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僕的ジャンル別ペンギンSFアンソロ感想
円城塔のつぶやきをきっかけとして企画されたペンギンSFアンソロジー。そもそもその存在がSF的であるペンギン。SFとの親和性は折り紙付きだが、実際に読んでみるとどのお話もおもしろくてやばかったので、感想をここにまとめてみたよ。
※これから読んだものも適宜追加していく予定です
※でも全部は読めなさそうです(半分くらいは読みたい予定)
※ジャンルは適宜修正中です
1.日常にひそむ謎と非日常、そしてペ
日暮れの匂い、いつかふたりで
本作のアガリ役は次の通りです:
小四季(一翻) …喜怒哀楽が1セット含まれている
情剧盃(一翻) …喜喜(喜劇)と哀哀(悲劇)の両者が含まれている
断片詩本作は #ブンゲイドンジャラ2 に参加した以下8篇の短文を編ませていただきました。
#ブンゲイドンジャラ2 とはブンゲイドンジャラは、140字内でつくられた短文(マイクロノベル)・俳句・短歌・短詩の公募作から8篇を選び、短文アンソロジーを
オマージュと換骨奪胎、本歌取り
僕の好きなパロディ作品に『髭を剃ったL.H.O.O.Q』がある。『泉』で有名なマルセル・デュシャンの作品で、名画モナ・リザのパロディである。
これに先立ち、デュシャンは『L.H.O.O.Q』という作品を作っていた。モナ・リザのポストカードにヒゲを書き足しただけの作品で、名画に対する揶揄の意図があったらしい。
問題はそのあとで、デュシャンは次に、ただのモナ・リザのカードを指し、『髭を剃ったL.H
2023年に読んだ本 Best10
1年の振り返りを兼ね、2023年に読んだ本を整理した。今年読めたのは50冊。年初に立てた目標50冊をなんとか達成できた。
50冊にはおもしろかったもの、ふーんなもの、視野を広げてくれたもの、いろいろあった。せっかくなので、特に素敵だった10冊を選んで紹介したい。
まずは小説から5冊。
1.『六人の嘘つきな大学生』評判になっていたので読んでみたやつ。「6人の嘘つき」とやらがどんな造形で描かれて
イグBFC4の思い出
イグBFC4というイベントに参加しました。
結局最後まで運営者の正体は明かされなかったけど、こうした有志イベントを企画いただくことは本当にありがたく、感謝の意味もこめて、参加の感想をここに残させていただきます。
特には運営関係者の小林猫太氏が、イグ初回からの道程も俯瞰した熱い閉会宣言を発されたので、こちらに対して思ったことを述べていきます。
以下、運営者さんへ、そしてイグに関わった人たちへ。
『新潟SFアンソロジー』にみる四次元拡張された新潟
2023年5月の文学フリマ東京にて上梓された『新潟SFアンソロジー ”the power of N”』は、新潟に由縁を持つ、あるいはあまり持たない著者15名によるアンソロジー。
いわゆる同人誌だが、その構成の見事さは土地としての新潟の仮想的拡張に成功している。SFの寄せ集めにとどまらず、編集著作物としてのSFの可能性を教えてくれる作品だった。
ので、ここに感想を残したい。
全体構成がとにかく
FUNLETTERS『8月15日』のタイトル考察
僕の大好きなバンドFUNLETTERSが1年8ヶ月ぶりに曲をリリースした。FUNLETTERSは、トラックメイカー&コンポーザーのNew Kと、ボーカルのChami.によるエレクトロポップユニットで、《あらゆる物事と人間性の肯定》を掲げる。
僕は透明に響くパーカッションのリズムと、そしてなにより詞が好きだ。『有名な曲かけてよ』の「鍵を掛けずに出かけよう」とか、『そこに愛があるなら』の「灯りを持た
読みかけのディケンズ
「いま、盗ったろう」
すかさず腕を捻り上げる。少年は怯えた目を私に向けた。
私たちのすぐ脇を馬車が駆けゆく。林立する工場の煙突の煙が曇天に滲む。薄汚れた公営の建物に混じって古びた救貧施設があり、路を虚無の如きボロ布どもが彷徨っている。
少年はその瞳にこそまだ光が見えたが、凍てつくクリスマスの空の下、煤だらけの薄着だけ着て瘦せ細っていた。
「言いがかりだね。こいつは元々オレの物だ」
少年はそ