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特定技能外国人制度の動向について-小売業産業分野そのものに導入の可能性があるのか?
はじめに
特定技能外国人制度の運用においては、経済や社会の変化に応じて柔軟に対応する必要と思います。
産業の現場でのDX化、自動化が進みながらも、人手不足が社会的な問題となっている中で、制度の対象範囲を拡大し、より多くの産業で外国人労働者の受け入れを可能にすることで、日本経済の持続可能な成長を支援することが求められています。
産業各分野からの要望もあり、特定技能制度の対象範囲を見直し、スーパーマーケットなどの小売業での特定技能外国人の受け入れを可能とする改正が行われました。経済と雇用状況に対処し、外国人労働者が新たな価値を生み出す機会が拡大しています。
これはスーパーマーケットなど小売業である部分の割合が大きい企業について、この産業分野小売業の中で、特定の惣菜業や食品製造加工業が業態として存在する店舗、事業所ごとに緩和するものとして認められる方向に傾いたものだと思います。
根本的に小売業分野そのもので特定技能外国人が受入れ可能になるか?というとかなり遠い道のりだと思います。
そもそも、特定技能外国人制度は、国内で人手不足が深刻な産業分野において、各産業界で協議会を持ちながら、国内で人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる制度です。
小売業界はまとまった業界団体で力を持つものが際立っているわけでもなく、他の産業分野に比較して政治的な陳情を強く出来る業界ではないというのも理由のひとつだと思います。
また、専門試験を日本国内もさらに協力国の外国でも開催する財源も必要になります。
「小売業」における令和5年6月末時点の欠員率は3.0%で、令和4年の売上は約12.1兆円に達し、令和10年には約16.3兆円の売上が見込まれています。
このため、令和10年度には34万7,000人の就業者が必要とされ、約1万7,000人の不足が予測されています。
しかし、小売業分野そのものの特定技能外国人の受入れは現在、認めていないです。
現在の特定技能外国人制度の下で小売業分野そのものの受入れが認められていない理由について考えてみます。
1. 特定技能外国人制度の目的と対象分野
①目的
特定技能外国人制度は、日本国内で深刻な人手不足が生じている産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人労働者を受け入れることを目的としています。
この制度は、短期的な労働力不足の解消だけでなく、特定の技能を持つ労働者を確保し、産業の持続的発展を支援するためのものです。
②対象分野
特定技能外国人制度の対象となる分野は、人手不足が特に深刻であり、かつ一定の専門性・技能が求められる14の産業分野に限られています。具体的には、以下のような分野が対象となっています。
介護
ビルクリーニング
素材産業(製造業)
機械産業(製造業)
造船・舶用工業
自動車整備
航空業
宿泊業
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
土木・建設業
電気・電子情報関連産業
2. 小売業分野が対象外とされている理由
①人手不足の深刻度
小売業は、他の特定技能分野と比較すると、人手不足の深刻度が相対的に低いと見なされています。
特定技能外国人制度の対象となるためには、産業全体で深刻な人手不足が認められる必要がありますが、小売業はこの基準を満たしていないと判断されています。
②専門性・技能の要件
特定技能外国人制度は、一定の専門性や技能を必要とする業務を対象としています。
小売業は一般的に専門的な技能を必要としない業務が多く含まれており、他の特定技能分野と比較して、技能要件が明確に定義されていないことが理由の一つです。
③労働市場の影響
小売業は労働市場全体に対する影響が大きく、特定技能外国人の受け入れが国内の労働市場に与える影響を慎重に検討する必要があります。
特に、非正規雇用やパートタイム労働が多い小売業において、外国人労働者の受け入れが賃金水準や雇用機会にどのように影響するかについては、慎重な検討が求められます。
④既存の外国人労働者制度の活用
小売業では既に、技能実習制度や留学生のアルバイトなど、他の外国人労働者制度が活用されています。
これらの制度を通じて外国人労働力の補充がある程度進んでおり、特定技能外国人制度の導入が必ずしも必要とされていない状況があります。
3. 政策的な背景
政府の方針として、特定技能外国人制度は特に技術的・専門的な分野での労働力不足を補うためのものとして位置づけられており、全ての産業分野に広げることは当面考えられていません。これにより、特定技能外国人制度の導入が慎重に進められている背景があります。
4.まとめ
現在の特定技能外国人制度の下で小売業分野の受け入れが認められていない理由をまとめてみます。
①
小売業における人手不足の深刻度が他の対象分野に比べて低いこと。
②
小売業が特定技能の要件を満たしにくいこと。
労働市場全体への影響を慎重に検討する必要があること。
③
既存の外国人労働者制度の活用が進んでいること。
④
政府の方針として、特定技能外国人制度を特定の技術的・専門的分野に限定していること。
これらの要因を総合的に考慮し、現在の特定技能外国人制度では小売業分野の受け入れが認められていない状況となっています。
次回に続きます。
日本は、将来の日本の社会のために、
より良いしくみを構築できるはずです。
..................
小売業分野そのものの受入れが認められていない特定技能外国人労働者の受け入れに関する情報が記載されている主なサイトを挙げておきます。
JITCO 公益財団法人 国際人材協力機構
在留資格「特定技能」とは
外務省
特定技能外国人制度
出入国在留管理庁
特定技能制度
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https://www.moj.go.jp/isa/content/001400505.pdf
外国人生活相談支援ポータルサイト
独立行政法人労働政策研究・研修機構
特定技能1号外国人の受け入れ・
活用に関するヒアリング調査
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