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筋トレYouTuber界で今、起きていることを解説します。

すっかり市民権を得た、筋トレ文化

一昔前は筋トレというと「ささみとブロッコリーしか食べない」とか、「筋肉だけつけるのは意味わかんないし気持ち悪い」みたいな意見を見ましたが、今ではそんな意見もかなり少なくなってきました。

その一端には、筋トレYouTuberの存在があると筆者は考えています。
イケてるかっこいい人たちが、情熱的に論理的に筋トレについて発信し、その人みたいになりたい!と思う視聴者の心を掴んでいます。

しかし筋トレYouTuber界を長年見てきた筆者からすると、そこにあるのは必ずしも輝かしい面だけではありません。
今回は、できるだけマクロな視点から、筋トレYouTuber業界が今どうなっているのか、これからどうなっていくのか、紐解いていこうと思います。


筋トレYouTuber業界図

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まずはわかりやすいように、独断と偏見で筋トレYouTuber業界を図解してみました。

初心者向け↔上級者向け
論理的↔情緒的(非論理的)

この2軸でマトリクスを作って分類すると、

経験伝達系…初心者向け×論理的
論文紹介系…上級者向け×論理的
エンタメ系…初心者向け×情緒的
ボディビル競技者系…上級者向け×情緒的

大きく分けて4つの特徴があるといえます。
もちろんこの中でもマーケティングをして差別化をしているとは思いますが、今回はわかりやすくするために4分類としています。

これを前提として、今起きていること、これから起きそうなことを考えていこうと思います。


トピック①大物YouTuberのYouTube離れ

Kanekin Fitnessさん、Sho Fitnessさんらは数十万人のチャンネル登録者を誇りますが、彼らは2021年3月末現在、メインチャンネルの更新を熱心にはしていません。

これには2つ理由があると思っています。
投稿者側の問題と、視聴者側の問題です。


・投稿者側の問題

理由の1つ目は、YouTube以外のビジネスモデルのほうが安定して稼げるからです。

お二方とも自分のジムを経営しており、アパレル事業等を展開しており、複数の収入源があります。
このように、YouTubeで獲得した顧客に対して、YouTube以外のチャネルで価値を提供することで安定して事業を展開できると考えていると思われます。

YouTubeはアメリカのGoogle社の傘下であり、YouTuberの収入は、Googleに広告を出したいと考える企業から成り立っています。

つまり、Googleか広告主、どちらかの景気が悪くなればYouTuberの収入も悪化します。
あるいは、ステマやステロイド問題で投稿者が炎上して、YouTuberとしてやっていけなくなるリスクも考えられます。

このようなリスクを考えて、YouTube以外の収益源を確保するYouTuberが増えてきており、彼らはその先駆けといえるでしょう。


・視聴者側の問題

理由の2つ目は、視聴者の目が肥えたからです。

近年、YouTube文化はかなり流行ってきています。
それによって動画コンテンツ自体に対する目が肥えたというのもありますが、筋トレ情報に対する目が肥えたことが大きいのではないかと筆者は考えています。

例えば、「プロテインの飲み方」とか「ベンチプレスのやり方」など、基本的な知識に関する情報は探せばいくらでも出てきます。
何を隠そう、筆者自身の最初の記事もダイエットについてで、プロテインの飲み方も併せて紹介していました。

似たようなコンテンツが溢れると、当然視聴者からは飽きられてしまうので、普通のコンテンツではなく凝ったコンテンツが出せない人から脱落していきます。

凝ったコンテンツを出し続けるのもなかなか難しいため、YouTube以外のところでマネタイズしようとしていく人はこれからも増えるでしょう。

しかし一方で、視聴者のリテラシーはもっともっと上がるべきだと筆者は感じています。
皆さんにも、ステロイドユーザーのトレーニングを参考にしたり、ダンベルをくるくる回転させる一見真新しい種目に気を取られたりするのはやめて、本当に必要な情報を得る目を養ってほしいと常に考えています。


トピック②エンタメ系筋トレYouTuberの台頭

情報源が増えると、差別化がしづらくなります。
プロテインの飲み方などは誰が発信しても同じ内容になりがちで、視聴者からは飽きられてしまいます。

その結果、再生回数を増やすために、例えば「プロテインを○○と一緒に飲んでみたwww」などのエンタメ方向に振れる人、また「△△を原料に作られた珍しいプロテインのレビュー」などマニアック方向に振れる人など、差別化が始まることになります。

様々な戦略により、バラエティ豊かなコンテンツが生まれてくるのは、一視聴者として純粋に楽しいですよね。
しかし差別化にも限界があり、もはや全然筋トレと関係ない動画ばかり出している人もいたりと、なかなか厳しい状況になってきている気がしています。

筋トレ動画によって集めたファンをベースに、Vlogや企画で再生回数を安定して伸ばすこと自体を否定はしませんが、真摯に正しい筋トレ情報を発信している人が報われる世の中になってほしいというのが個人的な願い。

ここらへんは本当に難しいんですよね。。。
YouTubeに限らず、顧客が何を求めているのかを見極めることも大事ですし、発信者としての社会的意義やモラルといった部分も大事。

再生回数を伸ばすことを目的としたエンタメ系Youtuberが増えたことによって、その情報が本当に正しいのか、それとも再生回数や紹介報酬を目的にしているだけなのか、見極めることが難しくなってきました

「絶対に筋肉が大きくなるH●B!」などの明らかに怪しい広告だけでなく、「おすすめのプロテイン」や「絶対に腹筋が割れる5分エクササイズ」とかですら怪しく見えてきます。

だって、「5分で絶対に腹筋が割れる」わけがないじゃないですか。
もしそんなエクササイズがあったとしたら、全人類がそれをやれば全人類が腹筋割れているはずですよね。

でも現実として全人類の腹筋は割れていない。
つまり、「絶対に腹筋が割れる5分エクササイズ」は少なくとも「論理的に正しい方法」ではないということができます。


トピック③論文系系筋トレYouTuberの登場

そこで出てきたのが、論文系YouTuber。

論文の何が良いかというと、「科学的に証明された、多くの人が成功する確率が高いもの」を紹介していること。
つまり再現性が高いということです。

例えばあなたが病気にかかったとして、お医者さんとおばあちゃんだったらどちらを信用しますか?
おそらくほとんどの人が医者を信用するでしょう。

では、若くして不健康なお医者さんと世界一長生きしたおばあちゃんだったらどちらを信用しますか?
意見はいろいろあると思いますが、この場合でも筆者はお医者さんを信用します。

それは、世界一長生きしたおばあちゃんの常識が自分に当てはまるとは限らないからです。
「世界一長生きしたおばあちゃんが毎日ラジオ体操していた」は、「毎日ラジオ体操していれば長生きできる」ではありません。
それは因果関係の錯誤で、再現性が高いとは言えません。

「あのデカいボディビルダーが言ってたから、あの有名YouTuberが言ってたから間違いない!」というのは、「世界一長生きしたおばあちゃんが言ってたから間違いない!」というのと同じです。

前置きが長くなりましたが、だからこそ科学的根拠が大切なのです。
情報が錯綜しているからこそ、科学的根拠を元に、万人に通用しやすい考え方を紹介する論文系YouTuberが増えてきました。

彼らは、「絶対に腹筋が割れる5分エクササイズ」などのアクセスを集めるためのコンテンツは作成しません。
「腹筋を割るための科学的なアプローチ」など、真実を大切に、愚直に努力する系のコンテンツを地道に発信し続けます。

このようなコンテンツは人気がなくアクセスが伸びないこともわかっています。
みんな、「誰でも簡単に成功できる方法」を知りたいのです。

でも筆者はそんなものはないと断言します。
夢を買いたいのであれば買ってもいいと思いますが、筆者は自分の道を自分で切り拓くことにおもしろさを感じています。

ですが論文系YouTuberにも弱点があります。
それは、視聴者は発信者本人ではなく情報に価値を感じているということ。

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視聴者側が高いリテラシーを持ち、あくまでビジネスライクに情報だけを取ろうとした場合(①)、どのようなことが起きるでしょうか。

まずは、情報にだけ価値が置かれてしまい、発信者自身のファンがつきません。
次に、発信者は本当の情報しか発信できないので、すぐにネタが尽きてしまったり、オリジナリティのあるコンテンツを出せなくなります。

そうなると、コンテンツが限られる上にマネタイズが難しいので、発信者としての活動継続が難しくなってきます。
結局は、発信者は「アクセス数を伸ばす」という視点なしでは活動を継続しにくいというジレンマを抱えているのです。

では、これから先、どのようなYouTuberが生き残っていくのでしょうか


これから生き残る筋トレYouTuber①ホンモノ志向の人

1つ目は、ホンモノ志向の人が生き残るということ。

例えば山本義徳先生のように桁違いの知識を持ち、プロボディビルダーやアスリートへの指導経験が豊富な人。
例えば山岸秀匡選手のように日本人で唯一、プロの世界で長きに渡って戦い続けている人。

現時点の登録者数がどうこうよりも、このように強烈な個性を持った人は顧客から必ず必要とされます
なぜなら、誰にもマネできないから。

正直、「筋トレしながらエンタメコンテンツを作る」という点に長けた人は日本に(少ないながらも)それなりにいるでしょうし、論文を読んで発信するだけならば誰にでもできます。

しかし上記のような個性は替えがきかない存在で、そのような資質を持った人は当然生き残っていくでしょう。

「いやいや普通の人にはそんな才能ないし無理だよ」
と思われるかもしれません。
ですが、次のことを突き詰めると、誰にでも才能を開花させるチャンスがあることがわかります。


これから生き残る筋トレYouTuber②オリジナリティのあるコンテンツを作れる人

2つ目は、オリジナリティのあるコンテンツを作れる人が生き残るということ。

「オリジナリティなんて簡単に作れねえよ!」
と思いますが、果たして本当にそうでしょうか。

確かに、「筋トレ知識」や「ボディビル世界大会の経験」といったレッドオーシャンでオリジナリティを作ろうとすると、1万分の1、いや1億分の1くらいの能力がないと難しいでしょう。

でも、100人に1人のそこまでレアじゃない強みを2つかけ合わせることで、それは1万人に1人のレアな強みに生まれ変わるのです。

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例えばNextfit Kentoさんは、論文を読むのが趣味といえるほどの栄養学マニアで、なおかつ大学卒業と同時にパーソナルジムを開業させ、書道のほうでも事業を展開するなど経営にも長けています。

栄養学と経営、どちらか片方では他にライバルがいるかもしれませんが、両方を掛け合わせることで明確に自分の立場を作られている良い例だと思います。

筆者の場合、筋トレの才能は凡人程度です。
しかし筋トレを継続することで、100人に1人以上の筋トレ知識を身につけることができました。

また文章の才能も凡でしたが、noteを一年以上継続することで100人に1人以上の文章力がついたと思っています。

最近では、本業であるマーケティングを通じてロジカルシンキングやドキュメンテーション等、普遍的に使えるビジネススキルを改めて磨き直しています。
100人に1人以上のビジネススキルにはまだまだ遠いですが、これから伸ばしていきたい領域です。


●まとめ

・大物YouTuberのYouTube離れ
・エンタメ系筋トレYouTuberの台頭
・論文系系筋トレYouTuberの登場
・ホンモノ志向の人が生き残る!
・オリジナリティのあるコンテンツを作れる人が生き残る!


●終わりに

今回は、一視聴者として筋トレYouTuberを長年見てきた筆者が思うことを書いてみました。

筆者自身、駆け出しトレーニーのときはYouTubeで勉強をしたり、モチベーションを上げたりして筋トレを続けてこられました。
だからこそいろいろ思うことがあり、こうしてnoteで情報発信しているわけなのですが、、、

引き続き、読者の方々の役に立つ情報だったり、自分で書きたいことだったりを記事にしていこうと思います。
もちろん読んでくださるだけで非常に嬉しいのですが、もしよかったら「スキ」も押していってくださるとモチベーションになります。



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