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高齢期リハビリのココロエ29 高齢者施設に入所する男性利用者はすることがない

ある老健の男性利用者のお話です。「退屈、することないわ。」と70代後半糖尿病の男性利用者。「ここはなんもすることないなぁ。」と80代片麻痺の男性利用者。
 施設では様々な作業や活動を提供してます。頭手足を動かさないと人は弱っていきます故、施設側は活動の選択肢を用意し、かつ増やしているわけです。『なぜするのか?』や『生活を通して心身を健康にする方針』も説明はしています。しかしどうしても男性は施設での活動は嫌がられます。
 「◯◯さん、エコバッグを作るんですがいかがですか?」「△△さん、掃除をお願いしてもよいですか?」等、お声掛けしますが「ええわ。そんなんせんでも。」「ここは患者に働かせるんか。」「なんでおれがそんなことせなあかんねん。」「まだ治ってないからできひんわ。」とお答えが返ってきます。
 そしてベッドで横になりテレビを観る毎日。スタッフへは「ここはなんにもすることないわ。」「リハビリしてくれ。」という始末。…なんていうんでしょうか。自宅でも同じような毎日を送られるんではないでしょうか。自分で時間を有効に使おうとする努力はないんでしょうか。なぜ自分で暇つぶし道具のひとつやふたつを準備できないんでしょうか。
 そもそも男性は高齢かつハンデを背負った際に行うことがないんですよね。家事はしてこなかった、趣味は身体が悪くなったからやめた、亭主関白で頭が硬い、これでは要介護になった時に本当に何もすることがなくなります。家族も「お父さんは何もせずベッドでテレビを観てるだけで身体が弱っていく。」と心配されます。
 『することがない』『することを探さない』ということほど老化を速め、QOLを低下させるものはありません。高齢は喪失の時期です。『身体』『気持ち』『友人』『家族』『趣味』『役割』などたくさんのことを喪失する故、前向きな思考にはならないかもしれません。しかしどんな状態でも自分が動かない限り、健康は保てません、どうか高齢男性の皆様、どんな状態でも柔軟な思考で自分でできることを探しましょう!そう考えると女性は強い。

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