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ショートストーリー:にぃちゃん
クラスに1人、誰とも話さない女の子がいるの。
グループワークみたいなので一緒のグループに入ることがあっても、話す言葉は「フツー」「知らない」「興味ない」くらい。だからクラスの男子からは「あいつ日本語話せねぇんじゃねぇの」とか言われているの。なんか、かわいそう。
その子は窓際の前から3番目の席で、あたしはその後ろの席なのだけれど、その子はいつも窓の外をぼーっと眺めているみたい。
6月も終わろう
ヒマワリの理由(わけ)
7月の半ば、まだヒマワリが咲き始めた頃
とある中学校の校庭の、鉄棒付近の花壇に
誰が植えたのか、人の背丈ほどもある大振りのヒマワリが一輪だけ咲いていた。
咲いていた、と言うには少々語弊があるだろうか。何しろ、ようやくヒマワリが咲き始める時期だというのに、それは深々とこうべを垂れていたのだった。
お昼休みに、仲の良さそうな男子3人と女子2人がそのヒマワリを遠巻きに見ながら話し合っている。「ヒ
ミルクティー(アールグレイ)
「え?まだ届いてない!?」
電話口で麻子が声を荒らげる。いつもはもっと穏やかな性格の持ち主なのだが、納期が迫っていて焦っているのだ。
「困ります!今日までに来てないと間に合わないのに…」
ぎゅっと唇を噛みしめる。28歳の時にOLをやめて念願のネットショップを開店し、アクセサリーやアロマグッズを中心に徐々に若い女性からの人気を集めつつ、3年経ってようやく経営が軌道に乗ってきたところだった。
立ち止まる(ショートストーリー)
凪は浜辺を歩いていた。
朝の冷たい潮風がジョギングで火照った頰に気持ちいい。
足を止め、う〜〜〜〜〜〜ん、とめいっぱいの伸びをして、太陽に向き直る。
これからまた、新しい1日が始まるのだ。
ワンワン、とゴールデンレトリバーのジュリーがかけてくる。
どうやら父が鎖を外してやったらしい、凪を追って追いついて来た。
「ジュリー、おはよう。」
凪の頰をペロペロと舐めながら、尻尾をぶわんぶわん
止マレナイ(ショートストーリー)
冬吾は走っていた。
なぜ走っているのかもわからないまま、走り続けていた。
誰かが追ってくるわけでもなく、どこかへ行こうとしているのでもないのに
彼は走り続けていた。
(……そういえば、いつから走ってるんだっけ……?)
汗がしたたり落ちる頭で呼吸の合間に考える。
そういえば、ずいぶん長いこと走り続けているような気もする。
(……立ち止まって、いいんだっけか)
誰かの許可が必要なのだろう
ーあたしの夏ー (短編小説)
ーあたしの夏がきたー
チリーン…チリチリーンン…
「あら、もう風鈴出したの?」
「おかーさん、夏だよ!」
「は?」
「麦茶がおいしいの!あたしの夏が今年もきたんだよ!」
「夏って…まだ5月じゃないの。」
「あたしの夏が、きたんだってば。」
ミツキ(光希)は帽子をひっつかむとサンダルをつっかけて玄関から飛び出した。
「ちょっと、どこ行くの?」
「ヒデキん家!」
玄関のはるか向こうから返事が返る
金木犀の香るころ(ショートストーリー2本)
(2本立てのショートストーリーです。名前が変わるほどせっぱ詰まりすぎて思わず書き上げました。にゃーーー。AM1:06。)
ー金木犀の香るころー
「加藤が配属されてもう3年になったな。」上司の西村係長が穏やかな笑顔で感慨深げに微笑む。昼下がりの会議室に暖かな日差しがさんさんと差し込んでいた。
「やっと3年ですか・・・ここまで来れたのは西村さんのお陰ですよ。」加藤と呼ばれた若者はまだ25、6だろ
【短編小説】ドーナッツ
「あーあ、雨の日はつまんないなあ」
梅雨の最中、けんじが退屈そうに畳の上をゴロゴロと転がっている。それはそれで楽しそうに見えるのだが。
「けんじ、あんたまたそうやってゴロゴロして。」
母きよみのお叱りが飛ぶ。
「そんなこと言ったって母ちゃん、つまんないものはつまんないんだもん。」
ぱたんぱたん、と半回転を繰り返すけんじ。まるで畳に蝶番がついたドアだ。
「くーーー、情けないねぇ。あたしが若い頃は