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2024年1月の記事一覧

特別展『本阿弥光悦の大宇宙』のストーリーを整理して分かりやすく解説……を試みる@東京国立博物館

特別展『本阿弥光悦の大宇宙』のストーリーを整理して分かりやすく解説……を試みる@東京国立博物館

東京国立博物館(トーハク)で始まった、特別展『本阿弥光悦の大宇宙』へ行ってきました。「どうだった?」と美術館・博物館が好きな人に聞かれたら、本心から「うん、よかったよ。ぜひ行ったほうがいいよ」と答えると思います(まだ、そんな質問をされたことがありませんけどね)。実際、展示を巡って会場を後にする時には、良いものが見られたということで気持ちが高揚気味でしたし、そうした気持ちを反映させた記事を下記に寄稿

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「食品サンプルの誕生」

「食品サンプルの誕生」

体が火照っている。目の前に積み上げられた本を査定していると、体温の上昇を感じました。もちろん本を持って動くのは肉体労働。しかし、何か精神性なものも感じます。ただ、査定が終わると熱はすぐに消え、疲労だけが残りました。

というわけで、本を開いたのは20時半。疲れが残るので難しい本は読めない。昨日は漱石を読んだので本日は内田百閒を・・・と本を開くものの、進まない。早々に諦め、本日は「食品サンプルの誕生

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【雪と土とガトーショコラ】奈良美智: The Beginning Place ここから 青森県立美術館

【雪と土とガトーショコラ】奈良美智: The Beginning Place ここから 青森県立美術館

奈良美智氏の個展を見に雪の積もる青森県立美術館へ行ってきた。

【前章】

奈良さんの名前・作品を美術館で見かけ始めた時期と、自分が現代美術を見始めた頃がほぼ同時期となる。

当時(95〜96年頃)、きらびやかな「新しい作家」として注目され、村上隆氏と並列で現代美術の彗星のように語られたり。
原美術館(品川時代)にあったアトリエ再現作品や、2005年第2回横浜トリエンナーレなどはリアルタイムで見た

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【ニッポンの世界史】第12回:梅棹忠夫の『文明の生態史観』

【ニッポンの世界史】第12回:梅棹忠夫の『文明の生態史観』

トインビーの来日
 1954年に大著『歴史の研究』の一応の完成をみたA.J.トインビーが日本を訪れたのは、1956(昭和31)年のことでした。

 一度目の来日は、国際問題の第一人者として1929年にひらかれた「太平洋問題調査会」に出席するためでしたが、今度は文明を大きく論じる歴史家としての来日です。

 滞在中には各所で日本の知識人と交流したり、一般向けに講演したりする機会がもたれました。訪日が

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徒然雲 染まらぬ美【不染鉄】奈良県立美術館

徒然雲 染まらぬ美【不染鉄】奈良県立美術館

時折白いものがチラチラ舞う寒い寒い一日だった。

そんな寒空の中訪れたのが、奈良県立美術館。
久々に指折り数えて楽しみに待ち望んだのが『不染鉄』の展覧会。

昨年末にフライヤーを手にしてから、カレンダーに初日を書き込み
楽しみに待ち望んでいた。

初日は先日の土曜日だったが、平日の今日は美術館内は静かで
ゆっくり鑑賞することができた。

日本画、まだまだあまり詳しくない中ずっと気になっていたのがこ

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ニッポンの世界史【第10回】:京都学派の世界史(その1)

ニッポンの世界史【第10回】:京都学派の世界史(その1)

京都学派とはなにか
 京都学派とは一般に、京都帝国大学を拠点とした西田幾多郎と、その後継者である田辺元、さらにかれらの弟子たちを総称した呼び名です。

 西田と田辺を受け継いだ第二世代のうち、哲学者の高山岩男、西谷啓治、高坂正顕、さらに西洋史家の鈴木成高の4人は「京都学派四天王」と呼ばれることもあります。

 彼らの共通点は、仏教的な概念と西洋哲学の概念を重ね合わせて、西洋近代を批判し、西洋中心主

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