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毎月の短歌

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ハワイ短歌会の会員が詠む毎月二首の歌を月毎にリストアップします。
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記事一覧

2024年7月の歌  題詠 「書」

新しき言葉探せぬ我が辞書に付箋貼り足す「神=(は)最高」と    長谷寺の紫陽花愛でる人…

ハワイ短歌会
2週間前
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2024年6月の歌   テーマ「メニュー」

病院の検査メニューを果し終へ診断待つ身はまな板の鯉     爽やかな五月の風に若葉映ゆ寒…

ハワイ短歌会
1か月前
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2024年5月の歌 テーマ「仲間」

公園の藤の香ほのかに漂いて体操仲間のかけ声弾む        気まぐれな五月の風に鯉のぼ…

ハワイ短歌会
2か月前
3

2024年4月の歌 題「風」  

小雨止み雨の匂いを包みこみ星星軋む夜の風鈴   真夜に降る激しき雨は何時しかに潮騒に変わ…

ハワイ短歌会
3か月前

2024年3月の歌 題「食器」 

亡き父の選んでくれし飯茶碗のぬくもりを手に今日を始める つやつやと輝く庭の片隅に猫のタイ…

ハワイ短歌会
3か月前
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2024年1月の歌

声に出し慰められたい甘えかも傷ついたようにわざと黙(もだ)しぬ 迷い道何をすべきか問う夜に…

ハワイ短歌会
6か月前
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2023年12月の歌        

紅白の馴染みの薄い歌手リストに昭和は更に遥かになりぬ 正月を異国に迎えて半世紀お雑煮の味を二世に引き継ぐ 岡まなみ 目の検査無事に済ませてあと二年運転できる免許をもらう 二年後に九十一歳になる我の運転免許じっと見つめる 小島夢子 元日の朝がなんだとキジ猫はシッポふりふり車道を渡る 大空を縦に横にと切りきざむ音もおどろな冬の雷 関本なつ 報知紙の分厚いページの特集に胸弾ませし春を忘れじ パスワードを鍵束のごと携えてウェブセールに参じる金曜 筒井みさ子 幾年もブーゲン

2023年11月の歌 題「大」

大福のほっぺにバナナや蒸しパンを小さな口から詰め込む一歳     一日中ピアノの響くキッチ…

ハワイ短歌会
7か月前
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2023年9月の歌 題詠 線

電線に掛かりて朝の月淡し「昨夜(ゆうべ)はごめん」と 夫にメールす   添加物のたっぷり入っ…

ハワイ短歌会
9か月前
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2023年10月の歌 テーマ(空港、駅)

ハワイへと嫁ぎゆく吾(あ)を見送りて母は声上げ泣きぬと聞きたり   高台の病院に並ぶ窓灯り…

ハワイ短歌会
9か月前

2023年 8月の歌  題「失敗談」

朝一番食べ頃きゅうりを摘み取ると「おはようさん」と顔出す青虫  スーパーでつくね芋見つけ…

ハワイ短歌会
9か月前
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2023年7月の歌  題「顔」

午後六時仕事の顔を緩めつつ夕陽に包まれ家路を急ぐ  真っ白な皿が際立つカラフルなサラダは…

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2023年6月の歌  テーマ「地名」  

木曽路ゆくあなたの背中追いかけつつ鶯の声に心奪わる iPadのアプリかかげて星空に見つけ出…

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2023年5月の歌  題「無」

義母逝きて無人となりし屋敷より捨てし品々思い出残し    満開の桜の散りし街路樹は主役代わりてハナミズキ咲く    山下ふみ子 焼き立てのクッキー見るや「コーヒー」と無口の夫(つま)は注文しくる香りよき風に吹かれて乱れ髪太陽に梳けば光もれ来る 楽満眞美 今月も何事も無く日本(さと)の母とハワイの義母よ健やかであれ  十年間通勤仲間のプリウスと鼻歌ため息いつも一緒に  六甲もこ 理由(わけ)も無く猫に会うたびに喜びて姫の尻尾は忙しくなる  荷を搬び匂い残れる娘(こ)