ハワイ短歌会

ハワイ短歌会のNoteへようこそ!ハワイ短歌会は2011年に発足、対面およびオンライン…

ハワイ短歌会

ハワイ短歌会のNoteへようこそ!ハワイ短歌会は2011年に発足、対面およびオンラインにて、月に一度歌会を開催。機関紙「ふゆみどり」を発行。 連絡先:hawaiitanka@gmail.com  2021年までのブログは: tankaofhawaii.blog.fc2.com

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2021年までの活動の記録

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アロハ通信#22           アボカドの木を伐る

先日、外で植木の手入れをしていたら、トラックが止まり、「植木の仕事をしているが、何か仕事はあるか。」と聞かれ「別にないよ。」と言ったら車は通り過ぎたのですが、し…

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2024年4月の詠草 題「風」  

小雨止み雨の匂いを包みこみ星星軋む夜の風鈴   真夜に降る激しき雨は何時しかに潮騒に変わりきこえくるなり   原 葉 暴れては鉢なぎ倒した風は今日知らん顔してそ…

2024年3月の歌 題「食器」 

亡き父の選んでくれし飯茶碗のぬくもりを手に今日を始める つやつやと輝く庭の片隅に猫のタイガー静かに眠る 筒井みさ子 魚好きの夫を思いて夕餉には食器あれこれ並ぶ食…

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2024年2月の歌 題:歌

シアトルの美術館で浮世絵展を見て 歌麿の描く女の髪の艶 時を越えても色香は消えず 浪しぶき小舟呑み込む音のする櫂こぐ漁師と白き富士山 関本なつ 聖堂のステンドグ…

ハワイ短歌会
1か月前
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アロハ通信 #21          ミニチュア生花展示会

去る3月8日、9日の2日間にわたって、インターナショナルいけばなチャプター56主催の一風変わった生花展示会『生花の輝き』がホノルルのハワイ日本文化センター5階の…

ハワイ短歌会
1か月前
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アロハ通信#20 動物園を行く

2月11日、ハワイ短歌会の有志四名は、ホノルル動物園に吟行に出かけました。動物園はワイキキの中心部から15分ほどの場所に、上野動物園とほぼ同じ大きさの300エー…

ハワイ短歌会
1か月前
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2024年1月の歌

声に出し慰められたい甘えかも傷ついたようにわざと黙(もだ)しぬ 迷い道何をすべきか問う夜に星が答えを静かに囁く    小島夢子 子供の頃の思い出 新しい下駄音高く初…

ハワイ短歌会
2か月前
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アロハ通信#18 ハワイに移民した大伯父のこと (六甲もこ)

「いざ行かむ吾等の家は五大州誠一つの金武世界石」 これは、沖縄移民の父と言われる當山久三氏が1903年、第2回ハワイ移民の渡航の際に読んだもの。フロンティア・スピリ…

ハワイ短歌会
3か月前
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2023年12月の歌        

紅白の馴染みの薄い歌手リストに昭和は更に遥かになりぬ 正月を異国に迎えて半世紀お雑煮の味を二世に引き継ぐ 岡まなみ 目の検査無事に済ませてあと二年運転できる免許を…

ハワイ短歌会
4か月前
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2023年11月の歌 題「大」

大福のほっぺにバナナや蒸しパンを小さな口から詰め込む一歳     一日中ピアノの響くキッチンで我が物顔に歩くゴキブリ 大室やよい また一人励ましくれる人逝きぬ 庇…

ハワイ短歌会
4か月前
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2023年8月の選歌

裏庭にマンゴーの実の熟れゆくをマイナバードと競いて待ちぬ     筒井みさ子 途切れずに道を渡れる人々を待ちいる車に蝶とまり来る       鵜川登旨 公園の暑さ…

ハワイ短歌会
5か月前
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アロハ通信#17  エレファントイヤー

エレファントイヤーはアロカシアという種に属する植物です。「象の耳」と名がついただけあって、里芋の葉によく似たハート形の葉をしています。巨大な里芋という感じですが…

ハワイ短歌会
5か月前

2023年9月の歌 題詠 線

電線に掛かりて朝の月淡し「昨夜(ゆうべ)はごめん」と 夫にメールす   添加物のたっぷり入ったドレッシングにまみれてサラダは 妖しく光る   鵜川登旨 巨大なる線香花…

ハワイ短歌会
5か月前
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2023年9月の選歌

黒焦げのバニヤンの木の声がする泣いてたまるか再び芽吹くさ 関本なつ 「気をつけて」車道の我に言いながら目の前の棒にぶつかる夫    大室やよい 電線に掛かりて朝の…

ハワイ短歌会
5か月前

2023年10月の歌 テーマ(空港、駅)

ハワイへと嫁ぎゆく吾(あ)を見送りて母は声上げ泣きぬと聞きたり   高台の病院に並ぶ窓灯りそれぞれの窓にそれぞれの訳          鵜川登旨 「孫の手」の用途を…

ハワイ短歌会
5か月前
アロハ通信#22           アボカドの木を伐る

アロハ通信#22           アボカドの木を伐る

先日、外で植木の手入れをしていたら、トラックが止まり、「植木の仕事をしているが、何か仕事はあるか。」と聞かれ「別にないよ。」と言ったら車は通り過ぎたのですが、しばらくしてまた戻ってきました。家の前に車を止めて「木の手入れは出来ているのか。」と聞いてくるので、裏庭の斜めに伸びて、隣の家に傾いている、アボカドの大木が前々から気になっていたので、見積もりを頼むことに。

安ければ頼もうかと思い当の木を見

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2024年4月の詠草 題「風」  

2024年4月の詠草 題「風」  

小雨止み雨の匂いを包みこみ星星軋む夜の風鈴  
真夜に降る激しき雨は何時しかに潮騒に変わりきこえくるなり  
原 葉

暴れては鉢なぎ倒した風は今日知らん顔してそよそよと吹く
フリースのジャケット着ても短パンで素足にサンダルハワイのロコは
藤代敏江

風に乗り見えない敵がやってきた目薬マスクで凌ぐ三月      
陽を浴びて草取りすれば手の中でひんやり冷たいハコベの若葉     
森田郁代

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2024年3月の歌 題「食器」 

2024年3月の歌 題「食器」 

亡き父の選んでくれし飯茶碗のぬくもりを手に今日を始める
つやつやと輝く庭の片隅に猫のタイガー静かに眠る
筒井みさ子

魚好きの夫を思いて夕餉には食器あれこれ並ぶ食卓
中年のブーゲンビリアは年毎に精彩欠きて吾と競いぬ
原 葉

うるし塗りふうのチープなプラ皿にだいふく乗せて茶の友とする
倒壊の家屋に降り積む真っ白な雪に罪などないのだけれど
藤代敏江

客用の器は棚の奥の奥使われる時を待ち

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2024年2月の歌 題:歌

2024年2月の歌 題:歌

シアトルの美術館で浮世絵展を見て
歌麿の描く女の髪の艶 時を越えても色香は消えず
浪しぶき小舟呑み込む音のする櫂こぐ漁師と白き富士山
関本なつ

聖堂のステンドグラスに入り日映え夕べの祈りの歌始まりぬ 
聖歌隊のカウンターテナーの声透き通り旅路の胸の奥深く沁む
筒井みさ子
 
香港の初船旅の遠き日よひときわ明るき「味の素」ネオン
 注:返還前の香港
中国の影すら見えぬ香港にイギリス領の街

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アロハ通信 #21          ミニチュア生花展示会

アロハ通信 #21          ミニチュア生花展示会

去る3月8日、9日の2日間にわたって、インターナショナルいけばなチャプター56主催の一風変わった生花展示会『生花の輝き』がホノルルのハワイ日本文化センター5階のオハナルームにて開催されました。

一風変わった生花展というのは、企画の試みが小さな入れ物やミニチュアの器を使って「生ける」という趣向によるものです。キッチンの戸棚の奥にしまい忘れていて、使っていなかったティーポットやコーヒーカップ、お正月

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アロハ通信#20 動物園を行く

アロハ通信#20 動物園を行く

2月11日、ハワイ短歌会の有志四名は、ホノルル動物園に吟行に出かけました。動物園はワイキキの中心部から15分ほどの場所に、上野動物園とほぼ同じ大きさの300エーカーあまりの広さの土地を占め、約220種類の動物や鳥たちが緑ゆたかな園内に飼育されています。

参加者の誰もが動物園は久しぶりで、リュックに帽子といういでたちに身を固め、期待に胸ふくらませて入口に集まりました。園内に入ると、美しいピンクのフ

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2024年1月の歌

2024年1月の歌

声に出し慰められたい甘えかも傷ついたようにわざと黙(もだ)しぬ
迷い道何をすべきか問う夜に星が答えを静かに囁く   
小島夢子

子供の頃の思い出
新しい下駄音高く初詣吐く息白く鳥居をくぐる
寒風にかたい蕾はゆらゆらとしばし夢見つ春を待ちいる
関本なつ

夢のようあり得ぬことが起こる時うれしい自分しあわせずくし
しあわせは無限にくるよどこまでも想像越えてすべてを越えて
田中えり

クリスマス

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アロハ通信#18 ハワイに移民した大伯父のこと (六甲もこ)

アロハ通信#18 ハワイに移民した大伯父のこと (六甲もこ)

「いざ行かむ吾等の家は五大州誠一つの金武世界石」

これは、沖縄移民の父と言われる當山久三氏が1903年、第2回ハワイ移民の渡航の際に読んだもの。フロンティア・スピリット溢れる、なんとも力強い歌です。

私の大伯父2人も、沖縄からではありませんが、福岡の寒村から、この歌のように湧き立つ想いを胸に布哇(ハワイ)へと旅立ちました。もう100年程も前のことになります。父を亡くし、子供を8人も抱えた母を助

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2023年12月の歌        

2023年12月の歌        

紅白の馴染みの薄い歌手リストに昭和は更に遥かになりぬ
正月を異国に迎えて半世紀お雑煮の味を二世に引き継ぐ
岡まなみ

目の検査無事に済ませてあと二年運転できる免許をもらう
二年後に九十一歳になる我の運転免許じっと見つめる
小島夢子

元日の朝がなんだとキジ猫はシッポふりふり車道を渡る
大空を縦に横にと切りきざむ音もおどろな冬の雷
関本なつ

報知紙の分厚いページの特集に胸弾ませし春を忘れじ
パス

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2023年11月の歌 題「大」

2023年11月の歌 題「大」

大福のほっぺにバナナや蒸しパンを小さな口から詰め込む一歳    
一日中ピアノの響くキッチンで我が物顔に歩くゴキブリ
大室やよい

また一人励ましくれる人逝きぬ 庇護の大きさを知る事務所終い
自転車の前後と背中に子をのせてママはこぐこぐ仕事に急ぐ
小野貴子

大いなる自然の力よ大地揺れ宇宙の謎に思いを馳せる  
大好きなきみの笑顔を見るために寄り道をしてチョコレートを買う 
小島夢子

大い

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2023年8月の選歌

2023年8月の選歌

裏庭にマンゴーの実の熟れゆくをマイナバードと競いて待ちぬ    
筒井みさ子

途切れずに道を渡れる人々を待ちいる車に蝶とまり来る      
鵜川登旨

公園の暑さに倦みた木々の中でクマゼミだけが夏を謳歌す  
森田郁代

朝一番食べ頃きゅうりを摘み取ると「おはようさん」と顔出す青虫 
伊藤美枝子

縮みし母童女のようなその笑みを午後の陽光(ひかり)がゆらりと照らす
六甲もこ

間違って顔につけ

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アロハ通信#17  エレファントイヤー

アロハ通信#17  エレファントイヤー

エレファントイヤーはアロカシアという種に属する植物です。「象の耳」と名がついただけあって、里芋の葉によく似たハート形の葉をしています。巨大な里芋という感じですが、毒性があるので食べられません。従ってクワズイモ、という日本名がついています。ハワイで見られるエレファントイヤーの葉は、里芋の葉の五倍はあるような大きさで、雨が降れば傘になりそうです。人の背丈くらいの高さになり、水芭蕉に似た花を地面近くに咲

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2023年9月の歌 題詠 線

2023年9月の歌 題詠 線

電線に掛かりて朝の月淡し「昨夜(ゆうべ)はごめん」と
夫にメールす  
添加物のたっぷり入ったドレッシングにまみれてサラダは
妖しく光る  
鵜川登旨

巨大なる線香花火の火の玉が水平線にぶよっと沈む
「気をつけて」車道の我に言いながら目の前の棒にぶつかる夫
大室やよい

手を触れればブルーベリーはホロホロと落ちてバケツの
重みを増し行く
摘み取ったベリーを茶碗に山と盛り紫の粒をパクパク頬張る

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2023年9月の選歌

2023年9月の選歌

黒焦げのバニヤンの木の声がする泣いてたまるか再び芽吹くさ
関本なつ

「気をつけて」車道の我に言いながら目の前の棒にぶつかる夫   
大室やよい

電線に掛かりて朝の月淡し「昨夜(ゆうべ)はごめん」と夫にメールす  
鵜川登旨

手を触れればブルーベリーのホロホロと落ちてバケツの重み増し行く   
岡まなみ

秋風を待ちきれぬのか虫の声熱気の冷めぬ夜の庭より       
森田郁代

蔓さきに目の

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2023年10月の歌 テーマ(空港、駅)

2023年10月の歌 テーマ(空港、駅)

ハワイへと嫁ぎゆく吾(あ)を見送りて母は声上げ泣きぬと聞きたり  
高台の病院に並ぶ窓灯りそれぞれの窓にそれぞれの訳         
鵜川登旨

「孫の手」の用途を説明する夫に笑いをこらえる保安検査員   
ケンカする訳は色々あるけれど口がなければ「喧嘩」にならない     
大室やよい

乗り換えのゲートを見つけて腰下ろし案じて待ちいる娘にラインす    にわとりは網戸の外に猫は内に向かい合い

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