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小雨止み雨の匂いを包みこみ星星軋む夜の風鈴 真夜に降る激しき雨は何時しかに潮騒に変わ…
亡き父の選んでくれし飯茶碗のぬくもりを手に今日を始める つやつやと輝く庭の片隅に猫のタイ…
声に出し慰められたい甘えかも傷ついたようにわざと黙(もだ)しぬ 迷い道何をすべきか問う夜に…
紅白の馴染みの薄い歌手リストに昭和は更に遥かになりぬ 正月を異国に迎えて半世紀お雑煮の味…
大福のほっぺにバナナや蒸しパンを小さな口から詰め込む一歳 一日中ピアノの響くキッチ…
電線に掛かりて朝の月淡し「昨夜(ゆうべ)はごめん」と 夫にメールす 添加物のたっぷり入っ…
ハワイへと嫁ぎゆく吾(あ)を見送りて母は声上げ泣きぬと聞きたり 高台の病院に並ぶ窓灯りそれぞれの窓にそれぞれの訳 鵜川登旨 「孫の手」の用途を説明する夫に笑いをこらえる保安検査員 ケンカする訳は色々あるけれど口がなければ「喧嘩」にならない 大室やよい 乗り換えのゲートを見つけて腰下ろし案じて待ちいる娘にラインす にわとりは網戸の外に猫は内に向かい合い眠るけだるい三時 岡まなみ 丸三つ満月街灯ホームの灯車窓に並ぶ
朝一番食べ頃きゅうりを摘み取ると「おはようさん」と顔出す青虫 スーパーでつくね芋見つけ…
午後六時仕事の顔を緩めつつ夕陽に包まれ家路を急ぐ 真っ白な皿が際立つカラフルなサラダは…
木曽路ゆくあなたの背中追いかけつつ鶯の声に心奪わる iPadのアプリかかげて星空に見つけ出…
義母逝きて無人となりし屋敷より捨てし品々思い出残し 満開の桜の散りし街路樹は主役代…
ひととせはこれ程長きものなのか亡くせし人を想ふがゆえか 長谷寺の舞台に広が…
年上の友の語りたる来し方に引き込まれたり波瀾に満ちて 温泉に肩まで沈みて見上げ…
雪つもる枝先に見る小さき芽寒さに耐えて春を待ちいる 突然に雪が頬うつ空を見るもろ手を広げしかと受け止め 関本なつ 雪の日に初めてきづくため息の冬の寒さは暖かな 愛こそは誰もが持てる宝物すべての光輝く笑顔 田中えり 冬の夜は母の育てし「さが美人」こたつを囲み競いて食みぬ ラスベガスにて 遠山の峰に白雪積もりいて砂漠の街にも冬は来たれり 筒井みさ子 国葬の追悼の鐘高らかにエリザベス女王偲ぶ人々 生涯を国と国民に七十年捧げし「母」に別れを告げむ