(朗読)自作詩『アフタヌーンティー』

『アフタヌーンティー』

ふと、静寂に気がつけば
羽ばたき方を忘れた蝶々が
部屋の隅で対流して
壁いっぱいに 西日が注ぐ
冷蔵庫の奥に隠していた 色とりどりのお菓子は
いつかあなたに誘われて ベランダから見た
千切れた淡い色の雲
オルゴールの眠っているピンや
まだ空にあらわれない星たちの瞬きのように
足下に少し冷たい空気をこぼす
それらが意味するものは 雨だと知らずに

かざらずに居れたらいいね、と言って、
花には水を……xxx

奥歯に詰まったアーモンドの渋い皮が
いつまでもそこにあるように
よろこびと ほころびのあわいに溺れ
糖衣錠の優しさもうまく飲み下せず
薬の苦さを知ってしまうから
指切りとして
白いハンドルに指をかける

彼女の砂糖を蟻が運び出す......
落ちる砂時計の砂を眺めている......

なみなみと 西日は注ぐ
深まるロカイユ模様の影も
置き去りの秘密も
メルヘンチックに埃を被って
(とけないように、なかないように)
下校のチャイムが連れてくるだろう
少し冷たい空気と
星たちの瞬きを待つ


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2019年10月14日 現代詩投稿サイトB-REVIEWに投稿した作品を自ら朗読しました。

B-REVIEW https://www.breview.org
作品ページ https://www.breview.org/keijiban/?id=4237

BGMは フリーBGM DOVA-SYNDROME(dova-s.jp)より
チョコミントさんの『優しい思い出』を使用させていただきました。

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