細田成嗣

1989年生まれ。ライター/音楽批評。2013年より執筆活動を開始。編著に『AA 五十…

細田成嗣

1989年生まれ。ライター/音楽批評。2013年より執筆活動を開始。編著に『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(カンパニー社、2021年)。2018年より国分寺M'sにて「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」と題したイベント・シリーズを企画/開催。

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    Twitterで1日につき1本ずつ投稿している280字のアルバム・レビューを月ごとにまとめました。選盤は即興音楽とその周辺の新譜が中心ですが、雑誌等であまり扱う機会のない数年前の旧譜も取り上げます。

記事一覧

カンパニー社が示すマイナー音楽流の出版活動——音楽批評の現在地を探る特別対談・完全版

 カンパニー社という音楽系出版社をご存知だろうか。2019年に1冊目の書籍としてジョン・コルベット著『フリー・インプロヴィゼーション聴取の手引き』を世に送り出すと、…

細田成嗣
1年前
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AI(ChatGPT)との音楽談義が思いの外ディープに発展した——インタビュー形式での対話の記録

 OpenAIが発表したAI言語モデル「ChatGPT」が話題だ。テスト版が無料公開されているので使用してみたところ、これが凄い。チャット形式で質問を投げかけると、まるで人間…

細田成嗣
1年前
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短評集 2022年5月

 2022年5月の短評を以下にまとめた。短評集の概要と有料記事としている理由等についてはこちらを参照。

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細田成嗣
1年前
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短評集 2022年4月

 2022年4月の短評を以下にまとめた。短評集の概要と有料記事としている理由等についてはこちらを参照。

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細田成嗣
1年前
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短評集 2022年3月

 2022年3月の短評を以下にまとめた。短評集の概要と有料記事としている理由等についてはこちらを参照。

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細田成嗣
2年前
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サウンド・アートは「クライシス」に対して何ができるのか——即興演奏の距離とメディアの不透明性について

 新型コロナウイルスのパンデミックは直接的/間接的に世界を大きな混乱へと陥れた。ここ日本でも2020年1月に最初の感染例が報告されて以降、瞬く間に感染が拡大。同年4月…

細田成嗣
2年前
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短評集 2022年2月

 2022年2月の短評を以下にまとめた。短評集の概要と有料記事としている理由等についてはこちらを参照。

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細田成嗣
2年前
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反戦という紐帯、あるいはいかにして「音楽の力」と向き合うか——個々別々の人間が同じ場に居合わせることの可能性について

 耳をそばだてるも音楽が居場所を失った世界。そうした世界を正しく想像することができるだろうか。戦火に曝された人々にとって音は生き延びるための重要な手がかりである…

細田成嗣
2年前
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短評集 2022年1月

 2022年1月から280字の短いアルバム・レビューを1日につき1本ずつTwitterで投稿するという試みを始めた。新譜だけでなく、雑誌等であまり扱う機会のない数年前の旧譜も…

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細田成嗣
2年前
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身体、楽器、空間、時間の関係性を音で探る「独奏」の試み——松丸契、インタビュー

 自身のリーダー・カルテットやblank manifestoのほか、SMTKやm°feなど複数のバンド/プロジェクトで活躍する気鋭のサックス奏者・松丸契が、2020年からソロ・インプロヴ…

細田成嗣
2年前
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ソーシャル・ディスタンシング時代と呼応する「距離の音楽」の実践——中川裕貴、インタビュー

 京都を拠点に活動するチェロ奏者・中川裕貴による新作コンサート『アウト、セーフ、フレーム』が、7月31日から8月2日にかけてロームシアター京都・サウスホールで開催さ…

細田成嗣
3年前
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音楽の実験性を肯定すること——ポストパンデミック時代を生きる集団即興あるいはメディア・アートについて

「アートは無意味なことのためのPRではない。美は事物が存在していることの理由である。美は真実の響きである。美は真実らしさである。美はまた、ちょっとした死の感触でも…

細田成嗣
4年前
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カンパニー社が示すマイナー音楽流の出版活動——音楽批評の現在地を探る特別対談・完全版

カンパニー社が示すマイナー音楽流の出版活動——音楽批評の現在地を探る特別対談・完全版

 カンパニー社という音楽系出版社をご存知だろうか。2019年に1冊目の書籍としてジョン・コルベット著『フリー・インプロヴィゼーション聴取の手引き』を世に送り出すと、リスナーのための即興音楽の入門書という国内では類例のない内容が一部界隈で大きな話題を呼んだ。翌2020年にはアメリカの奇才芸術家ハリー・スミスのインタビュー集であるラニ・シン編『ハリー・スミスは語る 音楽/映画/人類学/魔術』を刊行。2

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AI(ChatGPT)との音楽談義が思いの外ディープに発展した——インタビュー形式での対話の記録

AI(ChatGPT)との音楽談義が思いの外ディープに発展した——インタビュー形式での対話の記録

 OpenAIが発表したAI言語モデル「ChatGPT」が話題だ。テスト版が無料公開されているので使用してみたところ、これが凄い。チャット形式で質問を投げかけると、まるで人間と会話しているかのように答えが返ってくる。しかも単に一問一答のレスポンスがあるだけでなく、前後の文脈を踏まえた上で切り返してくれるのだ。これまでもチャット形式のAIサービスは様々に存在していたが、ややこしい質問を投げても「すみ

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短評集 2022年5月

短評集 2022年5月

 2022年5月の短評を以下にまとめた。短評集の概要と有料記事としている理由等についてはこちらを参照。

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短評集 2022年4月

短評集 2022年4月

 2022年4月の短評を以下にまとめた。短評集の概要と有料記事としている理由等についてはこちらを参照。

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短評集 2022年3月

短評集 2022年3月

 2022年3月の短評を以下にまとめた。短評集の概要と有料記事としている理由等についてはこちらを参照。

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サウンド・アートは「クライシス」に対して何ができるのか——即興演奏の距離とメディアの不透明性について

サウンド・アートは「クライシス」に対して何ができるのか——即興演奏の距離とメディアの不透明性について

 新型コロナウイルスのパンデミックは直接的/間接的に世界を大きな混乱へと陥れた。ここ日本でも2020年1月に最初の感染例が報告されて以降、瞬く間に感染が拡大。同年4月には最初の緊急事態宣言が発令され、約2ヶ月間にわたって不要不急の外出を自粛するよう呼びかけられた。首都圏の繁華街では多くの店舗が休業に追い込まれ、まるでゴーストタウンのように人間の気配を失った都市の様子がニュースで繰り返し報道された。

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短評集 2022年2月

短評集 2022年2月

 2022年2月の短評を以下にまとめた。短評集の概要と有料記事としている理由等についてはこちらを参照。

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反戦という紐帯、あるいはいかにして「音楽の力」と向き合うか——個々別々の人間が同じ場に居合わせることの可能性について

反戦という紐帯、あるいはいかにして「音楽の力」と向き合うか——個々別々の人間が同じ場に居合わせることの可能性について

 耳をそばだてるも音楽が居場所を失った世界。そうした世界を正しく想像することができるだろうか。戦火に曝された人々にとって音は生き延びるための重要な手がかりである。周囲の環境音に耳をそばだて、いつ訪れるとも知らぬ敵機の襲来を敏感に察知し、場合によっては即座に安全な場所へと逃げ込まなければならない。実際に二度の世界大戦においてこうした耳の技法は軍事力の一つとして要請されていた。敵機の音を聴き取るための

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短評集 2022年1月

短評集 2022年1月

 2022年1月から280字の短いアルバム・レビューを1日につき1本ずつTwitterで投稿するという試みを始めた。新譜だけでなく、雑誌等であまり扱う機会のない数年前の旧譜も取り上げる予定だ。対象となるジャンルは特に決めていないが、自分の興味から必然的に即興音楽とその周辺が多くなるだろう。日々の備忘録のような試みでもある。とはいえ惰性で書くつもりは一切なく、商業誌と同じように労力を割き、同じような

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身体、楽器、空間、時間の関係性を音で探る「独奏」の試み——松丸契、インタビュー

身体、楽器、空間、時間の関係性を音で探る「独奏」の試み——松丸契、インタビュー

 自身のリーダー・カルテットやblank manifestoのほか、SMTKやm°feなど複数のバンド/プロジェクトで活躍する気鋭のサックス奏者・松丸契が、2020年からソロ・インプロヴィゼーションのライヴ・シリーズに取り組んでいる。シリーズの名称はそのものずばり「独奏」だ。毎回約90分間、休憩を挟まずサックス一本を手にアコースティックな響きだけを用いて演奏を行っており、静謐でサイン波のようなロン

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ソーシャル・ディスタンシング時代と呼応する「距離の音楽」の実践——中川裕貴、インタビュー

ソーシャル・ディスタンシング時代と呼応する「距離の音楽」の実践——中川裕貴、インタビュー

 京都を拠点に活動するチェロ奏者・中川裕貴による新作コンサート『アウト、セーフ、フレーム』が、7月31日から8月2日にかけてロームシアター京都・サウスホールで開催される。未曾有のパンデミックを受けて、当初の予定よりも広い会場へと開催場所を変更し、感染拡大を防ぐための措置を講じたうえでコンサートの形式を拡張することに挑むという。人々が密集することによって空気の振動を分かち合うという、従来の一般的なラ

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音楽の実験性を肯定すること——ポストパンデミック時代を生きる集団即興あるいはメディア・アートについて

音楽の実験性を肯定すること——ポストパンデミック時代を生きる集団即興あるいはメディア・アートについて

「アートは無意味なことのためのPRではない。美は事物が存在していることの理由である。美は真実の響きである。美は真実らしさである。美はまた、ちょっとした死の感触でもある。」(ティモシー・モートン「ウイルスよ、ありがとう、わたしたちと共生してくれて」)

 あらゆる音楽がメディア・アートとしての性質を帯びはじめている。むろんすべてではない。いまもなお小さな場所で奏でられているささやかな響きは無数にある

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