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温かくて、優しくて、ちゃんと痛くなる
もしかしたら。
彼女となら、ずっと一緒に居たいと思えるかもしれない。その日を迎えるまで、そんなことをぼーっと考えていた。
友人の紹介で知り合った女性との食事だった。年は同じで、とてもかわいらしく、興味を持った国には一人で飛び立ってしまうような主体性の持ち主であり、一緒にいるのが憚れるくらい、魅力的なひとだった。
なぜだか、彼女の優しそうな笑顔にある種の冷たさを感じた。確かに優しいひとだった
本を読まないことが羨ましい
本を読もうと思わない人生でありたかった。十代の頃の僕が抱えていた孤独感や疎外感、心の奥底にある渇きは、現実世界でどう過ごしたところで満たされなかった。そんな時僕は本を読んだ。どこかに自分と同じ渇きを抱えた人間の生き方が何かしらの形で理解されているんじゃないかと思っていた。
孤独感や疎外感に敏感でなければ、人は本に救いを求めたりはしない。それはそれで素晴らしい人生だと思う。
村上春樹作品におけるある種のばかばかしさについて
村上春樹の短編作品が結構好きです。エッセイも好きです。長編はあまり読まないかな。
世間様が村上春樹に抱くイメージは、敷居の高さ、その中でも特に仰々しい性行為の描写なのではないかとおおよ想像がつく。というか、長編作品に対しては僕もそのような印象しかない。
けれど短編集は意外と真逆で、かなりライトですよ。ちょうど、彼の描くファンタジーの世界と現実世界の間、それも限りなく後者に近いところ。あの時代の