「トレンドだから」、「やらないと怒られるから」ではない、サステイナブルなファッションへ #WhoMadeMyClothes
今週、4月22日から28日は、ファッションレボリューションウィーク。
2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ付近で、ビルが崩落し、少なくとも1,134人が犠牲となる事故が起こった。
そのビルの名前は、「ラナ・プラザ」ビル。
ビルの中には、誰もが名前を聞いたことあるような、世界中に展開している有名ブランドの縫製工場が入っていた。
崩落の原因の一つは、大量生産を目的として、建物が耐え得る以上の労働者が詰め込まれていたことにあった。
「私たちが安さだけを求めて買い物をし続ける限り、また同じ悲劇を繰り返す可能性があります。」
このような思いから、「よりサステナブルで、人にも環境にも配慮した、真のファッションの価値を問い直す」ことを目的とし、さまざまな立場の有志が集まって2014年に立ち上げられたのが、ファッションレボリューション(以下FR)。
FRは毎年、4月24日を含む一週間をファッションレボシューションウィークとし、イベントやソーシャルアクションなどを通して、ファッションについて改めて考え直すための期間としている。
そして今日、この動きは、いわゆる"先進国"からそうではない国まで、世界中に広まっている。
日本でも、エシカルへ
今年の2月末、日本の有名ブランドであり、今年20周年を迎えるearth music&ecologyが2019年春の新CMを発表した。
そのメッセージは、「エシカル」。
プレスリリースによると、エシカルとは「倫理的、道徳上という意味の形容詞、人や社会、地球環境、地域への配慮を意味」するとのことだ。
CMは、役者の広瀬すずさんが日本の消費者として、earth music&ecologyのお店を見るところから始まる。
その後、すずさんが作った人へ思いを馳せると同時に、流れてくる映像はバングラデッシュ、ダッカの工場。同ブランドのお洋服を作る19歳のアイーシャさんが、自分自身の言葉で、自分のことを話す。
最後は、広瀬さんに戻り、「earth music&ecologyは、エシカルへ」という言葉で終わる。
公式ウェブサイトにて60秒のCMを観ることができます。
earth music&ecologyは、フェアなサプライチェーンや廃棄物の削減、エコファー、オーガニックコットンの使用などに取り組みを進めていくという。
また、それに続いてショッピングバックの有料化を宣言するなど、その動きは具体化しつつある。
筆者はあまりファッション業界に詳しくないので断定はできないが、日本の大手のブランドでエシカルをここまで強く押し出した例はあまりないのではないかと思う。
まだまだ広まっていない現状も
日本の、特に大規模な展開をしている(=わたしたちが普段目にすることの特に多い)企業の多くは、現在は積極的には人権や環境への配慮を行なっていないという現状がある。
昨年12月、東京とロンドンに本部を置く二つのNGOは、日本に拠点を置く日系およびグローバルなアパレル企業62社に対して、人権に関する取り組みに関する調査を行なった。
その結果、アンケートに対して回答を行なった企業自体が約3割と低かったうえに、「国際基準に適合する人権方針や調達指針を策定している企業は13社しかなかった」という結果が浮き彫りとなった。
さらに、いわゆる"途上国"での人権や環境製のほかに、外国人技能実習生に対する対応も不十分な企業が少なくないことも分かった。
また、国外のユニクロの店舗前では、生産者自身が十分な賃金を得ていないとして、抗議を行っている場面も見られる。
実際に、日本で「エシカル」や「生産者」について、日常の買い物で意識することはなかなかないし、ブランディングの面でもそのようなことを推している企業はあまり多くないであろう。
消費者として、できること
もちろん、これらすべての責任を企業に問うことは難しい。
それは、消費者としてのわたしたちが、今の状態でも構わない、ということを間接的にでも消費行動を通して表しているからである。
では、今の状態ではだめだ、と少しでも思うのであれば、どうしたらいいのだろうか。
不買運動なども含めて、選択肢はいくつかある。
ここでは冒頭に戻り、ファッションレボリューションウィークの今、おすすめのアクションを紹介する。
参加方法は簡単。
お気に入りのお洋服を、ブランドタグを見せた状態で写真を撮る。
その写真を、SNSにアップするだけだ。
写真を撮ったら、 #WhoMadeMyClothes あるいは #私の服は誰が作ったの というハッシュタグと、ブランドのアカウントをタグあるいは@をつけてメンションする。
これで、タイムラインを見たお友だちや周りの人たちにとって、そういえばわたしのお洋服って…と考えるきっかけになるかもしれない。
そしてタグをつけられた企業の人には、お洋服がどのように作られてきたか、わたしたちは気にしていると伝えることができる。
まさに、一石二鳥。
どうしたらインスタ映えするか、考えながら撮るのも楽しい。
何のための「エシカル」なのか
ここまで、日本で始まってきた「エシカル」への試みと、それをさらにみんなで続けていくために、消費者であるわたしたちになにができるかを取り上げてきた。
何でも欧米の流れに乗ればいいというわけでもないが、今日、アメリカやヨーロッパで環境などがますます注目されるなか、生存戦略としても企業が「エシカル」に気を配る必要性は増してくるのではないかと筆者は見ている。
だが、今回は大きく取り上げなかったものの、そもそもの部分にはわたしたちが豊かな生活を楽しむために、たくさんの労働をしてくれている人たち、そして、自然環境があることを忘れてはならない。
「エシカルであることがトレンドだから」
「やらないとステークホルダーに怒られるから」
動機が何であれ、サステイナブルな世界が実現すればいいかもしれない。
けれど、本当に今、わたしたちが向き合わなければならないものは何であるのかについても、問い続けなければならないのではないだろうか。
わたしも、 #WhoMadeMyClothes をやってみた💗
実は手に持っている服は、earth music&ecologyで買った、オーガニックコットンブレンド素材を使用したシャツだ。
ちなみに、「エシカル」であったから買った、というよりは、手に取ってみたら「エシカル」であったことを知った、というほうが正確である。
このフォトアクションはすぐできるので、自信をもってみなさまにもおすすめできます。
earth music&ecologyが20周年という大事な年に、「エシカル」というメッセージを打ち出してくれたことには、いち消費者として感謝したい。
多くの人が目にし、気軽に手に取り、注目するブランドであるからこそ、そのインパクトは大きいのではないかと思う。
また、生産者や環境に優しい選択肢が増えたこと自体、とても嬉しい。
その一方、いち消費者としては、もっと多くの情報を開示してほしいとも考える。
アイーシャさん以外には、どのような人がお洋服を作ってくれているのか。
その人たちは、どのような暮らしをしているのか。
わたしのお洋服は誰が作ってくれたのか。
わたしたちの手元にお洋服が届くまでには、どのような過程を経ているのか。
そもそもお洋服の素材はどのように作られているのか。
きっと、これらは特段生産者の権利や環境に興味がなくても、知ることができたほうが、みんなにとっていいことなのではないかと考える。
みんなで、よりサステイナブルな世界に向けて何かを始めることができる。
ファッションレボリューションウィークは、そんな年に一度のチャンスなのかもしれない。
Minori
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