杜琴乃

主に詩を書きます。

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二月十五日

チョコレート色をした薔薇の結晶は、 かつてオアシスがあった場所に咲く。 ながい時間、砂漠をさ迷い 風と砂に調和されたキャンディ色の瑪瑙。 焼きたてはふわふわ、 冷めたらサクサクのココアクッキー。 冷たい北風と畑の土埃が あなたを化粧して ほつれたところから 羽ばたいて あなたは 線路を超えるためのトンネルを 幾度となく往復して 鬆がはいったカスタードプディングが 懐かしい 砂漠の薔薇が咲く場所は かつてオアシスがあった場所。 飴玉はマスクに隠せても 土埃のファンデー

    • 紫陽花散策2022

      一年ぶりの六月も同じ場所で紫陽花を撮っている。 変わったことと変わらないこと、わくわくすることや憂鬱なこと。 わたしも紫陽花もハーフ アンド ハーフ 色や種類が変わるたびに立ち止まり、 雨を待っているような 陽光へ向かっているような 曇り空 ✎︎____________ 一年ぶりの……と書き始めたけど去年は七月に入ってからでした。 一昨年は六月末。 一昨年、毎年同じように写真を撮るだろうなぁと予想して付けたタイトルを、去年はすっかり忘れていたようですね。笑 ま

      • 休日/雪/ホットチョコ

        雪の予報が子守唄になったから 朝、目覚めたところがやたら寒い 天気管に広がる羽根は 丸まった背中から消えたもの 窓の外、雪は積もりはじめた 湿った雪の落ちる速度は想像よりも遥かに速く わたしのことなど気にも留めずに ずんずん寒くなる 何処へも行きたくないなぁ チョコレートはひと欠片25g 鍋で温めたミルクに溶かして 浮かべたマシュマロは 浸かったところから形を失う 明日になれば いつもの通勤路の雪には泥が混じり 幾らか歩きやすくなっている 〜〜〜〜〜 今冬 初の

        • 梅雨の憂鬱

          梅雨ですね。 まいにち雨が降っています。 雨の止んだ頃を見計らって近所をさんぽしてきました。 ・ ・ ・ メルヘンカラーの紫陽花は 自分の重みで零れ落ちるまでの 僅かな季節を過ごす蝶であり ひと粒の雨のための器 いつか最上級の枕で眠りたい まち針のためのピンクッション 憧れのジューンブライド 血を吸うから 蚊を殺した 目覚めると綿飴に似た日曜日の朝 アイスクリームショップのテレビコマーシャル ピンクとパープルのアイス(どんな味?) それからママの嫌いなヌガーチョコ

        二月十五日

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        記事

          梅雨、You, too?

          雨の日が続くと少し憂鬱ですね 自然のように上手に着こなすにはどうしたら良いでしょう? もうすぐ青くなるブルーベリーのように思い切って上を向いてみますか? それとも一緒に水玉を覗いてみてますか? すべての小さなひと粒にも景色があります 日々のように わたしたちのように …… では、また。

          梅雨、You, too?

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          (朗読)自作詩『蛋白石のねむり』

          『蛋白石のねむり』 乱雑に重ねられた手紙に ぽつぽつと雨が降りはじめ 境界を失くした紙片は 月曜日の集積所で 収集を待つ月刊誌の断面に似てくる 昨夜、思い立って一括りにした恋愛ドラマは 明け方の湿気を吸って 鍵を失くした日記帳のように清潔だ (菫色の月光が注ぐとき蛋白石のねむりは静かに/饒舌になる) 週末のラインを操る 指先だけに顕れる Lamé 所謂、みずうみのねむる蛋白石は てらてらとして 月のあかるい間に秘密を呟く 誰にも触れない 生まれそこなった手紙のように 折り目をひろげた便箋は 恥ずかしげもなく罫線を伸ばし どこまでも白く ただ眩しいうたた寝をする さらさら さらさら 霧がかる湖畔を いま発ったのは誰でしょう 呼び止める隙もなく さらさら いってしまったのです 呪われた水鳥のように 静かに/饒舌に さらさら さらさら さらさら 鳥たちはかつての羽の色を覚えているだろうか 薄灰色の 小遣いで買った安価なペンの文字は 躊躇った端と端だけが嘴のように消えずにいる 『もうじき真白なシャツを着ます 膨らんだ胸に並ぶプラスチックの釦は 手指の傷よりきっぱり赤いタイが隠して 隠されているあいだだけ 白蝶貝になるンです』 なにもかも暴かれてしまう前に 手づから傷をつけて アセトンでひたひたの 毛羽立つコットンで包み (魔法を)溶かす ささくれに滲みる痛みを我慢しても尚 ひとつぶ残った Laméは 静かに/饒舌に てらてらと みずうみにねむる蛋白石のように 慎ましく 反射する .☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:* 2021年3月6日 現代詩投稿サイトB-REVIEWに投稿した作品を自ら朗読しました。 B-REVIEW https://www.breview.org 作品ページ https://www.breview.org/keijiban/?id=7118 BGMは フリーBGM DOVA-SYNDROME(dova-s.jp)より こおろぎさんの『プラネタリウム』を使用させていただきました。

          (朗読)自作詩『蛋白石のねむり』

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          窓際の胸像

          風は校庭を煽り 走り回る子どもらの 白い肌に砂を吹き付け 彼や彼女らを美術品にした 大いちょうから 黄色な葉は (Good bye!Good bye!) 無限に飛び出し みんな何処へ行く 逆上がり 宙返り なんのその 柵を越え 門限破り 怖くない 窓ガラス 割らない 監視員 居ないプールに 揺れる藻の サンドレス 腐蝕した パニエとレース 綿密な枝の影を巻き付けては 巻き付けては器用に臍帯をほどく 採餌する鴨 スケッチされた無邪気な石膏像たちは 熟れた木漏れ日のようにちぎ

          窓際の胸像

          蛋白石のねむり

          乱雑に重ねられた手紙に ぽつぽつと雨が降りはじめ 境界を失くした紙片は 月曜日の集積所で 収集を待つ月刊誌の断面に似てくる 昨夜、思い立って一括りにした恋愛ドラマは 明け方の湿気を吸って 鍵を失くした日記帳のように清潔だ (菫色の月光が注ぐとき蛋白石のねむりは静かに/饒舌になる) 週末のラインを操る 指先だけに顕れる Lamé 所謂、みずうみのねむる蛋白石は てらてらとして 月のあかるい間に秘密を呟く 誰にも触れない 生まれそこなった手紙のように 折り目をひろげた便箋は

          蛋白石のねむり

          つつじ、さつき

          卒業と入学の狭間の四月のある日。 暑いくらいだった数日の後、また少し寒くなった。(なぜか毎年、炬燵を片付けた直後である。) 春らしい陽気、とは気温なん度くらいを言うのだろう? あちらの桜はすでに満開で、こちらの桜はまだまだ、という不思議な光景も目にした。品種の違いだろうか、日当たりの差だろうか。 それにしても、桜がひらひらと散る様は毎年迂闊にも感動してしまう。 上ばかりを見ては肩が凝る。 と、さつきが咲き始める。 緑の垣根に赤いさつきの蕾がたくさん見える頃が大好きだ。

          つつじ、さつき

          小春日和

          2021年2月某日 暖かく風のない日だった。 14歳の犬と散歩に出たが、 彼は自宅アパートの敷地から出ようとしなかった。 ごく地面に近いところになっていた黒い実はなんの実だろう。 大人になるとしゃがんだ景色を見ようとするときに少し勇気が必要になるのはなんでだろう。 「それ以上は行けないよ」 と、声をかけるも犬はお構い無しなもんだから、いい大人が必死に小さい声で声を張って犬に話しかける姿を、同じアパートの下階に住む猫に見られていた。 恥ずかしい。 リュウノヒゲはやわ

          小春日和

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          (朗読)自作詩『アフタヌーンティー』

          『アフタヌーンティー』 ふと、静寂に気がつけば 羽ばたき方を忘れた蝶々が 部屋の隅で対流して 壁いっぱいに 西日が注ぐ 冷蔵庫の奥に隠していた 色とりどりのお菓子は いつかあなたに誘われて ベランダから見た 千切れた淡い色の雲 オルゴールの眠っているピンや まだ空にあらわれない星たちの瞬きのように 足下に少し冷たい空気をこぼす それらが意味するものは 雨だと知らずに かざらずに居れたらいいね、と言って、 花には水を……xxx 奥歯に詰まったアーモンドの渋い皮が いつまでもそこにあるように よろこびと ほころびのあわいに溺れ 糖衣錠の優しさもうまく飲み下せず 薬の苦さを知ってしまうから 指切りとして 白いハンドルに指をかける 彼女の砂糖を蟻が運び出す...... 落ちる砂時計の砂を眺めている...... なみなみと 西日は注ぐ 深まるロカイユ模様の影も 置き去りの秘密も メルヘンチックに埃を被って (とけないように、なかないように) 下校のチャイムが連れてくるだろう 少し冷たい空気と 星たちの瞬きを待つ .☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:* 2019年10月14日 現代詩投稿サイトB-REVIEWに投稿した作品を自ら朗読しました。 B-REVIEW https://www.breview.org 作品ページ https://www.breview.org/keijiban/?id=4237 BGMは フリーBGM DOVA-SYNDROME(dova-s.jp)より チョコミントさんの『優しい思い出』を使用させていただきました。

          (朗読)自作詩『アフタヌーンティー』

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          Crystal days in 埼玉 備忘録

          2020年8月2日 Crystal days in 埼玉に行ってきました! https://www.mineralshow.net 大宮ソニックシティ第1展示場 今回の一番の目的は、ゴビ瑪瑙!!! グンマー帝国さん( https://twitter.com/crazyagate02?s=21 )のゴビ瑪瑙 詰め放題です!グンマーさんも、お客さんも皆さんお優しくてとても楽しかったです! しかも、グンマーさんのマイコレまで譲っていただいて……!本当にありがとうございます!

          Crystal days in 埼玉 備忘録

          ピーコック・オア

          孔雀が水浴びをした朝は 雲が幼鳥の胸のようにふっくらとして 四月の曇天に 白いブラウスが震えている 自転車を漕ぎ出せば 肺は冷たい空気で満たされ 見慣れた貯水池はすっかり青空だった わたしは突然 溺れてしまって 体育のプールはどうしていつも寒いのか 青く錆びて動かない唇で文句も言えず 終業のチャイムが鳴るまで太陽を探していた 鳥が四羽 連れ立って飛んでゆく 彼処はきっと暖かいのだろう (手を引かれて歩く水族館の 流星群のような魚たちは 尽きることない願いごとを

          ピーコック・オア

          紫陽花散策2020

          近所の紫陽花散策へ行ってきました。 入口ではマゼンタ色の紫陽花がお出迎え。 あらら?ハートの女王の目印が……? 迫るように満開な紫陽花に圧倒されて、 ただの一本道も迷路のようです。 まるで満天の星。 紫陽花の蜂蜜はどんな味かな? クラシカルで退廃的な紫陽花。 気がつけば七月も目前。 あっという間に一年の半分が過ぎていきます。 慌ただしいなかでも、たまにこうして道草を食うのも忘れないようにしたいです。 最後に去年の紫陽花の三角定規詩を。 気温も天気も変わりやすい

          紫陽花散策2020

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          (朗読)『博物誌』より「鼠」

          朗読しました。3分ほど。お聴き下さりありがとうございます。

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          レモンシロップ

          夏の終わりを労わるような レモンを切る感触が 湿った肌を清拭する 作りあげた層は 糖水を思い出して 砂糖はよく泣いた 一滴、一滴、が 保存瓶の底に溜まる 結晶と溶解の 繰り返しにあらわれる揺らぎは 天気雨と蝉時雨のなかで産み落とされた 蜻蛉の卵の羽ばたきだ 清潔なスプーンで掬う最初のひと匙は くちもとに密やかな光を留め 反時計回りで探る味蕾に 苦味が追いかけてくる ひみつ、の合図にとまる蜻蛉と キスを交わした夏の終わりに はじめてのレモンシロップが冷蔵庫にしまわれてから

          レモンシロップ