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小田川クソ小説

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小田川クソ小説をまとめたマガジンです。50話目指して頑張ってます。何卒よろしくお願い致します。
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記事一覧

小田川クソ小説 第14話 「化物」

小田川クソ小説 第14話 「化物」

駅のフライヤーで見たアートギャラリーに行くと、架空の街並みを作り、ジオラマで表現する女性アーティスト、tomokoさんに出会った。

彼女は架空のリアルな街並みを忠実に再現し、多くの人だかりが出来ていた。僕は可愛らしい彼女に速攻話に行った。気持ちよくなって9時間も話し込んだ。僕は満足して帰った。

家に帰ると、tomokoさんがどうしたらもっと売れるかと考えた結果、僕がARで動かすラジコン。

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小田川クソ小説 第13話「目押し」

小田川クソ小説 第13話「目押し」

ボコォォォォォォォォオオオオオ!!!!

「えぇ…」

病院で危篤の息子を父が殴った。医者はドン引きしていた。

「……平成22年、2月22日、22時22分21秒、ご臨終です」

「惜しい!!!!」

母は叫んだ。

※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

小田川クソ小説 第12話 「ピアノ」

小田川クソ小説 第12話 「ピアノ」

部屋の窓から広がる日差し。秋の涼しさもあり、今日もぐっすりと眠る事が出来た。

前に勤めていた会社がかなり陰湿で、モラハラを喰らい会社を辞めて、田舎の実家の空部屋で半年間のびのびと暮らしてきた。心身ともにすっかり元気なのだが、自分自身、もう社会人は不向きなのではないかという不安もあり、なかなか行動に移せなかった。

父や母からの『ゆっくりで良いから』という声に助けられてはいるが、自分自身も焦りがあ

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小田川クソ小説 第11話 「二兎追うものは一兎も得ず」

小田川クソ小説 第11話 「二兎追うものは一兎も得ず」

高校に進学したが、学校に全く馴染めず、2ヶ月目で引きこもってしまった息子がいる。

何度も部屋に説得しに行ったが、取り合ってもらえず、しまいには扉にカギを掛けられるようになってしまった。あんなに可愛かった息子が、今では私を煙たがってしまっている。その日から私は悲しくて悲しくて、常に毎日涙を流すようになってしまいました。

このままでは退学になってしまう。困った私はSNSで息子の現状と私の気持

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小田川クソ小説 第10話 「中央アシエヤエティ共産主義国」

小田川クソ小説 第10話 「中央アシエヤエティ共産主義国」

ネットの掲示板で知り合ったメンバーとバンドを組む事になった。

各々自己紹介を終え、ボーカルの土田が

「おっしゃあ!!みんなでメジャー目指して頑張るぞ!!よろちくB!!」

と大声で宣言したが、 初対面だし、 『なんだこいつ』 と言って角を立たせても仕方がないので、 適当に合わせた。

持ち前のキャラクターで、土田がリーダーとなった。TwitterのDMで届いたライブハウスの店長と仲良くなり

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小田川クソ小説  第9話 「JUMP」

小田川クソ小説 第9話 「JUMP」

厨房に金具の音が延々と響き続く。僕は、この幼い頃からある、商店街の中華料理屋『野澤飯店』で働いて3年、時給650円で頑張っている。
少し安いが、のろまで鈍臭い理由でバイト先を何回も辞めた僕を、大事に雇ってくれる優しい店長だ。そんな店長がある日、僕にこう言った。

「俺なぁ、3ヶ月後の地方のスキージャンプ大会に出よう思ってんねん。」

急に何を言い出すのかと思った。

「そうなんですか?ジャンプ出来

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小田川クソ小説 第8話 「カヤック」

小田川クソ小説 第8話 「カヤック」

高校の林間学習でカヤック体験をする事になった。子供の頃に、お父さんに乗せて貰った事があるので、僕は凄く楽しみだった。

班決めの際、クラスのトップ陽キャが

「俺と一緒にカヤックを転覆させようぜ!!」と提案し、

「良く言った!!お前は最高の友達だな!!」と周りは賞賛の声をあげたが、僕はそんな悪ふざけをせずに普通に乗りたかったので「あいつら、マジ気分悪いよな」と隣の女子に言ったが無視されました。

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小田川クソ小説 第7話 「ゴーカート」

小田川クソ小説 第7話 「ゴーカート」

日曜日、久々に家族水入らずで遊園地に息子を連れて行った。7歳になったユウは遊園地のゴーカートに夢中になり、何回もループして乗っていた。

一通り、アトラクションに乗り、最後に観覧車に乗って帰ろうとした時も「まま、車にまた乗りたいなぁ」と言って泣きの一回でゴーカートに乗っていた。
よっぽど楽しかったのだろう。帰ろうとしても「まだ乗る!」「あれ欲しい」と言って持ち場を離れようとしなかった。

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小田川クソ小説 第6話 「凌遅」

小田川クソ小説 第6話 「凌遅」

結成当初から応援していたバンド「クイズ豚骨醤油」が今年で10年目となり、メンバーが皆、30代となった。

今まで勢いがあったり、落ち着いたりを繰り返しながら活動を続けていたが、10年目を節目に気合を入れ、アマチュアバンドが賞金100万円+メジャーデビューを賭けた大会に出ることになった。

確かな実力もあったし、いつ売れてもおかしくないと思っていたので、それを聞いた私たちファンは嬉しくなって、

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小田川クソ小説 第5話 「図書館占領」

小田川クソ小説 第5話 「図書館占領」

会社を定年退職し、それでもまだ働きたいと思い、街の図書館に勤める事になった。図書館には沢山の利用者が居るが、一番よく使っているのは、近くの高校に通っている順子ちゃんだ。

彼女は下校の時間になると、殆どの平日は、ここで日が暮れるまで時間を潰していた。会話も増え、次第に『順子ちゃん』『ジュンちゃん』と呼ぶようになっていた。

そんなジュンちゃんも高校3年生。卒業するともうこの街にジュンちゃんは

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小田川クソ小説 第4話 「ウィンターマジック」

小田川クソ小説 第4話 「ウィンターマジック」

マッチングアプリで女の子と出会い、バーでデートした所、思いの他、話が盛り上がり付き合う事になった。

彼女が出来たことなんて、高校生以来だから凄くテンションが上がった。運転が苦手だからドライブデートがしたいと言っていたので、週末にレンタカーを借りる事にした。

デート当日、レンタカー屋に一緒に行き、二人で練習するので軽で十分と思い、借りようとした瞬間、「私この車が良いな」と指を差してきた。

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小田川クソ小説 第3話 「映画ランドラーメン」

小田川クソ小説 第3話 「映画ランドラーメン」

脱サラして、老舗のラーメン屋で修業を2年続け、ようやく社長から腕を認められ、晴れて大阪の地で出店する事になった。

「今度こそ成功して欲しい」の思いで、物件探しを手伝ってくれた妻からお勧めされた、京橋の商店街で開店をする事を勧められたが、商売は人通りと立地で決まるので、その案を一蹴りし、そこよりも更に人通りが多い、映画ランドのジェラシックパークとクォーターワールドの間に家系ラーメン屋を開く事に

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小田川クソ小説 第2話 「本当の幸」

小田川クソ小説 第2話 「本当の幸」

プロジェクトの仕事が無事収まり、しばらく落ち着くので有休を取って、慰安旅行の意を込めて、2泊3日の日本海の一人旅へ出ることにした。

1日中PCと睨めっこする仕事なので、食生活や睡眠時間がバラバラだったので、この旅で全てのストレスを昇華させたいと思う。
高速バスに乗り、約4時間かかった。ホテルにチェックインを済まし、お昼ご飯を食べに、友人から聞いた小さな海鮮丼屋へ向かった。

ここの海鮮

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小田川クソ小説 第1話 「ベタ踏み」

小田川クソ小説 第1話 「ベタ踏み」

年末年始の時期は帰省ラッシュで、更にコロナウイルスの落ち着きもあってか、1年ぶりに人がバスターミナルに賑わった。何気なく始めた高速バスの運転手を始め、5年目に入ろうとしていた。
年末やGWは稼ぎ時なので毎年シフト入っている。最初の年は、余裕や車が欲しいと思い、出勤をしたが、気が付けば社員全体から『名物』と言われ、5年連続で運転し続ける羽目になった。

春夏秋冬、親父から『今年は帰ってくるのか

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