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「少女文学 第二号」について/栗原ちひろ個人サンプル
同人誌が出ます。
今回、この本の巻頭にわたしのお話が載ります。「黄金と骨の王国 白銀の騎士と人形の王女の章」といって、少女文学第一号に載せていただいた話の続き、というか、過去編です。
第二号から読んでも全然かまわない、一話完結の物語です。むしろ、こちらから読んでもらって、あとから第一号を読んでいただくと一際趣深いかもしれないので、気になったら気軽に物語の世界に飛び込んでみてくださいね。
【短編小説】魔法使いは王命に従い竜殺しを試みる【SFファンタジー】
魔法使いは王に「竜殺し」を命じられた。
存在すらしない竜を、どうにかして殺せというのだった。
――遠い昔、もしくは遠い過去、ひょっとしたら今このときに、遠い星で繰り広げられる、ほんの小さな神さまとひとのお話です。
12,768 文字(読了目安: 26分)
初出『ファンタスティック・ヘンジ』2012年
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ジェニースは夢をみていた。
どこまでも続く真っ黒な空、赤くひび割れた大地、
合同誌「少女文学」栗原ちひろサンプル
2019/5/12コミティア発行予定の企画合同誌「少女文学 第一号」に寄稿した栗原ちひろ作品のサンプルです。合同誌についてはこちら↓
黄金と骨の王国 ~半竜人と死せる第一王女の章~
穴には死が詰まっていた。
闘士の死。もしくは、獣の死。穴から這い上がるにはどちらかが必要だった。
闘技場とはそういうものだ。天上の王都でもそうだし、《海鼠色の蛇に似た竜》の名を冠した四十七番目の塔に近い貧民の
5/12コミティア個人誌サンプル【7】
2019/5/12コミティア発行予定の個人誌サンプルその7です。6はこちら↓
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6・一番暗い海の底で君と出会った
「夜の海は好かねえなあ。いまひとつ、よくねえよ。そう思わねえか、エリオ」
「今更帰れないのに、何言ってんだ。もうだいぶ沖に来てるし、ルカ兄貴の着てるそのスーツ、くっそ高えしさ」
振り返りもせずにエリオが言うと、漁船の甲板にしゃがみこんだルカが嘆きのうなりをあげた。彼はい
5/12コミティア個人誌サンプル【6】
2019/5/12コミティア発行予定の個人誌サンプルその6です。5はこちら↓
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5・人形操者のナイトクルージング
腹の底から揺さぶられるようなエンジン音と、有機的な揺れ。潮の香りに入り交じるオイルの臭い。削った黒大理石みたいにつやめく、夜の波。
自分たちを包むすべてを楽しみながら、ジルドはうっとりと言った。
「これが夜釣りだったら、もっと楽しいんだけどね。よく冷えたスプマンテと、
5/12コミティア個人誌サンプル【5】
2019/5/12コミティア発行予定の個人誌サンプルその5です。4はこちら↓
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4・片手に銃、片手に夜への招待状
「う、うわあああああぁぁぁ!」
あっという間に叫びが遠くなっていき、エリオは窓枠を掴んで身を乗り出した。
花柄男がぐんぐん遠くなる。落ちて行く、落ちて行く。
エリオの大好きな真っ青な海に落ちて行って――ばしゃん、と高い水しぶきが上がった。エリオはまだしばらく海面か
5/12コミティア個人誌サンプル【4】
2019/5/12コミティア発行予定の個人誌サンプルその4です。3はこちら↓
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3・宝探しはなんのため?
エリオははっとしてドアを見る。客は三人。
手前の二人はごく普通のちんぴらに見えたが、一歩後ろに控えた奴はいささか面倒くさそうだ。何せ、ド派手な花柄シャツに真っ白なスーツをまとい、どこで売っているのか見当もつかないヒョウ柄のボルサリーノをかぶった、三十代後半くらいの脂ぎった男だ。
5/12コミティア個人誌サンプル【3】
2019/5/12コミティア発行予定の同人誌サンプルその3です。その2はこちら↓
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2 野良猫は天使を誘う エリオが海から上がって二十分ほど後。
エリオとエリオの兄貴分のルカは、海辺のレストランの厨房にいた。
「ほふぇで、ひょうのほんだひひゃんだが」
「ちゃんと、口の中のもの食ってから言え」
エリオがうんざり顔で言うと、ルカはリスみたいに頬張っていたパスタをようやく呑みこむ。彼は
5/12コミティア個人誌サンプル【1】
死んだ目をした君と、天国みたいに美しい海で出会った。
とある世界の海辺の町、コローナ。観光と、海底遺跡から財宝を引き上げるサルベージしか産業のないこの町で、ふたりの少年が出会う。 サルベージに魅せられた元ストリートチルドレン、エリオ。マフィアにさらわれてやってきた元資産家の息子、カール。 ふたりのぎくしゃくした友情は、やがて町にはびこるマフィア組織を揺るがし、海に沈んだ古代遺跡の謎をも解き