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20240615 上達の道
ジェスチャー・ドローイングという、一〜二分で描く人物スケッチを日課でやっている。
苦労するのは、腕や足などの部分を描きながらも身体全体のバランスを意識しなければならないこと。
また、限られた時間なので線の本数を減らす必要があって、迷いつつ何本も線を引きながら形を探ることができない。素早く、形に沿った線を引く。これもなかなか難しい。
それでも一か月ほど続けたら、少しずつ上達してきた。
上達、というの
「絵と言葉の一研究」(寄藤文平)を読む
デザイナーとしての仕事を通して出てきた違和感や疑問に、深い思考によって向き合う本だ。冒頭は、「もともとは、デザイナーをやめようかと考えて、この本を作り始めた」とある。
力の抜けたイラストや例え話が多く登場するので親しみやすくなっているが、問題に対して頭を使ってとことん考え抜いて答えを出している点、かなりストイックな本だと思った。自分が納得するまで考え抜く姿勢に勇気付けられた。
著者は自分のやっ
20240316 装丁
先週行けなかった、水戸部功と名久井直子の装丁の展示に行った。じっくり時間を掛けて見た。
水戸部功装丁のスタニスワフ・レム全集がよかった。半透明のカバーに隠された鮮やかな表紙の写真は水戸部功本人が撮ったものらしい。インクを水にに溶かした写真と、石の表面の写真という身近なものだが、遠い異世界の雰囲気を感じさせるから不思議だ。
同じく水戸部功による装丁の「生ける物質」(米田翼)も印象に残った。黒のカ
20240311 君たち
宮﨑駿の「君たちはどう生きるか」がアカデミー賞を取った。あの作品は何がよかったのだろう。映画館で見た直後は戸惑った。期待していたものとは明らかに違ったからだ。かといって、つまらないとも思わなかった。何だこれは、という戸惑いだった。象徴的なイメージが散りばめられた夢の中のような風景。ジブリ作品のイメージに反して過剰とも思えるグロテスクさ、不気味さ。すっきりと解釈できないストーリー。消化不良の感覚と、
もっとみる20240310 竹尾
竹尾見本帖本店で開催中の水戸部功と名久井直子の展示に行ったが、土日祝日が休みだったことを知らず、やっていなかった。疲れ果てた気持ちで、神保町の東京堂書店内にあるカフェを目指したものの、入れない。看板が立っていてこのカフェはなくなるらしいことを知る。時々利用していたので残念だ。すぐ近くのサンマルクカフェに入り読書をするうちに元気になったのでもう一つの目的地であった網代幸介の絵の展示へ向かう。移動の電
もっとみる「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」(東畑開人) を読む
東畑開人の本は「居るのはつらいよ」と「心はどこへ消えた?」の二冊を読んでいた。
この本はそれら二作とは趣が異なり、物語形式で書かれている。読者が著者と共に「夜の航海」を進めるというストーリー。それは悩みと向き合って自分なりの生き方を見出していくための航海だ。さらに、臨床心理士としてのクライエントとのやり取りの様子が詳しく書かれていて、その具体的なエピソードと航海のストーリーが関わり合いながら話が進
「デミアン」(ヘッセ) を読む
読んだのは恐らく四回目。
一回目は高校生の時、二回目は大学生の頃だったと思う。三回目は記録が残っていて二年前だった。今の仕事に転職してから半年後くらいか。
「デミアン」の物語の前半部は、シンクレールがデミアンと出会い、暖かな家族に囲まれた明るい世界から善と悪の混在するもう一つの世界へと導かれる話だ。
子供から大人になる過程の、イニシエーションの経験を描いているように思える。
デミアンはシンクレー