杜琴乃

主に詩を書きます。

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記事一覧

二月十五日

チョコレート色をした薔薇の結晶は、 かつてオアシスがあった場所に咲く。 ながい時間、砂漠をさ迷い 風と砂に調和されたキャンディ色の瑪瑙。 焼きたてはふわふわ、 冷…

杜琴乃
1年前
7

紫陽花散策2022

一年ぶりの六月も同じ場所で紫陽花を撮っている。 変わったことと変わらないこと、わくわくすることや憂鬱なこと。 わたしも紫陽花もハーフ アンド ハーフ 色や種類が変…

杜琴乃
1年前
6

休日/雪/ホットチョコ

雪の予報が子守唄になったから 朝、目覚めたところがやたら寒い 天気管に広がる羽根は 丸まった背中から消えたもの 窓の外、雪は積もりはじめた 湿った雪の落ちる速度は…

杜琴乃
2年前
9

梅雨の憂鬱

梅雨ですね。 まいにち雨が降っています。 雨の止んだ頃を見計らって近所をさんぽしてきました。 ・ ・ ・ メルヘンカラーの紫陽花は 自分の重みで零れ落ちるまでの 僅…

杜琴乃
2年前
9

梅雨、You, too?

雨の日が続くと少し憂鬱ですね 自然のように上手に着こなすにはどうしたら良いでしょう? もうすぐ青くなるブルーベリーのように思い切って上を向いてみますか? それと…

杜琴乃
2年前
6

(朗読)自作詩『蛋白石のねむり』

『蛋白石のねむり』 乱雑に重ねられた手紙に ぽつぽつと雨が降りはじめ 境界を失くした紙片は 月曜日の集積所で 収集を待つ月刊誌の断面に似てくる 昨夜、思い立って一括…

杜琴乃
3年前
6

窓際の胸像

風は校庭を煽り 走り回る子どもらの 白い肌に砂を吹き付け 彼や彼女らを美術品にした 大いちょうから 黄色な葉は (Good bye!Good bye!) 無限に飛び出し みんな何処へ行…

杜琴乃
3年前
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蛋白石のねむり

乱雑に重ねられた手紙に ぽつぽつと雨が降りはじめ 境界を失くした紙片は 月曜日の集積所で 収集を待つ月刊誌の断面に似てくる 昨夜、思い立って一括りにした恋愛ドラマは …

杜琴乃
3年前
6

つつじ、さつき

卒業と入学の狭間の四月のある日。 暑いくらいだった数日の後、また少し寒くなった。(なぜか毎年、炬燵を片付けた直後である。) 春らしい陽気、とは気温なん度くらいを言…

杜琴乃
3年前
10

小春日和

2021年2月某日 暖かく風のない日だった。 14歳の犬と散歩に出たが、 彼は自宅アパートの敷地から出ようとしなかった。 ごく地面に近いところになっていた黒い実はなんの…

杜琴乃
3年前
13

(朗読)自作詩『アフタヌーンティー』

『アフタヌーンティー』 ふと、静寂に気がつけば 羽ばたき方を忘れた蝶々が 部屋の隅で対流して 壁いっぱいに 西日が注ぐ 冷蔵庫の奥に隠していた 色とりどりのお菓子は…

杜琴乃
3年前
10

Crystal days in 埼玉 備忘録

2020年8月2日 Crystal days in 埼玉に行ってきました! https://www.mineralshow.net 大宮ソニックシティ第1展示場 今回の一番の目的は、ゴビ瑪瑙!!! グンマー帝国さ…

杜琴乃
3年前
3

ピーコック・オア

孔雀が水浴びをした朝は 雲が幼鳥の胸のようにふっくらとして 四月の曇天に 白いブラウスが震えている 自転車を漕ぎ出せば 肺は冷たい空気で満たされ 見慣れた貯水池はす…

杜琴乃
3年前
6

紫陽花散策2020

近所の紫陽花散策へ行ってきました。 入口ではマゼンタ色の紫陽花がお出迎え。 あらら?ハートの女王の目印が……? 迫るように満開な紫陽花に圧倒されて、 ただの一本道…

杜琴乃
3年前
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(朗読)『博物誌』より「鼠」

朗読しました。3分ほど。お聴き下さりありがとうございます。

杜琴乃
4年前
8

レモンシロップ

夏の終わりを労わるような レモンを切る感触が 湿った肌を清拭する 作りあげた層は 糖水を思い出して 砂糖はよく泣いた 一滴、一滴、が 保存瓶の底に溜まる 結晶と溶解の …

杜琴乃
4年前
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二月十五日

二月十五日

チョコレート色をした薔薇の結晶は、
かつてオアシスがあった場所に咲く。

ながい時間、砂漠をさ迷い
風と砂に調和されたキャンディ色の瑪瑙。

焼きたてはふわふわ、
冷めたらサクサクのココアクッキー。

冷たい北風と畑の土埃が
あなたを化粧して
ほつれたところから
羽ばたいて
あなたは
線路を超えるためのトンネルを
幾度となく往復して
鬆がはいったカスタードプディングが
懐かしい

砂漠の薔薇が咲く

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紫陽花散策2022

紫陽花散策2022

一年ぶりの六月も同じ場所で紫陽花を撮っている。

変わったことと変わらないこと、わくわくすることや憂鬱なこと。

わたしも紫陽花もハーフ アンド ハーフ

色や種類が変わるたびに立ち止まり、

雨を待っているような
陽光へ向かっているような
曇り空

✎︎____________

一年ぶりの……と書き始めたけど去年は七月に入ってからでした。

一昨年は六月末。

一昨年、毎年同じように写真を撮る

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休日/雪/ホットチョコ

休日/雪/ホットチョコ

雪の予報が子守唄になったから
朝、目覚めたところがやたら寒い

天気管に広がる羽根は
丸まった背中から消えたもの

窓の外、雪は積もりはじめた
湿った雪の落ちる速度は想像よりも遥かに速く
わたしのことなど気にも留めずに
ずんずん寒くなる

何処へも行きたくないなぁ

チョコレートはひと欠片25g
鍋で温めたミルクに溶かして

浮かべたマシュマロは
浸かったところから形を失う

明日になれば
いつも

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梅雨の憂鬱

梅雨の憂鬱

梅雨ですね。
まいにち雨が降っています。

雨の止んだ頃を見計らって近所をさんぽしてきました。





メルヘンカラーの紫陽花は
自分の重みで零れ落ちるまでの
僅かな季節を過ごす蝶であり
ひと粒の雨のための器

いつか最上級の枕で眠りたい
まち針のためのピンクッション

憧れのジューンブライド
血を吸うから
蚊を殺した

目覚めると綿飴に似た日曜日の朝
アイスクリームショップのテレビコマー

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梅雨、You, too?

梅雨、You, too?

雨の日が続くと少し憂鬱ですね

自然のように上手に着こなすにはどうしたら良いでしょう?

もうすぐ青くなるブルーベリーのように思い切って上を向いてみますか?
それとも一緒に水玉を覗いてみてますか?

すべての小さなひと粒にも景色があります
日々のように
わたしたちのように

……
では、また。

(朗読)自作詩『蛋白石のねむり』

『蛋白石のねむり』

乱雑に重ねられた手紙に
ぽつぽつと雨が降りはじめ
境界を失くした紙片は
月曜日の集積所で
収集を待つ月刊誌の断面に似てくる
昨夜、思い立って一括りにした恋愛ドラマは
明け方の湿気を吸って
鍵を失くした日記帳のように清潔だ

(菫色の月光が注ぐとき蛋白石のねむりは静かに/饒舌になる)

週末のラインを操る
指先だけに顕れる
Lamé
所謂、みずうみのねむる蛋白石は
てらてらとし
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窓際の胸像

窓際の胸像

風は校庭を煽り
走り回る子どもらの
白い肌に砂を吹き付け
彼や彼女らを美術品にした
大いちょうから
黄色な葉は
(Good bye!Good bye!)
無限に飛び出し
みんな何処へ行く

逆上がり
宙返り
なんのその
柵を越え
門限破り
怖くない
窓ガラス
割らない
監視員
居ないプールに
揺れる藻の
サンドレス
腐蝕した
パニエとレース
綿密な枝の影を巻き付けては
巻き付けては器用に臍帯をほど

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蛋白石のねむり

蛋白石のねむり

乱雑に重ねられた手紙に
ぽつぽつと雨が降りはじめ
境界を失くした紙片は
月曜日の集積所で
収集を待つ月刊誌の断面に似てくる
昨夜、思い立って一括りにした恋愛ドラマは
明け方の湿気を吸って
鍵を失くした日記帳のように清潔だ

(菫色の月光が注ぐとき蛋白石のねむりは静かに/饒舌になる)

週末のラインを操る
指先だけに顕れる
Lamé
所謂、みずうみのねむる蛋白石は
てらてらとして
月のあかるい間に秘

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つつじ、さつき

つつじ、さつき

卒業と入学の狭間の四月のある日。
暑いくらいだった数日の後、また少し寒くなった。(なぜか毎年、炬燵を片付けた直後である。)
春らしい陽気、とは気温なん度くらいを言うのだろう?
あちらの桜はすでに満開で、こちらの桜はまだまだ、という不思議な光景も目にした。品種の違いだろうか、日当たりの差だろうか。
それにしても、桜がひらひらと散る様は毎年迂闊にも感動してしまう。

上ばかりを見ては肩が凝る。
と、さ

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小春日和

小春日和



2021年2月某日
暖かく風のない日だった。
14歳の犬と散歩に出たが、
彼は自宅アパートの敷地から出ようとしなかった。

ごく地面に近いところになっていた黒い実はなんの実だろう。
大人になるとしゃがんだ景色を見ようとするときに少し勇気が必要になるのはなんでだろう。

「それ以上は行けないよ」

と、声をかけるも犬はお構い無しなもんだから、いい大人が必死に小さい声で声を張って犬に話しかける姿を

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(朗読)自作詩『アフタヌーンティー』

『アフタヌーンティー』

ふと、静寂に気がつけば
羽ばたき方を忘れた蝶々が
部屋の隅で対流して
壁いっぱいに 西日が注ぐ
冷蔵庫の奥に隠していた 色とりどりのお菓子は
いつかあなたに誘われて ベランダから見た
千切れた淡い色の雲
オルゴールの眠っているピンや
まだ空にあらわれない星たちの瞬きのように
足下に少し冷たい空気をこぼす
それらが意味するものは 雨だと知らずに

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Crystal days in 埼玉 備忘録

Crystal days in 埼玉 備忘録

2020年8月2日
Crystal days in 埼玉に行ってきました!
https://www.mineralshow.net

大宮ソニックシティ第1展示場

今回の一番の目的は、ゴビ瑪瑙!!!

グンマー帝国さん( https://twitter.com/crazyagate02?s=21 )のゴビ瑪瑙 詰め放題です!グンマーさんも、お客さんも皆さんお優しくてとても楽しかったです!

しか

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ピーコック・オア

ピーコック・オア

孔雀が水浴びをした朝は
雲が幼鳥の胸のようにふっくらとして
四月の曇天に 白いブラウスが震えている

自転車を漕ぎ出せば
肺は冷たい空気で満たされ
見慣れた貯水池はすっかり青空だった
わたしは突然 溺れてしまって
体育のプールはどうしていつも寒いのか
青く錆びて動かない唇で文句も言えず
終業のチャイムが鳴るまで太陽を探していた

鳥が四羽 連れ立って飛んでゆく
彼処はきっと暖かいのだろう
(手を引

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紫陽花散策2020

紫陽花散策2020

近所の紫陽花散策へ行ってきました。

入口ではマゼンタ色の紫陽花がお出迎え。
あらら?ハートの女王の目印が……?

迫るように満開な紫陽花に圧倒されて、
ただの一本道も迷路のようです。

まるで満天の星。

紫陽花の蜂蜜はどんな味かな?

クラシカルで退廃的な紫陽花。

気がつけば七月も目前。
あっという間に一年の半分が過ぎていきます。
慌ただしいなかでも、たまにこうして道草を食うのも忘れないよう

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(朗読)『博物誌』より「鼠」

朗読しました。3分ほど。お聴き下さりありがとうございます。

レモンシロップ

レモンシロップ

夏の終わりを労わるような
レモンを切る感触が
湿った肌を清拭する
作りあげた層は
糖水を思い出して
砂糖はよく泣いた
一滴、一滴、が
保存瓶の底に溜まる
結晶と溶解の
繰り返しにあらわれる揺らぎは
天気雨と蝉時雨のなかで産み落とされた
蜻蛉の卵の羽ばたきだ

清潔なスプーンで掬う最初のひと匙は
くちもとに密やかな光を留め
反時計回りで探る味蕾に
苦味が追いかけてくる
ひみつ、の合図にとまる蜻蛉と

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