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【小説】田舎暮らし案内人奮闘記 第12話

こんにちは、移住専門FP「移住プランナー」の仲西といいます。
ここでは、これまでの17年間の活動、2500組以上の移住相談対応から
皆さんに役立つ情報を書いています。
今回は、これまで受けた移住相談を小説風に書いてみました。
気に入った方は、フォローをしていただけると嬉しいです。


第12話 馬を連れて移住の夢を叶えたい


私の朝の日課。

5㎞のジョギングとシャワー、梅干しと卵かけご飯、そしてスマホで為替相場をチェック。
やがて、遠くから小学校のベルが聞こえてくると、私も子供たちと同じ様に、書斎に向かいデスクに向き合う。
そして、教科書の代わりに、PCを開けて電源を入れる。

まずは、メールチェックが仕事のスタート。
本日も受信トレイには50件の未読メッセージ。
移住に夢見る人からの熱いメッセージが届いている。

相談メールをフォルダー移動し、着信の古いものから内容を確認。
子供のようにワクワクした気分でメールを開く。

本日の相談

はじめまして。
大阪に住む下柳と言います。
私は馬と移住をしたいのです。
私と妻は馬と暮らすのが夢です。
サポートをお願いできますか。

最初、私は「馬と移住をしたい」の意味を理解できなかった。
「乗馬クラブなどを経営したいのだろうか?」
それとも、「牧場で働きたいのだろうか?」と思った。

こんにちは、下柳さん。
連絡をいただき有難うございます。
「馬と移住をしたい」について、もう少し詳しく教えていただけますか。

とりあえず、私はもう少し詳しい内容を聞いてみた。

返信ありがとうございます。
私たち夫婦は、それぞれ愛馬を1頭ずつ飼っています。
私たちは大阪市内で暮らしており、愛馬は車で1時間ほどの乗馬クラブに預かっていただいています。
週末に、愛馬に会いに行くだけでは満足できないのです。
私たちの願いは、自分たちの家で2頭の馬を飼いたいのです。



なるほど。
ワンちゃんのように、馬を家で飼いたいということか。
しかし、馬を飼うとなると、それなりの敷地が必要となるのでは。

さすがに、私もこのような相談は初めてであり、何から手を付ければ良いのか・・・。
そこで、私は行政や周囲と相談し、いくつかポイントを整理した。

1.土地は平たんで広大な雑種地を確保する
2.馬が散歩できるなど、馬の受け入れが可能な地域を選択する
3.馬のかいば(餌)、牧草ロールなどが入手しやすい地域を選択する
4.馬の獣医が身近にいる地域を選択する

その後、下柳さんと一緒に地域選びに奔走した。
やがて、地域も決まり、住居や厩舎の建築が始まった。
牧柵に囲まれた放牧地も確保されていく。
そして、いよいよ大阪からトラックに揺られて、長旅を終えた2頭のサラブレッドが到着した。

都会の大阪から、空気の綺麗な田舎に移住をした2頭のサラブレッド。
下柳夫婦は「大阪にいる時よりもずっとずっと元気だ」と、2頭のサラブレッドのことを話す。
しかし、そのことを話す下柳夫婦も、とても生き生きしているように思えた。
馬の世話は大変である。
ご主人は地元の会社に就職が決まり、平日の馬の世話は奥さんの役目であった。
それでも、大阪時代と違って、毎日、愛馬と一緒に暮らせていることが何よりも幸せそうであった。

一期一会

ご夫婦と2頭の馬が、新天地でいつまでも幸せに暮らせることを祈って

(終わり)


#創作大賞2024 #お仕事小説部門


移住専門FP「移住プランナー」として活動をしています。これまで18年間2500組以上の移住相談に対応をしてきました。ここでは、私の経験からお役に立てる情報を日常的に綴っていきます。「移住」という夢の実現にお役に立てればうれしいです。大阪出身、北海道と鹿児島の3拠点生活中。