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高校生のための人権入門(全27回)

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人権についてわたしが考えたことを、高校生だった自分にもわかるように書いてみました。興味のあるテーマについて書いてある回から読んでいただいても、大丈夫です。
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高校生のための人権入門(19) 「多様性の尊重」の落とし穴

高校生のための人権入門(19) 「多様性の尊重」の落とし穴

はじめに最近、日本で人権について語られる時、とてもよく使われるようになった言葉に、「多様性の尊重」という言葉があります。確かにこの言葉は、「人権侵害とは、自分とは『違う』あり方、考え方、生き方をしている人への非難、攻撃である」というポイント(第18回参照)をよく押さえています。しかし、「人権を尊重する」ということと「多様性を尊重する」ことを、同じことだと考えてしまうと、そこには大きな「落とし穴」が

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高校生のための人権入門(20) パワーハラスメントを生む「集団」とは

高校生のための人権入門(20) パワーハラスメントを生む「集団」とは

はじめに前回、「現実の『人と人との関係』は、基本的に力と力の関係であり、どちらかがどちらかを支配している(相手を従わせている、自分に合わせさせている)関係なのです。」と書きました。このことについて、次回、くわしくお話したいと思っていますが、今回は、それを考える前に、まず、パワーハラスメントを生む集団は、どんな性質を持っている集団かを考えてみたいと思います。

人と人がつくる二種類の集団人と人がつく

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高校生のための人権入門(21) 力の関係としての人間関係

高校生のための人権入門(21) 力の関係としての人間関係

はじめに前々回、「現実の『人と人との関係』は、基本的に力と力の関係であり、どちらかがどちらかを支配している(相手を従わせている、自分に合わせさせている)関係なのです」と書きました。このようなとらえ方には、違和感や反感を覚える方も多いのではないかと思います。そのため、前回、人間がつくる集団には二種類あるのではないかということを書きました。人間のつくる集団の二面性と考えていただいてもかまいません。今回

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高校生のための人権入門(22) 「正しさ」のぶつかり合いから抜け出すこと(その1)

高校生のための人権入門(22) 「正しさ」のぶつかり合いから抜け出すこと(その1)

はじめにさまざまな人権問題があることをこれまで見てきました。もちろん、今まで取り上げてきた人権問題以外にも、たくさんの人権問題が今の日本にはあります。(それらについては、別の機会でふれることができたらと思います。)今回から3回ほどにわたって、どうしたら今まで取り上げたような人権問題が、少しでも解決に向かうことができるのかを考えてみたいと思います。

何が起きているのか、なぜ起きているのか差別や人権

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高校生のための人権入門(23) 「正しさ」のぶつかり合いから抜け出すこと(その2)

高校生のための人権入門(23) 「正しさ」のぶつかり合いから抜け出すこと(その2)

はじめに前回、パワーハラスメントがどのようなことが「きっかけ」となって、どのように進んでいくかということを見ました。今回は、パワーハラスメントが起きている時に、加害者と被害者の「心の溝(気持ちや思いのズレや断絶)」が、どのような働きをしているかを見てみたいと思います。

なぜ、「心の溝」は深まるか第3回「パワーハラスメント」でも述べたように、パワーハラスメントは、(A)「強い立場」と「弱い立場」が

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