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東原そら
2021年1月21日 11:18
LINE教えて。心で復唱する。 一週間の練習の成果を漸く披露する。 隣を向いて、何気なく訊くだけ。 そう単純な作業なの。 落ち着く必要など何処にもない。 体の中にドラマーが棲みついている感覚はきっと気のせい。 教室の引戸が開き、彼が席に座る。 行け!「ガビンのびべて!」 噛んだ…
2021年1月16日 18:48
「今日も告白できなかった~」 親友が私の机の前で嘆く。 伝えたい焦れったさ、伝えられない臆病さ。わかるよ。 もどかしいね。 あなたが羨ましい。 伝えたい人が在るのだから。 私が伝えたい人はもういない… 世界はままならないね。「ところで先生まだ登校しないね」 来ないよ。 私が埋めたから。
2020年11月25日 22:42
「魔法が使えたらいいのになぁ」 彼女はよく本気か冗談か区別がつかない。「それはどっち?」 区別がつかない時、僕はこう訊くように自分に課している。「本気」 今日は本気だったらしい。「だって相変わらず伝わらないしさ」 彼女は何を伝えたいのだろう。 僕は二択すらわからないのに。あとがき気持ちを伝えたい積極女子と鈍感男子の恋模様を、形にしたいと思って作りました。
2020年11月24日 22:11
パラパラと頁を捲る。 書き写した授業の記録は綺麗に整えられている。 彼女の几帳面な性格がよく伺える。 ふと奇異なメモが目に止まる。『KA好''き』 K.A.?俺じゃない。「坂口!やっぱ返して!」 彼女は頬を真っ赤にして引ったくった。 動揺する俺を周囲は冷やかす。「一樹~振られたな~」あとがきニヤニヤとしたい青春をイメージして作りました。青春はいいで
2020年11月21日 20:32
想像よりスッと闖入された。 抗うはずの腹直筋は盾の役目を果たさず、簡単に破れた。 針の痛みがまだ脳に刺さるかもしれない。 尖った痛みではなく、鈍い痛みがじわりと波紋のように広がる。「……ごめんね」 女が雫を垂らす。 いいから行けと、おとがいで示す。 掌に紅葉。 花冷えだが、まだ早えだろ。 あとがき 悪い男なりの優しさを表現したく、執筆してみました。 ラ
2020年11月20日 21:41
「来週なにがあるか知ってる?」 茜は水を向ける。「梅沢富美男の誕生日だろ」と陸は空を仰ぎながらとぼける。「なにそれ?そんなの知らないよ」 茜はもういいと頬を風船にしてさっさと歩き出す。「恥ずいから言わねぇよ」 呟く陸の鞄には初デート記念のキーホルダーがきらりと煌めく。あとがき困った時の茜と陸シリーズです。この二人は勝手に動いてくれるので、作者としては非常に楽です
2020年11月16日 20:59
掃除が終わったあとの気怠い放課後。 机に突っ伏し、窓を見遣るとオレンジのような赤々と焼けた太陽がある。 あの人が指で器用に転がす「あれ」によく似ている。 今日も体育館で懸命にドリブルしてるのかな。 あの人は「あれ」に恋してる。 わたしは「あれ」に恋するあの人に恋してる。あとがき綺麗な夕陽がボールに見えて浮かんだ作品です😊ちなみに私はバスケ経験は皆無です😅