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セイジとゲンロン

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政治思想と言論。新しい地平線を求めて。 2020年は新書『付箋主義の哲学』からカットされた部分を掲載します。試合に出れなかった二軍の言葉に頑張ったね。と言ってやってください。
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記事一覧

”みんなそう”は毒か薬か?

”みんなそう”は毒か薬か?

日常で生きていて、人と話をしている時に「みんなそうだよ」という人がいる。
みんなそうってのは、哲学の言葉を使えば相対化というのだけれどもこれが時として非常に危ない。

たとえばAさんが自分が昔辛かった体験を話したとする。
もちろんAさんの体験はAさん固有のものなのだから一般化はできない。
ここは大事。

しかし、それに対してBさんが「みんなそうだよ」と言う
Aさんの固有な体験がBさんの頭の中では一

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#13 付箋主義の哲学〜ディオティマの批判〜

#13 付箋主義の哲学〜ディオティマの批判〜

彼女のソクラテスへの批判
すなわち、賢者と愚か者の間がないかのか?
というこのソクラテスへの批判は重要な視点である。

またそれは、本書、付箋主義の哲学、特に時代精神の分析で重要になる。

古代ギリシアから始まる哲学の伝統的思考法は
まさに、二元論的なものである。
対義語を用い、その対義語をテコに使い論理を単純化していくこの発想。

知を求めるのが善である。と表記されれば
知を求めないのは悪である

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#12 付箋主義の哲学

#12 付箋主義の哲学

・・一つここで思考実験をして見てもらいたいある惑星に、”ユニコーン”とは何か。ということを歴史代々考えている地域αがあったとしよう。その惑星には他に地域βと地域γがあり、地域βと地域γの人々は”ユニコーン”とは何か。とほとんど考えたことはない。そして地域αのユニコーンの定義が2000年後他の地域βと地域γに広がった場合、その”ユニコーン”とは何かという問いは誰のものだったと言えるだろうか・・

#11付箋主義の哲学

#11付箋主義の哲学

・・海外に根を持つ言葉を翻訳した場合にはその言葉の根っこを歴史を遡り理解しない限りその意味が婉曲してしまう・・

・・これはある程度不可避である。なぜなら言語と国民性が違うからである・・

・・しかし、そもそもの言葉の本義を理解せねばその言葉は空語の状態でその地域の人間に好き勝手に解釈され本義が蹂躙されることが起こる・・近代国家を支える諸概念はまさしく不徹底な教育により適当に解釈され蹂躙状態にある

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#10 付箋主義の哲学

#10 付箋主義の哲学

・・よってそれはハンバーガーの様なもので
最下層と最上位のバンズは同じ材質でありこれは無意識的なもの、非合理である・・
・・そのバンズの間の肉やレタスやマヨネーズなどが
合理であり、その中身の配置や調合度合いはその人の合理性にである・・

合理の始発と終点は非合理であって・・

#9 付箋主義の哲学

#9 付箋主義の哲学

・・全ての概念、存在に対する善悪の肯定・・

対象に対する 無意識的な肯定またはその対象と自分のとの中にある精神作用の常識の総体こそが時代精神なのである・・

言葉の野蛮性とは言語内前提を無視することにある。それは文脈貫通的で・・
すなわち他の敷居に土足で入る行為である・・

#8 付箋主義の哲学

#8 付箋主義の哲学

・・先に断っておくが
筆者は一般的に言説される「生きてるだけで素晴らしい」、「人の命は尊い」、「自殺はどんな理由があってもならない」
などのくだらない自称道徳家如く言説には全く合意しない・・

・・一切共感もできなければそれを理とは認めない。また自ら命を断つその行為自体を否定することなど到底できない・・

・・そのような道徳論はただの机上の空論である・・

・・世の中に一度も不道徳を犯したことがな

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#7 付箋主義の哲学

#7 付箋主義の哲学

・・例えばそれは今日の極端なフェミニズムなどが主張する論理の典型であるが「こうなったのは女性のせいだ」とありとあらゆる全ての責任を自分が女性に生まれたせいにして良いという自ら”自己”を捨て去った他責的な人間の典型であるが、自分の行っている行動を省察し、それが”当人”にとって良いことなのか、文化を誘因とした無意識的な行動を省察するのは人間の大人の理性の働かすべき部分ではないのか・・

しかし、これも

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#6 付箋主義の哲学

#6 付箋主義の哲学

・・その理解できない現象を目の前にしたときには、一度固定概念を捨てなければならない・・

そしてその固定概念を作る諸原理、自らの社会的地位からの視点や奢り、思い込み、対象との関係性は自ら放棄されなければならない。よって不知の自覚を必須とする哲学的態度は、新たな現象を自己と統合する上で最良の構えなのである。

哲学の最も古典的であり重要な行為に対話がある。対話とは上記したような多くのものを捨てるとこ

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#4 付箋主義の哲学

#4 付箋主義の哲学

現在我が国日本の諸制度は民主制、立憲制を中心に海外からの受け売りの概念を表層的に導入しており・・

・・自由、平等、などの分かりやすい型に大衆が先導されており、その結果のリアクションとして社会は右傾化する傾向を生んでいる・・

・・右傾化とは左傾化に対するリアクションであり、アメリカのトランプ大統領の誕生も、ヨーロッパで見られる独裁性を帯びた政党の勢いが増す理由は、民主制を中心とした理性によって社

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#5 付箋主義の哲学

#5 付箋主義の哲学

・・日本の場合、時の政権が、階級制度を復活し、人権概念を廃止し、憲法を廃止をした場合初めて文明史においてそれは”中道”に戻ったのである。 

しかし左翼、右翼の発送自体は近代以前をその概念の射程範囲としていないので明治時代以降、私たちに残された選択肢は全体として左傾化してく世界の中で小さな右傾化をそのリアクションとして起こすことしかないのである。

・・ただ右傾化はフランス革命以降の主知主義、シス

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#3 付箋主義の哲学

#3 付箋主義の哲学

表層的なシステムだけがあったとしても・・

内部の精神が成熟していないとそれは機能しない。

それはシステムが当時の当事者の精神によって作られているから当然である。

精神は文化、歴史により時間性の中で熟成される。彼らは人間の「ただでもらったものは簡単に手放す」という人間の本質的な要素を見ていなかった。

すなわち人間学がなかったのだ・・

この事を分かっていれば投票権を努力によって選挙権を得るこ

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#2 付箋主義の哲学

#2 付箋主義の哲学

・・”問題”は実在しない。問題が街を歩いていたり、タバコを吸っていたり、公園で昼寝をしている所を私たちは見たことがないだろう。

問題は人が観念の中で見ることである。・・このことは問題という概念がいかに相対的であるかということを表している。相対的であるということは問題は時代や文化、共同体によって変わる。

・・例えば、現代では社会問題になりかけている教育現場における体罰問題は昭和では当然の事と認識

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#1 付箋主義の哲学

#1 付箋主義の哲学

‥‥この人間中心主義の世界観の前提にはやはり神の存在がある‥‥この部分が我々日本人からすれば些か難解であろう。‥‥どれだけ人間中心の世界を描いたとしても神は個人の精神に根強く存在する。‥‥彼らの思考の前提には神の存在と神の存在をベースとして生まれた言葉を使って思考する以上、その認知基盤の中から神を完全に排除することはできない。‥‥全ての基盤となる”subjectum”としての世界を認識する主体的個

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