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本の紹介

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気象、空、雲、気候変動、自然等の本の紹介です。
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夏休みに読んで欲しい3冊の本(自然について考え、心を豊かにしてくれる本)

夏休みに読んで欲しい3冊の本(自然について考え、心を豊かにしてくれる本)

 日本の夏はとにかく暑いので、私は外出を控えて自宅で本を読むようにしています。会社員時代に忙しい中で速読気味に読んだ本をリタイアした今、もう一度ゆっくりと読み返すのが好きです。

 3年前に紹介した本の中から自然について考える参考となる本を3冊、再度紹介させて頂きます。私の投稿を見に来てくれる方々も3年前とはかなり入れ替わりがあり、3年前の紹介本を知らない方も多いと思いこの投稿を書きました。自然の

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本の紹介「日本の樹木ポケット図鑑」 増村征夫著/マガジン紹介のお礼

本の紹介「日本の樹木ポケット図鑑」 増村征夫著/マガジン紹介のお礼

花(樹木系)や木の名前が気になる人にお勧めの一冊です。340種類の樹木が載っていて、文庫本サイズなので持ち運びも便利です。スマホで何でも調べられる時代ですが、やっぱり本がいいと思っている人向けの樹木図鑑です。

散歩や旅行中に気になる木に出会うと、その木の名前を知りたくなります。通常、そのように気になる木というのは、きれいな花が咲いていたり、実がなっていたりすることが多いと思います。

この樹木ポ

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本の紹介「熊田千佳慕の言葉 私は虫である」

本の紹介「熊田千佳慕の言葉 私は虫である」

熊田千佳慕(ちかぼ)は、ファーブル昆虫記の挿絵をはじめとして虫や草花の絵を98歳で亡くなる直前まで描き続けた画家です。

私は、10年くらい前にNHKのBS放送の番組で熊田千佳慕を初めて知りました。2009年に98歳で亡くなられているので、おそらく亡くなる少し前の映像だったのだろうと思います。

映像の中で熊田千佳慕は自宅の庭に腹這いになって長い時間、昆虫を観察し、そして精密な絵を描いていました。

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広がれ!センス・オブ・ワンダーの輪

広がれ!センス・オブ・ワンダーの輪

2月にレイチェル・カーソンの著書「センス・オブ・ワンダー」の紹介記事を投稿しました。

多くの人に読んで欲しいけど、この本に興味を持ってくれる人がどれくらいいるのかな?と少し心配しつつ投稿してみました。しかし、予想に反して多くの人が記事を読んでくれて、コメント欄に「読んでみたいです」と書いてくれる人もいました。

その後、なつめぐさんときまそらさんが「センス・オブ・ワンダー」の紹介記事を書いてくれ

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本の紹介 「ガラスの地球を救え」 手塚治虫著

本の紹介 「ガラスの地球を救え」 手塚治虫著

鉄腕アトム、ジャングル大帝、リボンの騎士、ブラックジャック、火の鳥等、私が子供の頃は手塚治虫の漫画がいつも身近にあり、漫画を通して色々な事を教えてもらいました。

この本は、漫画家の手塚治虫が書いた短編エッセイを集めたもので、手塚治虫の死後(1989年没)に発行されました。本の題名を見た時、地球環境問題についてのエッセイ集だろうと思いました。しかし、読んでみるとそれだけではなく、地球の自然、宇宙の

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本の紹介「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著

本の紹介「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著

【イントロ】この本は、人生を豊かにするために必要なこと、大切なことを私達に教えてくれる素敵なメッセージ本です。宗教ではなく自然についての本で、自然観察、自然保護に取り組む人にとってはバイブルのような本です。ページ数は挿入写真を入れても50ページほどで、1時間も掛からず読めてしまいますが、ゆっくり、繰り返し読みつつレイチェルの伝えたいメッセージを心で感じることが大切です。

レイチェル・カーソンは、

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本の紹介「葉っぱで調べる樹木図鑑」林将之著

本の紹介「葉っぱで調べる樹木図鑑」林将之著

これは、木の名前なんてほとんど知らないしどうやって調べるの?という人向けの本です。

本の題名の通り葉っぱで調べるのですが、木の知識がない人にも簡単に調べられるようになっています。以下にその概要を記します。

最初に「検索表」が載っており、この検索表に従って葉っぱを分類します。葉の幅は広い(広葉樹)か狭い(針葉樹)か、広葉樹であれば葉に切れ込みがある(モミジ系)かないか。切れ込みのない葉の場合、葉

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本の紹介 「天気と海の関係についてわかっていることいないこと」 和田章義編著 杉本周作他著

本の紹介 「天気と海の関係についてわかっていることいないこと」 和田章義編著 杉本周作他著

地球の約7割は海です。当然、海は天気に大きな影響を及ぼしています。今年、2020年12月中旬の日本海側の大雪も、寒波による大気温の低下と日本海の海面水温の高さ(大気と海水面の温度差が大きかったこと)が原因です。

海風・陸風、エルニーニョ、モンスーン等々、一般によく知られた現象も海が関係しています。

イギリスのロンドンは北緯51度に位置し、北海道北端の稚内(北緯45度)よりも北にありますが、1月

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本の紹介 「地球温暖化 そのメカニズムと不確実性」 日本気象学会編

本の紹介 「地球温暖化 そのメカニズムと不確実性」 日本気象学会編

この本は、ある程度のことは知っているが更に詳しく知りたい、勉強したいと思っている人向けの参考書です。

本の前書きに「地球温暖化現象の最新の知見と不確実性、解決すべき課題をわかりやすく社会に説明するために本書の出版を企画した。」とありますが、一般(専門外)の人には少し難しいと思います。

日本気象学会(地球環境問題委員会)の編集に加え、各章の執筆者も各分野の第一人者で、必要な事項がしっかり盛り込ま

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本の紹介「日本の七十二候を楽しむ」 白井 明大(文)     有賀 一広(絵)

本の紹介「日本の七十二候を楽しむ」 白井 明大(文) 有賀 一広(絵)

日本には彩豊かな四季があります。春夏秋冬の四季には、それぞれ六つの節気があり二十四節気と呼ばれています。ここまでは知っている人が多いと思いますが、更に、それぞれの節気が三つ(初候、次候、末候)の候に分けられ、それらを七十二候といいます。

秋であれば、立秋から始まり(各季節の始まりは全て「立」、立春、立夏、立秋、立冬)、処暑、白露、秋分、寒露、霜降という六つの節気があります。

この中の寒露(十月

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本の紹介「地球温暖化の予測は正しいか?」   江守 正多著

本の紹介「地球温暖化の予測は正しいか?」   江守 正多著

 この本は、「気象のことはほとんど知らないけど、どうして地球が温暖化するの?、将来の気温上昇が2℃とか3℃とか言ってるけど、どうやってそんな事を計算してるの?」と思っている人向けの比較的読み易い本だと思います。

 著者は、気候モデルの開発者、つまり、二酸化炭素濃度の上昇により地球の気温がどうなるのかを正しくシミュレーションするための気候モデルを研究開発している人です。開発の当事者ではありますが、

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本の紹介「雲のカタログ」 村井昭夫・鵜山義晃著

本の紹介「雲のカタログ」 村井昭夫・鵜山義晃著

 空や雲が好きな人は多いと思いますが、あなたの好きな雲は何ですか?と聞かれて「綺麗な青空に筆を軽く滑らせたような毛状雲(巻雲の一種)かな」と答えるような人はいないと思います。しかし、この本を読むと好きな雲がいくつかできると思います。

 世界気象機関(WMO)によって、雲は十種の雲形に分けられていますが、これらの雲形はそれぞれの特徴によって細分化され、100種類に分類されます。本書には、この100

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