。動くと痛

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高齢期リハビリのココロエ29 高齢者施設に入所する男性利用者はすることがない

高齢期リハビリのココロエ29 高齢者施設に入所する男性利用者はすることがない

ある老健の男性利用者のお話です。「退屈、することないわ。」と70代後半糖尿病の男性利用者。「ここはなんもすることないなぁ。」と80代片麻痺の男性利用者。
 施設では様々な作業や活動を提供してます。頭手足を動かさないと人は弱っていきます故、施設側は活動の選択肢を用意し、かつ増やしているわけです。『なぜするのか?』や『生活を通して心身を健康にする方針』も説明はしています。しかしどうしても男性は施設での

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高齢期リハビリのココロエ28 『歩けないなら家に帰ってくるな!』

高齢期リハビリのココロエ28 『歩けないなら家に帰ってくるな!』

「車椅子なら家に帰ってくるな。」
「家に帰るには歩けないといけない。」
高齢者リハビリ(わたしは老健施設勤務:介護保険サービスのリハビリ施設)に関わってますとそんな言葉をよく耳にします。これはご家族の発言なんですが、反対に自分が同じ立場ならどうでしょうかね。「車椅子でも帰らせてくれ!なんとでもなる!」って言うんじゃないでしょうかね。
 私達、リハビリの専門家からみればご家族のストップにより在宅復帰

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高齢期リハビリのココロエ22 高齢者リハビリは税金のむだづかい?

高齢期リハビリのココロエ22 高齢者リハビリは税金のむだづかい?

よくTwitterで見かけるのが、『高齢者に公金からリハビリ費用を出すのはムダだ』という意見です。ある意味、非常に鋭いご指摘だと思います。さらに、リハビリを受ける方は『マッサージ』を希望し、セラピスト側も希望通りにしてしまう、そんなものは税金の無駄遣いだ!と。
 これ否定できません。要介護高齢者は週1〜2回、1回につき20分〜60分程度の機能訓練や動作練習をしたとて著しい機能回復など望めないことが

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高齢期リハビリのココロエ27 利用者・家族はウソをつく?

高齢期リハビリのココロエ27 利用者・家族はウソをつく?

セ=セラピスト 利=利用者 家=家族
セ「立ち上がれますか?」
利「できません、立たせてください」
→実際はものにつかまれば立てる

セ「歩けますか?」
利「全然、歩けないんです」
→実際は歩行器で歩ける

セ「◯◯さんは、ごはん食べておられますか?」
家「食欲が無く食べられてないんです」

→いつもの7割程度は食べられる
 えてして、医療職・介護職スタッフが利用者本人や家族へ質問した時に『客観的

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高齢期リハビリのココロエ26 こんな考え方は老化が進みやすい…かも

高齢期リハビリのココロエ26 こんな考え方は老化が進みやすい…かも

「病気になって動きにくくなったから、家族に家事をやってもらおう。」
「もう歳だから嫁に家事をしてもらって当然。」
「仕事を定年まで頑張った。もう何もせずのんびり暮らそう。」
「同居したから娘が家事をしてくれる。」
「妻が今までは家のことをしてきたから、これからも家のことは妻に任せよう。」
「車椅子になったらもう何もできない。」
「麻痺が回復しないと元の生活に戻れない。」
「人に迷惑をかけるから動か

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高齢期リハビリのココロエ25 【あなたは1日名前を何回呼ばれますか?】

高齢期リハビリのココロエ25 【あなたは1日名前を何回呼ばれますか?】

 ちょっと数えてみてください、1日何回名前を呼ばれたり話しかけられますか?お仕事してる方は20回は、あるかもしれませんね。反対に1日家にこもっていれば一度もないこともありますよね。
 名前を呼ばれるということは、その社会集団の中で存在が認められているということです。つまり社会の一員だ!と潜在的に感じている、ということですね。
 それに加えてその集団内で『ありがとう』とか『仕事がんばってるね』とか『

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高齢期リハビリのココロエ20 高齢者には不親切に?!

高齢期リハビリのココロエ20 高齢者には不親切に?!

 突然ですが骨折したことありますか?わたしはあります。あれは中学2年のときにスキーで大転倒して右親指を骨折、その後控えていたテニスの大会に出られず、悲しい想いをしました。
 右手を骨折したら不便ですね。右手でしていたことを左手でしないといけないですし。と、私達、若い世代は何かしら身体に不自由があっても、なんとかかんとか工夫をして生活をしていきます。だって右手を骨折してようが宿題はしないといけない、

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