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美しい言葉を神様からお借りして、美しい形にならべる。
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#眠れない夜に

「心臓」

「心臓」

いたい、いたい。

どうしよう。

ふと我に帰ると、押し寄せてくる。現実。
心臓がいやな音を立てて輪郭をあらわにする。

いたくてどうしようもない。

そう、どうしようもないんだ。

耐えるしかない。

一人、胸を押さえつけて、やり過ごすしか。

だくだくと、心臓から血が垂れ流されている。

あぁ、まだ全然、" ナマキズ " だった。

「夕涼み、黄昏」

「夕涼み、黄昏」

最近は気候がきもちいい。
私は夕方ちょっと前の時間がすき。

眩しさが和らいだ、透明にちかい空気感。

ほんのりと涼しくなって。
頬を撫でる風。そよそよ。
心地良い。
誰かと歩きたくなる。

そんな夢想をしながら、
1人でも私はるんるん歩いている。

♦︎

ちょっと時間を進めて、
黄昏時も、私はすき。

誰の顔も見えないほど、西日は強く、影は濃く。

" 誰そ彼 " と名付けた昔の人の美意識を想

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「色、溢れて」

「色、溢れて」

目の前がたくさんの色で溢れて
賑やかで
ときどき、見えなくなるね。

淡い色も、大切にしたい。

喧騒の切れ間、耳を澄まして。
淡い声は、澄んだ心でしか聞こえない。

さみしがり屋なあの子のために
余白を、あけておくね。

なみなみさん🖼

「お月様の色」

「お月様の色」

今夜は満月がぴかぴかに光ってた。

くっきりはっきり。

模様もくっきり見える。

お月様の黄色ってこんなに綺麗だったっけ。

ぼぅっとやわらかいレモンイエロー。

薄づきの。

いや、日によってちがうんだ。

私は、今日のお月様の色がとってもすきなんだ。

なみなみさん🌕

「霧雨に濡れて」

「霧雨に濡れて」

まだ誰も起きてこない朝早く
夜の続きの
ひとけのない街。

しっとりと降る霧雨は幻想的だった。

煙る景色。
街頭の灯りもぼやけて滲む。

肌に触れる湿気が心地いい。
傘なんて差してられない。

しんと冷えた夜気に
感覚が研ぎ澄まされる。

" そうだ、この世界はほかの誰のものでもない。
最初から、私のものだったんだ。"

あぁ、いま目の前にあるすべては、私の世界。
私の捉えた景色も。
私の震

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「謳歌」

「謳歌」

みんな知らんとこで存外、楽しくやっている。
自分も楽しくやったらいいのだ。

楽しいことは楽しく楽しめ。

謳歌せよ、人生!

なみなみさん🌸

「優しさだけで」

「優しさだけで」

優しさだけで生きていけるなら
優しさだけ持っていたかった。

どうして、優しいだけじゃ
いられない世界なんだろう?

なみなみさん🌎

「ゆきをみて」

「ゆきをみて」

雪を見た人々の反応が様々で面白い。

はしゃぐ人、嫌がる人、心配する人、感慨に耽る人。

いずれも、なんだか、そわそわしている。

どうでもいい人は少ない気がするけれど、そもそも反応していないからだろうか。

私はといえば、

雪ひとつとっても

こんなにも反応がちがうのだから

世界中、人々の心は果てなく計り知れないな。

などと思うなどした。

あなたは、雪を見て、何を思う?

なみなみさん❄

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「言葉の温度」

「言葉の温度」

文字にした言葉と、口にした言葉は、同じ言葉でもまったくちがうものになってしまう。

そのことが、ひどく、もどかしい。

面と向かって、声に出せば、

声色で、話し方で、表情で、

伝わるものがたくさんある。

文字はどうしても、固く、冷たくなりがちだ。

受け取る側のそのときの感情、もしくはその人の受け止め方にも、大きく左右される。

だから、なるべく、やわらかく優しく温かく伝わるように、丁寧な言

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「あったかい飲み物」

「あったかい飲み物」

寒いとそれだけで心ザワザワする。

心臓がドギマギ寒がっている。

こいつの対処は意外と簡単で、

あったかいものを体内に取り込めば、心和らぐ。

あったかいごはんやスープを食べれば、心もお腹も満たされる。

あったかい飲み物も、手軽でいい。

これだけで、ほぅっと、強張った心が緩む。

心臓をあっためるために、あたたかな飲み物を流し込む。

心に栄養を注ぐようなイメージ。

人間の心は複雑なよう

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「美学」

「美学」

自分をムリに偽るなら聖人君子にならなくていい。

私だって女神なんかじゃないから。

わかってるだろうけど。

人間らしい歪さをしょうもないほど愛せよ。

隠した粗悪さも鈍く光って美しい。

ムリじゃなく、ミエならいい。

ミエなんていくらでも張ってやれ。

かっこつけて見せりゃいい。

その思いがなくっちゃ。

美学を愛せるのは人間サマの特権だ。

美しくあれ!

ただ自分のミバエだけを気にして

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「 この胸に… 」

「 この胸に… 」

余計なこと、考えないで済むように
大切なものだけでこの胸を満たしたい。

始まりは、たったひとつ、シンプルな思いだけを
この胸に抱いていたはずなのに。

ぐるぐると余計なものが絡みついて
1番大切なものが見えなくなってしまうから。

ほどいて、ほどいて。
大切なものを、大切にできるように。

この胸に、手を当てて、
私の本音に耳を澄まして。

「感傷」

「感傷」

保険証が、私1人のものになったとき、

「あぁ、一人で生きていかなければ」

という恐ろしさと感傷が私を襲った。

もう随分、前の話だ。

手続きひとつで、特に変わったことはない。
利便性を優先しただけ。

家族じゃなくなったわけじゃない。

この世界にはありふれた、よくある話。

けれど、どうしようもなく、

ぽつんとした、"一人" を意識してしまう。

その日、私は、ひとりぼっちになった

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「うつろふ」

「うつろふ」

可愛らしいピンクのチューリップと

アッシュブルーのスイートピーを買った。

花屋でもう花束になって売られているセットの方が安いのだけれど、

自分で選んで気に入った子たちを

連れて帰りたいのだ。

花瓶なんてないけど花はすきだ。

ガラスのコップの中で、寄り添うように太陽を見る花たちを見て「よし」と思う。

2日目、

上にかけていた洗濯物を落としてスイートピーが折れてしまった。

可哀想なこ

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