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140文字小説

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Twitterで日々投稿している140文字小説をまとめたものです。
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#高校生

真実の行方 (140文字小説)

真実の行方 (140文字小説)

 また痣が…

 隣の部屋の高校生が、怪我をしている。

 父親の虐待…もう通報だ。

 その日の夜、また隣から暴れる音が。

 通報すると警察はすぐ動き、父親は現行犯で逮捕された。

 もう安心だよ。私は彼に声をかけた。

「なにするんだよ!親のパンチに何発耐えられるかのギネスに挑戦するのに!」

LINE教えて (Twitter140文字小説)

LINE教えて (Twitter140文字小説)

 LINE教えて。心で復唱する。

 一週間の練習の成果を漸く披露する。

 隣を向いて、何気なく訊くだけ。

 そう単純な作業なの。

 落ち着く必要など何処にもない。

 体の中にドラマーが棲みついている感覚はきっと気のせい。

 教室の引戸が開き、彼が席に座る。

 行け!

「ガビンのびべて!」

 噛んだ…

おかしな男子 (Twitter140文字小説)

おかしな男子 (Twitter140文字小説)

 下校中の校門でクラスメイトに呼び止められた。

 あまり話したことがない男子だ。

 「明日、暇を壊しませんか?」

 変な誘い文句だなと、噴き出してOKをした。

 当日の帰り際に「今度」と言うので、次の予定かと思うと、「指輪をはめませんか?」と言いだした。

 今度はいろいろすっと飛ばした。

遅い恋心 (Twitter140文字小説)

遅い恋心 (Twitter140文字小説)

 おはよう、の声と共に毎朝勢いよく僕の肩を叩く子がいる。

 脱臼の際の治療費請求の為、毎日記録を取る。

 ある日、理由を尋ねてみた。

「いざというとき君を助けるためだよ!」

 三日後、いざが来て彼女は僕を救った。

 朝の恒例の出来事が消え、僕は涙と共に、遅い彼女への恋心を自覚した。

記念日~茜と陸~ (Twitter140文字小説)

記念日~茜と陸~ (Twitter140文字小説)

「来週なにがあるか知ってる?」

 茜は水を向ける。

「梅沢富美男の誕生日だろ」と陸は空を仰ぎながらとぼける。

「なにそれ?そんなの知らないよ」

 茜はもういいと頬を風船にしてさっさと歩き出す。

「恥ずいから言わねぇよ」

 呟く陸の鞄には初デート記念のキーホルダーがきらりと煌めく。

あとがき

困った時の茜と陸シリーズです。

この二人は勝手に動いてくれるので、作者としては非常に楽です

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わからない香り~茜と陸~ (Twitter140文字小説)

わからない香り~茜と陸~ (Twitter140文字小説)

「いい匂いがする」と商店街で鼻をくんくんさせて陸くんが言う。

 食いしん坊の陸くんはまた美味しい匂いを嗅ぎつけたのだろうか。

 陸くんと感覚を共有したい私は一生懸命匂いを探す。

「陸くんどこ?」

「茜はわからないよ。俺だけの匂いだから」

 陸くんが何を言ってるか私にはわかんない。

あとがき

少々まとまりが悪くなった反省の作品ですが、敢えて修正せず恥を残します。(笑)

あれ (Twitter140文字小説)

あれ (Twitter140文字小説)

 掃除が終わったあとの気怠い放課後。

 机に突っ伏し、窓を見遣るとオレンジのような赤々と焼けた太陽がある。

 あの人が指で器用に転がす「あれ」によく似ている。

 今日も体育館で懸命にドリブルしてるのかな。

 あの人は「あれ」に恋してる。

 わたしは「あれ」に恋するあの人に恋してる。

あとがき

綺麗な夕陽がボールに見えて浮かんだ作品です😊

ちなみに私はバスケ経験は皆無です😅

明日がないさ (Twitter140文字小説)

明日がないさ (Twitter140文字小説)

「明日があるさ」と誰かが言った。

 そんな不確かなことを誰が言い出したのか。

 明日の保証なんて誰にも無いのに。

 世界は誰にも等しく残酷だった。

 目の前の篠突く石の雨に誰が明日の到来を期待できるのか。

 帰ったら、ごめんねと言おうと思っていた。

 せめて天国で仲直りしよう、お母さん。

 

 あとがき

 人生はいつ終わりが来るかわかりません。

 妻とケンカした時に不意に頭に浮

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