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koruri31
2021年10月1日 23:45
風船のようで、渡鳥のような存在。繋ぎ止めてくれないと、どこかへ飛んでいってしまう。飛んで行くことが悪いことでもなく、この場に居続けることが良いこととも限らない。カゴの中の鳥が、飛ぶことを忘れてしまうように。自分で餌を取る本能を忘れてしまうように。けれど遠くまで飛び過ぎてしまうと、きっと家には戻れない帰る場所を残しておいてくれ、なんて言うのは甘えかもしれない行った
2021年9月26日 19:43
「次の方どうぞ。」カウンセリング室の引戸が、カラカラと音を立てて開いた。「先生、ご無沙汰しておりマス。」一人の青年型ロボットがにこやかに入室してきた。穏やかな動作で頭に乗せていた帽子を取り、軽く会釈する。帽子の下には、人間ではないことを示すように、通信状態良好を表す青いLEDランプの光がこめかみ辺りを走っていた。「やぁ、久々だね。さぁ座って」私は、いつものように、冷蔵庫からお
2021年8月5日 23:05
草原の真っ只中に、身体一つでぽいっと放り出されて、「はい、進んでください!」と言われたら、私は途方に暮れるだろう。どっちに行ったら良いのか分からない。立ち止まり、空を見上げて、地面に寝転んで、お昼寝を始めるかもしれない。思い立って進んだ途端に、「あ、そっちじゃないです」と言われたら、ちょっと怒っちゃうかもしれない。その草原に、一本の道があったのなら、それ
2021年7月14日 20:17
大した能力差もない、見た目が大きく違う訳でもない、似たような色とデザインの多種多様なボールペン達が、整然と並ぶ。誰かが、気に入った!君が良い!と言ってくれるその日を夢見て、理路整然と並んでいる。素敵な出会いで、旅立っていくやつもいるし、何日も何週も何ヶ月も、在庫のやつもいる。逃げ出すこともできず、ただじっと時が過ぎていく。誰かのお迎えの手によって仲間