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エッセイを書きたかったけど、書けずに、行き着いた場所。

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フィクションです。
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#自分

書きながら考えてるんだわ!

書きながら考えてるんだわ!

ものごとを論理的に考えられる人に憧れがあった。喋る時も「結論から申し上げると」などと言える人になりたかった。だから、努力した。会話をする時も、一度、頭の中で整理をして喋ったり、台本を作るような感覚で自分の意見が短くストレートで伝わるように工夫した。実際に、台本を作ったこともある。頭の中だけでなく、文章も論理的な構成にしようと、アレコレ試してみた。

でも、無理だった。

まとまっているようでゴチャ

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ウチは、ウチだし、あなたは、あなた。

ウチは、ウチだし、あなたは、あなた。

ウチは、ものっすごい人見知りだった。もう、これは保育園の頃からの筋金入りだ。園内でも緊張するのか、すみっこの方で三角座りをして、ずっと周りの友達や先生の顔色をうかがっていたんだとか。

もはや、ここまでくると人見知りというよりも、人間恐怖症の気配があるが、ウチとしては「人見知り」という認識で、やり過ごしてきた。

人見知りは「性格であり、個性」だと思うようになったのは、中学生くらいの頃からだ。小学

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最強王な性格。

最強王な性格。

世の中には色々な人がいる。それぞれが強烈な個性の色を出していて、その発色はまぶしいくらいだ。そうとは思えないけれど、ウチだって強烈な個性の持ち主の一人なんだろう。

誰一人として同じ人間はいない。でも不思議なもので、似たような属性を持った人がいて、それを「リーダータイプ」などとジャンルで括ってみたり、もう少し細かくした「穏やかな性格」といった分け方をしてみたりする。

そこで最近思っていることがあ

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誰かと思考する、ということ。

誰かと思考する、ということ。

っていう、メモをスマホに残していた。正直な言葉だなと思った。とっさにメモ書きに殴りつけるようにして入力したんだろうね。



この日、ウチは飲み会に参加していた。以前から飲みの約束をしていたらしい同僚チームと、たまたま帰宅タイミングが重なったことで、「軽くいく?」とノリで誘われたのだ。

一人で過ごすことの多いウチは、飲み会に参加することなんて滅多にない。でも、ここのところ、一人で思考することの

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今日も小さな成功体験を積む。

今日も小さな成功体験を積む。

豆腐メンタルのウチは、成功体験を積み重ねることを自分のルールに課している。ミスを恐れ、失敗に悩み、不安に苛む日々からの脱却ばかり考えた結果、辿り着いた自分なりの戦闘スタイルだ。

だから、ウチは小さなことでも「成功したぜ!」と言い聞かせることにしている。たとえば休みの日なのに、早起きをすると決める。そうして、本当に起きる。

「起きれた! ウチって、意思が強いんだ!」

些細なことかもしれないけど

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与えられた役を、どう演じるか。

与えられた役を、どう演じるか。

人間の価値は、みな同じだ。でも、だからといって、役割が同じワケではないんだと思う。どうやって考えてみても、人には、人それぞれの役割があるんだと思ってしまう。それを個性と呼ぶのかもしれないが、そんな役割は確実に存在する。

食事会になれば、ウチは必ず「聞き役」になるし、どう頑張っても剛腕を振るって人を束ねるような「リーダー役」にはなれない。でも、別にここに優劣があるワケではない。これは、人それぞれに

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ひとりでは多すぎる。

ひとりでは多すぎる。

「ひとりでは多すぎる」

という言葉がある。大好きな言葉だ。一見、意味が分からない言葉だが、ウチは初めてこの言葉と出会ったときから、妙にシックリくる感覚があった。

普通に考えたら「ひとり」と「多い」は結びつかない。ひとりなんだから、多くないだろう、となる。では、なぜ多すぎるのかというと、実は、この言葉の後に続く文があり、そこに理由が隠されている。

「ひとりでは多すぎる。ひとりでは、すべてを奪っ

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「選ばれている」という感覚が、ウチをラクにしてくれた。

「選ばれている」という感覚が、ウチをラクにしてくれた。

人は常に選択している。

それは、朝、目覚めた瞬間から始まっている。眠い、でも、起きる、という選択。そして、顔を洗う選択をしたり、コーヒーをいれる選択をしたり。無数の選択肢のうちから一つ、選び出して生きている。

そして、時間が経つほど、さらに選択は増えてくる。挨拶のタイミングや、要求された仕事に対しての反応など。コンマ数秒の世界で選択を迫られ、その都度、決断をして行動しなければならない。

人は

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自分を飛び出すこと。

自分を飛び出すこと。

 旅行をすると、自分の生活がやけにクッキリして見えることがある。ホテルや旅館で生活をしていると、料理も掃除も全てやらなくて済むから、余計に現実味を覚えるのかもしれない。

 「こんなに小さな家に住んでたんだっけ?」と思うこともしばしば。外に出て、あらゆるものを見て知って、比べる対象が生まれるからこそ、自分の家を俯瞰できるんだと思う。

 海外旅行をすると、さらにその視野は広くなる。自分の家のみなら

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昔のブログ。

昔のブログ。

タップ。スワイプ。タップ。スワイプ。スワイプ。

今日も現実離れした世界がスマホの中では展開されている。スマホから顔をあげると、隣に座る人も、反対側に座っている人も、みんなスマホをいじっていた。同じ箱を持っていても、それぞれが見ている景色は違う。漫画もある。ゲームもある。映画もある。ニュースもある。SNSもある。なんでもある。時間感覚が狂っちゃうよなあ、なんて思う。電車内は雨に濡れた肌の匂いが充満

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【エッセイ】 よくある詰問。

【エッセイ】 よくある詰問。

大きい男の人がウチの両腕を掴みながら、背中に足を押し付けている。胸を突き出すように前のめりになってしまう。目の前には大きな空。下には家やお店が点々と並んでいる。ここはビルの屋上だろうか。今、ウチは脅されているんだろうか。恐ろしいことが起きているような気がした。

「好きなものとかないの?」

大きな男の人は叫んでいる。いや、もしかしたら、叫んでいるのは小柄な女の人かもしれない。グイグイと足に力を込

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【エッセイ】 ネガティブな航海。

【エッセイ】 ネガティブな航海。

自分でも知らないうちに、ネガティブな思考に陥ってる時がある。原因はいろいろとあるんだと思う。これだ、という出来事があればいいんだけど、日々の積み重ねの中で生まれてくるものなんだろうね。フクゴウテキってやつ。だから難しい。

たぶん、これは周期的に訪れるモノなんだと思う。海みたいに満ちたり引いたりするもの。防波堤のようなものを作って波を堰き止めることも出来るのかもしれないけど、だからといって波自体が

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【エッセイ】 落とし物②

【エッセイ】 落とし物②

行き交う人。平日の昼間だってのに、人、人、人の波。耳には石のようなイヤホンが詰まっている。視線の先にはスマートフォンの光。一様に頭をさげ、お辞儀しているみたいに歩いている。ぺこりぺこりと、あたしもお辞儀して歩く。スマホ片手にイヤホンをしながら。

自分が「ヘンなの」って思ってることを、自分もしている矛盾にはしらんぷり。都合いいよね、自分って。

耳からは、キューイ、キューイと大自然で歌う鳥の声や、

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