ブックスミタカ(旧BOOKS三鷹)の店主が書く個人的なブログ

17年営業を続けていた三鷹駅から西武柳沢駅前に引っ越してきた古本屋です。

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17年営業を続けていた三鷹駅から西武柳沢駅前に引っ越してきた古本屋です。

最近の記事

「昔日の客」

本日も売上は低調です。しかし、天気予報の最高気温36度という数字を確認すると、それは仕方がないことだと諦めがつきます。むしろ、こんな暑い日にわざわざ本を購入してくださった数人のお客様には、感謝の気持ちしかありません。 仕方がないので、今日も本を読みました。読んだのは「昔日の客」という夏葉社から出版された復刻本です。元々は昭和53年に1000部ほどしか発行されなかった珍しい本。しかしながら、帯に「古本随筆の傑作」と書かれています。 この本を手に取った最大の理由は、その不思議

    • 本が売れないのはお客さんも変わったから

      元々、「ニッパチは売れない」というのが古くからの商売人の常識ですが、今年の夏は違います。『すごく売れません!』 そして、それは当店だけの現象ではないことが、SNSをチェックしているとわかります。X(旧Twitter)を見ていると、古本屋のアカウントから明らかに焦りを感じます。 もちろん、店主にも焦りはあります。しかし、夏休み期間中は部活指導で忙しく、正直あまり気にしてません。涼しくなればお客さんは自然と戻ってくるだろうと諦めています。 ここで、「なぜ今年はこんなにも本が

      • 「喫茶店で松本隆さんから聞いたこと」

        今日も猛暑でした。店主は6時間ほどテニスコートに立ち仕事に励んだところ、人生で初めて手首から肘までの筋肉が攣りました。慌てて塩分を補給し、30分ほどしたら元通り。塩の大切さを知るとともに、寄る年波には勝てないと痛感しました。 そして古本屋に戻り、「疲れてる!眠い!今日は何もできない!」と思ったので、涼しい店内で読書することにしました。いくつか前のブログにも書きましたが、本によっては、眠たい時でも読めるものがあります。 今日は、店内にあった「喫茶店で松本隆さんから聞いたこと

        • いい本には、いいレビューが集まる

          今日も古本屋はヒマヒマでしたが、店主は朝からフル回転。おかげで今日は本を読む時間がありませんでした。そこで、昨日気がついた些細なことを紹介したいと思います。 それは、「いい本には、いいレビューが集まる」ということです。どういうことかというと、自分が「これはいい本だ!」と思った本をネットで詳しく調べると、たいてい良いレビューが書かれていたのです。 Amazonなどでは、売れている本には沢山のレビューが掲載されていますが、その9割は読んだとてあまり意味があるとは思えないレビュ

        マガジン

        • 完全解読
          4本
        • 吾輩は古本屋である
          3本

        記事

          「古くてあたらしい仕事」

          今日は本が売れませんでした。50円の雑誌はたくさん売れましたが、10冊売れても500円。手放しでは喜べません。 しかし、そのぶん時間は有意義に使えました。本を品出ししたり、ネットに本をかけたり、さらに自分の読書時間も充分に確保できました。 今日読んだ本は『古くてあたらしい仕事』という本です。夏葉社という一人出版社を経営する著者が書いたエッセイです。夏葉社ができるまで、できた後、そして本に対する思いをこれでもかと綴った一冊で、業界関係者や本好きの人なら間違いなく惹きつけられ

          本を読まない子どもの本選びに付き合いました

          今日、小学4年生くらいの子どもがお婆ちゃんと一緒にご来店くださいました。明日、学校へ持っていく本を探しに来たのだそうです。 しかし、その小学生は明らかに読書が苦手なタイプ。というか、いろいろなことが苦手なタイプとお見受けしました。 お婆ちゃんがリードして児童書のコーナーで本を選びますが、当の本人はまったく興味を示しません。1ページで読み終わる短編集に対しても否定的。読める、読めないに関わらず、何か自分のこだわりがあるようです。 そして、どの本も拒否していましたが、なぜか

          本を読まない子どもの本選びに付き合いました

          『博士の愛した数式』を読んだ女子が数学を好きになった話

          3連休の最終日、今日もまったりとした営業でした。天気は雨が降りそうで降らず、お店は特に忙しいわけでもなく、買取があったわけでもなく、売上はいつも通り低調なわけで… そんな日に、X(旧Twitter)に夏休みの読書感想文のおすすめ図書を紹介するツイートをしました。取り上げたのは、小川洋子著の『博士の愛した数式』という小説です。 すると、西東京市で子供服の交換会や発達障害児の子育て支援を、ほぼボランティアで行なっているrinoさんからリプライがありました。(自営業友達) な

          『博士の愛した数式』を読んだ女子が数学を好きになった話

          フィクション(小説)とノンフィクション

          今日、普通の小説を読んでいて、「今、何かとても大切なものを学んでいるような気がする」と感じることがありました。 一般的に、店主はノンフィクションやビジネス書や学術書のような本を好んで読んでいます。古典も基本的に哲学的なものには挑戦しますが、文学的なものは夏目漱石や永井荷風、そして西洋の名著と呼ばれているものだけしか読みません。 しかし、先日から原田ひ香さんの本を気に入って読んでいます。読んでいて、「それはどうかな…」と感じることもありますが、それ以上に「なるほど!」と納得

          古本屋の小さなお客さん

          睡魔が襲ってきました。とにかく眠い。この眠気に抗うべく、姿勢を正してカウンター前の椅子に座り、読みやすい小説を開きました。最初は眩暈が続くものの、少しずつ文字に視点が合ってきます。眠気が完全に取れるわけではありませんが、この方法で眠気に対抗していました。 すると、ふと本の横に小さな人影が現われ、目が合いました。どうやら小学生低学年の女の子です。大人が低めの椅子に座って姿勢を正していると、子どもの目線と同じぐらいの高さになるんですね。 当たり前のことに妙に感心しつつ、静かに

          体調不良の日々と読書の癒し

          今日も昨日に引き続き胃腸の調子が悪く、体がだるいだけでなく、頭に霧がかかったかのようです。これには梅雨の天気も関係しているかもしれません。片付けたいことや考えたいことがたくさんあるのですが、どれも手につきません。 そこで、最低限の仕事を終えた後は、読みやすい本を選び、読書の時間に充てました。正直に言えば、YouTubeを見ることすら辛かったのです。 今日はこの『古本食堂』を読みました。というか、まだ読んでいる途中です。それでも今日はこの本について書きたくなりました。(他に

          紙の本を読めば、イライラする時間が減る

          昨日から食欲が落ちており、今朝は何も食べる気になりませんでした。そこで古本屋を抜け出して、胃腸科があるお医者さんへ行ってきました。 予約しないで向かったので、病院についてから受付のお姉さんに「30分ほど待ちますがどうしますか?」と聞かれました。もちろん店主は本を持参したので、待合室で本を読んで待たせてもらうことにしました。 すると、結局20分ちょっとで呼ばれることとなりました。しかし、本が面白かったので、もう少し待っていてもいいぐらいでした。面白い本を開くと、待ち時間が全

          紙の本を読めば、イライラする時間が減る

          書店には地味な仕事が隠れている

          今日は夏時間営業の初日でした。早朝より部活指導に出かけ、12時前に古本屋に出勤して店を開けました。売上は低調ながらもいつも通り。ただ、残念ながら買取はありませんでした。 開店後は、注文のあった本を出荷する作業に没頭し、夕方からはひたすら楽譜などをネットに登録していました。古いものが多かったため、バーコードが付いていなかったり、あってもネット上にデータがなかったり。 仕方なく、本を一つ一つタイトルで検索し、相場を調べ、写真を撮影し、コメントを添え、SEO対策をして出品しまし

          言葉と想像力の守備範囲

          先日、ある気づきを得ました。日本に住んでいる外国人の子どもにテニスを教える機会があり、そこで言葉に対する概念がの違いを体感したのです。 その子は小学校入学前から日本に住んでおり、現在は中学1年生です。日本語は堪能で、練習中にふざけた行動をしたため、店主が「ちゃう!ちゃう!ちゃうのわかるやろ!」と似非関西弁でツッコミました。 すると、その子は言葉の意味を理解し、「先生!そんなこと言ったって~」と言い返してきました。(残念ながら彼は先生と指導者の区別がつかない) しかし、大

          選挙の候補者の「執筆能力」を知りたい

          本日も古本屋は夏日らしい売上でした。お年寄りが外出するには危険な天気なので、売上が上がらないのは当然のことだと思います。しかし、昨日の東京都知事選挙では小池百合子氏が当選しました。ということは、お年寄りも選挙には行っているということです。そう考えると、もう少し古本屋にも足を運んでいただきたいな、とは思います。 昨日の東京都知事選挙を見ていて、違和感を覚えたことがありました。それは、選挙で大事なのは「組織」「イメージ」「実績」の3つだという現状です。 まず、「組織票」という

          円安と物価上昇と時給1500円の行きつく先

          今日は東京都知事選挙の日です。当店は無党派・無宗教を掲げている古本屋です。時代に合っていないかもしれませんが、だからこそ、そんな日にも沈黙を守ります。 円安が止まらないというニュースを見ました。円安が止まらないということは、多くの輸入商品に依存する日本にとって、物価上昇に繋がるということです。これは庶民にとって大きなピンチです。牛丼が1000円になる日も近いと語る人もいます。 しかし、飲食店の値上げは、輸入食品の高騰だけが理由ではありません。従業員の賃金引き上げも関わりま

          古本屋で買いたくなる本、売りたくなる本

          「今日は高い本をお買い上げいただけたので、売上が上がったかな?」と思ってレジを閉めましたが、全然そんなことはありませんでした。やはりゲリラ豪雨の影響で、100円本が売れなかったことが原因です。あちらを立てればこちらが立たずという見事なバランスで、決して儲からない古本屋稼業です。 今日、店頭でなかなか売れない「無敵のコミュ術」という本を読んでみました。著者は「ひろゆき」となっていますが、いわゆるゴーストライターが書いた本だと思われます。 実際に読んでみると、思ったほど悪くな