お題

#ホラー小説が好き

ホラー小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

人気の記事一覧

“噂”の怖さや“不思議”体験まで、辻村深月の原点を垣間見せる13篇『きのうの影踏み』

はじまりは映画だった 辻村深月(つじむら みづき)さんは、メフィスト賞を受賞したデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』や、直木三十五賞に輝いた『鍵のない夢を見る』などが代表作とされます。 …みたいなことを「ウィキペディア」で調べました。 初めてその名に注目したのは同名小説を実写化した映画『ハケンアニメ!』です。 予告映像を偶然見たら、吉岡里帆と中村倫也が出ているではないですか。 「刺され、誰かの胸に」はヒロイン役の吉岡里帆が劇中で話すセリフの一つ。 私はその後しばらく

【掌編小説】生贄

 こののどかな町の、のどかな学校の、のどかな日常は、月曜の朝、突然、そしていとも簡単に、パニックと恐怖に取って代わった。  小中一貫校の建物の一階、その端っこの、小学校一年三組の教室の、窓のところに吊るされていたてるてる坊主に混じって、首吊りにされた虎柄の猫が発見されたのだった。  第一発見者は、クラスで一番早く登校した真面目な女の子。泣きわめきながら校門の警備員に駆け寄り、見たものを伝えた。警備員は教室を確認した後、二階の職員室へ駆け上がった。すぐに先生たちが大急ぎで下りて

【短編小説(日常ホラー)】これ、返すね。 2500字

[HL:湯浅は親友だと思ってたけど、ちょっと何を言ってるかわからない……。]  大学の卒業式が終わって、卒業旅行も終わって、引っ越す人はもう引っ越しちゃって、今年もまた3月中に桜も散っちゃいそうな春の陽気にあふれている。喫茶店の窓ガラス越しに少しだけ緑がまじり始めた桜並木を眺めながら、そんなことを思った。  カランと音がして喫茶店の入口を振り返れば、湯浅が軽く手を振っていた。湯浅は大学に入って初めての、それから一番の友達。最初の英語で同じクラスで、そこからあっという間に仲良

短編: 闇の中から浮かび上がる⑥

前話はこちら(↓)  武内のヤツは、この前、私に意見してから、何も言っては来なかった。当然だろう。いくら運営とはいえ、規約になんら違反していないにも関わらず、私を諭そうとしたのだから。賢者である私の言うことに耳を傾けず、バカなヤツらの声を拾おうとするからこうなるのだ。  おそらく、人気インフルエンサーである私に対して異論を吹っ掛けたことで、自壊したか袋叩きにでも遭ったのだろう。  ザマぁ見やがれ!www  You deserve it !! www  To hell w

白麗

 雪女、という妖怪をご存じだろうか。  小泉八雲で有名かもしれないが、雪山に現れて男を助けるとも殺すとも言われる、妖艶な美貌をもった女の妖怪。  僕の育った村では、雪女のことを白麗と呼んだ。  白麗は百年か二百年に一度(口伝でしか伝わっていないので、語る年寄りの記憶によってこの辺はまちまちだ)現れるとされているが、別に山に巣くっているわけではなかった。  白麗が現れるのは、村の中だった。  百年(分かりやすく百年にしておこう)に一度村に生まれてくる女の赤子の誰かが、白麗になる

【ブックガイド】令和に生まれた「家」ホラー小説15選

曰くつきの物件に、呪われたお屋敷――。 そんな「家」にまつわるホラー小説の中から、令和(2019年5月以降)に刊行された15作品をご紹介します。 ほのかに香る恐怖から畳み掛けるような恐怖まで、読み心地はさまざま。 あなたはどの「家」に足を踏み入れますか? 令和に生まれた「家」ホラー小説15選尾八原ジュージ『わたしと一緒にくらしましょう』(KADOKAWA単行本) この家からは、だれも出られない 織部泰助『死に髪の棲む家』(角川ホラー文庫) 死体にはひと房の髪を噛ませ

祭囃子

 雨の音にまじって祭囃子の音が聞こえる。  布団から起き上がり、窓を開けるとその先には黒々とした闇が広がるばかりだった。雨の軌跡すら飲み込む闇の中から、祭囃子は聞こえる。  腕時計を見ると、午前一時を示していた。  松や竹を描いた欄間の端っこに非常用の懐中電灯が括りつけられており、私はそれを外すと外の闇に向けてみた。頼りない、丸い光が暗闇の中に泡沫の月のように浮かび上がる。  光をどこへかざしても、鬱蒼と茂る草木を照らし出すばかりだった。ときに不意打ちのように野鳥の目に反射し

【試し読み】貴志祐介『さかさ星』冒頭特別公開!

貴志祐介さんが手掛ける待望の長編ホラー『さかさ星』(KADOKAWA単行本)が、2024年10月2日(水)ついに発売! 本記事では刊行を記念して、63ページまで大ボリューム特別公開します! 物語の冒頭をどうぞお楽しみください。 あらすじ 『さかさ星』試し読み ACT1 SCENE1  秋雨は、早朝からずっと降り続いていた。  中村亮太は、ワゴン車の窓越しに、濡ぬれそぼつ町並みを眺めた。小糠雨かと思っていると、いきなり勢いを増して驟雨へと変わる。風も吹いたり止やんだ

ボーカルトラック

 人生で初めて、一人カラオケなるものに挑戦してみた。  大勢で来たことはある。この辺は夜の娯楽も少ないし、飲み会の後行くところがなくてカラオケに雪崩れ込むことも多い。だからカラオケは歌う場所、というよりも、みんなで騒ぐ場所、といった認識が強い。  一人で、歌うために来る、なんてことはこれまでの私なら考えられないことだ。私がカラオケに一人で来ることを決意するまでは、紆余曲折が、まあ、そう多くはないがある。  私の職場では定期的に仕事や家庭のストレスが大きな負荷となっていないか確

夜市 (角川ホラー文庫) 恒川 光太郎 (著) / 暑い夜にホラーを

Kindle Unlimitedで、ササっと読めそうなホラー小説を見つけてクリックすると、有料版の時に購入済みだった。 『夜市』『風の古道』の2編が収められている。 感想  『夜市』   読み始めてすぐに「会話文や所作の表し方が大雑把」と感じ「だから読まなかったのかな?」と思いながら読み進むと夜市に入ってから、この物語の印象がコロッと変わる。 「作者はここから先が早く書きたくて、冒頭の現実世界を端折って書いたのでは?」と思うくらい夜市の表現が生き生きとしている。 物語は夜

ゾンビと精神医学 ~有名医学論文に掲載された3例のゾンビの正体とは!?~

皆様、こんにちは!鹿冶梟介(かやほうすけ)です☺️ さぁ、今年もやってきました「ハロウィン特集」です🎃 一昨年は「狼男」、昨年は「吸血鬼」について精神医学的な知見をご紹介いたしましたが、今年のテーマは...パニック映画の定番「ゾンビ」です! 「ゾンビと精神医学...? 流石にそれは、ないっしょ〜?」 と今思ったそこのあなた、その考えはバニラアイスに蜂蜜をかけるぐらい甘い🫵(...でも美味ですよね😋) 精神医学の前では、オカルト全般が「考察対象」となりうるのです!!

火焔の少女は生霊を返す。

理不尽な死 魂は燃え上がり 焼け落ちる記憶。 そして、真っ黒な感情だけが残る。 とある、家の庭で起きた悲劇。 片田舎の、田んぼのド真ん中の民家で 一人の女性が、ガソリンを撒かれて、火を付けられ焼死体となって発見された。 それなりの、炎と煙が起き。深夜であっても目立つはずだった。 片田舎で、おおきな悲鳴でも起きれば異変に気付いた人がいたかもしれないが。 隣家まで1キロもある辺境であったため、発見されず。 犠牲者は、精神治療のため独身女性M美が、ここへ移り住んでいた。

かげみぼう(第1話)

■あらすじ大学時代の後輩、砂川楓に招かれて栃木県日光市にやってきた水瀬。彼女は「白い街路」と呼ばれる土地に何やら恐怖感をもっているようだが、相談にのっていると、行く先行く先で水瀬は「広小路」という人物に間違われ、広小路を追うも捕まえられず、泊まった旅館で出会った一ノ瀬という男から、それは「かげみぼう」と呼ばれる怪異だと教えられる。 かげみぼうの謎は残る中、水瀬は「白い街路」の調査に乗り出す。その最中、夜間に砂川が白い街路に向かうことを不審に思い、後をつけると、二十五年前に姿を

54字の物語 『夕焼けは舐めちゃいけないZe』 #シロクマ文芸部

 父が全ての部屋の窓にミラーシートを貼ってくれていて。先日、障子も貼り直したものの糊が悪かったのか、四隅からゆっくり剥がれていって……(今は再度貼り直し済み👌)  今日も車のドアを閉める音でばーちゃんが来たのに気づいたほど無駄に耳がいい私は、先日も「ん? 車の停まった音がしたぞ?」と障子の隙間から覗いていたら向こうもこちらを覗いていて、ビビりました😂笑😂外側からはたぶん明るい室内にいる誰かとわかったんだろうけれど、内側からだと暗闇から誰かもわからないまま話しかけられて、ビク

ぱらぱらめくる #夢怪談

 目が覚めたとき、部屋は真っ暗だった。  夕方頃、異様な眠気に襲われて、そのままごろんと横になったら、いつの間にやら眠ってしまった。  出窓から、街灯の明かりだけが差し込んでいる。  カーテンを閉め、電気をつけようと思うのだが、それも面倒くさい。顔にずっとエアコンの風が当たっていたせいか、喉がからからだった。    とりあえず、ビールが飲みたい。  ゆっくり起き上がり、出窓から漏れる明かりを頼りにキッチンに向かう。暗い中、手探りで冷蔵庫を開ける。庫内の明かりにほっとしなが

私が小説を書きだした理由

おはようございます。 謎の物体キヲと申します。 今回は「私が小説を書きだした理由」について、お話しさせて貰います。 私はごく普通の一般人です。 好きな音楽はMrs. GREEN APPLE、宇多田ヒカル、Ado、レミオロメン、アニソンなどです。 影響を受けた小説は西尾維新さんの「戯言シリーズ」、中村恵里加さんの「ダブルブリッド」、漫画は「東京アンダーグラウンド」、「BLEACH」、「HUNTER×HUNTER」、「フルーツバスケット」です。 普通のオタクという感じですが、中学

【短編ホラー】ショッピングモール

ハァッハァッハッ 息が切れる。もう何分走っているのだろう。後ろを振り向くと、血走った目の男が追いかけてくる。 怖い、逃げたい。なんで私がこんな目に? 泣きそうになって唇を噛み締める。こんなことありえない。絶対に現実じゃない、悪い夢に決まってる。 「覚めろ…覚めろ…覚めろ…」 祈るように呟く。そうだ、この恐ろしい出来事が起こる前に、何かきっかけがあったはずなんだ。 私は回らない頭で必死に今日の出来事を思い出した。 数時間前、私は隣町にあるショッピングモールに訪れた。 ここは

犬好きがホラー小説を書こうと思った経緯

無職戌井です。 犬と生きて犬に生かされて、犬をかまう以外にやることは特に無い。そんな人です。 犬が寝ている間の時間を使ってなにかやろうと思いました。 なにがいいかな、金がかからなくて、一人で出来て、楽しいこと。 そういえば子どもの頃、暇があるとホラー漫画ばっかり読んでました。 漫画を作るのは絵を描くのが難しい。小説なら漢字と平仮名を書けるからいける! ということで小説を書きます。 ホラーが好きだからホラー小説です。 目標があると続けやすいしちょうど応募期間だし創作大

蟹壺(第3話)

■これまでの話 僕は和室の扉に手をかけ、開けるか、と悩んだ。開けるべきではない、という警報を、僕の好奇心は上回ってしまっていた。蟹の行方が、どうしても気になった。蟹はたまたま和室に入り込んだのではない。何らかの意図をもって和室に入って行った。とすれば、いずみの秘密はこの和室の中にある。  それを確かめたい。確かめずにはおれない。いずみも、僕に和室の中を見せるために、わざと外に出たのではないだろうか。いや、それは都合よく解釈しすぎか。ああ、見たい。この中を。見るためなら、この身

10月になりました

ここ数日、ようやく涼しさも感じるようになりました。 しかし「十年に一度の異常気象」といわれている暑さは、まだまだ続きそうです。 note創作大賞2024、皆さまお疲れ様でした。 中間結果が出ましたが、だめでしたね。残念。 ホラー部門が初めて設定され、応募者数も過去最高だったようです。 私の周りの知り合いも何人か応募していました。 でも、公募系って基本的にコツコツと書いていくので、こういう投稿サイト主催の賞は、参加者同士で盛り上げられるのでお祭りみたいでいいですね。 初めて

レア

この際、本名なんてどうでもいい。 奴は「レア」と呼ばれていた。 九州の片田舎、まだ自分の家の半径数キロが世界の全てだった中学一年の頃。 俺と同じ教室に「レア」は確かに存在していた。 あだ名の由来は、奴が滅多に登校してこなかったから。 週に一度来れば良い方で、ひどいときには月イチの登校もザラだった。 当然成績も最下位で、いつも一桁の点数が書かれた用紙を持ってヘラヘラしていた。 けれど担任の女は、そんなレアを咎めたりしなかった。 当時はそれを不思議に思ってたが、今考えれば家庭

紫陽花の花嫁

 もうすぐ梅雨も明けるというのに、ぐずぐずしたミルク色の雲が空を覆っている。  今にも降り出しそうだ。  ​──こんな空を、いつか、どこかで見たな。    清花はふと思った。  胸の中がどろりと濁る。その感情は、記憶は、開けてはいけない箱に入っているような気がして……。     彼女は、違うことを考えることにした。  清花は、居間の中に目線を戻して炬燵に入った。テレビでは今日の感染者数が報道されている。昨日よりも少し、増えた。 「話しておかなくちゃいけないことがある

読むのは、ファッションとミステリー

こんにちは、ぱんだごろごろです。 大好きnoterさんのすず太郎さんからすすめて頂いた、内藤了先生の『猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』シリーズ全11冊を、読み切りました。 1冊目の『ON』を読んだのが4月17日で、間に並行して色々な本を読みながら、11冊目の『BURN(下)』を読了したのが5月9日。 二日に一冊の割合いで読んでいました。 いやぁ、もう、面白かったですね。 ジャンルはサスペンスホラーのようですが、そんなに怖いわけではありません。 少々グロいのですが、だんだ

幽世電車

 智臣は走っていた。  真夏のアスファルトの上を、息を切らし、頬を伝って流れる汗を拭いながら、線路沿いの道をただひたすら。  ぎらつく太陽の光が追い立てるように智臣の背を焼く。その熱が背中を中心に全身を走り、体温を、それどころか血の温度さえぐつぐつと煮立つように高めている気がした。  制服のスラックスとワイシャツは走るには窮屈だ。智臣は第二ボタンまでシャツのボタンを外し、息を吐いた。  高校の数学の授業を抜け出してきて二十分、走り通しだった。中学時代は陸上部だったとはいえ、高

小学生におすすめのホラー小説5選

今回は小学生向けにおすすめのホラー小説を5冊紹介していきます。 小学生がホラー小説を読むメリット小学生がホラー小説を読むことには、さまざまなメリットがあります。ホラーのジャンルは単に怖いだけでなく、感情の幅を広げ、思考力や創造力を育てる要素が含まれています。以下に、具体的なメリットを挙げます。 ホラー小説は感情の成長や思考力、想像力、問題解決能力など、さまざまな面で子どもにメリットをもたらします。適切な年齢と内容のホラーを選ぶことで、楽しみながら学びを得られる有意義な読書

【作品情報まとめ】最恐の書き下ろしアンソロジー『堕ちる』『潰える』『慄く』【角川ホラー文庫30周年記念】

角川ホラー文庫30周年を記念し、超豪華作家が大集結! 最恐の書き下ろしアンソロジー『堕ちる』『潰える』『慄く』の関連情報をまとめてご紹介します。 ■ はじめに史上最も豪華な作家陣に、「最高の恐怖」をテーマに執筆を依頼。 「あらゆる恐さのニュージャンル」として生まれた角川ホラー文庫、渾身の書き下ろしアンソロジー3冊が発売決定! 今考えうる【最恐】が集いました。 『堕ちる』と『潰える』は8月23日に同時刊行、『慄く』は12月発売予定です。 また、本アンソロジーの特装版BO

高校生におすすめのホラー小説7選

今回は高校生向けにおすすめのホラー小説を7冊紹介していきます。 高校生がホラー小説を読むメリット高校生がホラー小説を読むことには、さまざまなメリットがあります。ホラー小説は単なる怖い物語ではなく、感情や想像力、思考力を刺激する重要な要素を持っています。以下に、ホラー小説を読むメリットを挙げます。 ホラー小説は単に恐怖を与えるだけでなく、感情や想像力、思考力を深く刺激し、心理的な理解や集中力、批判的思考力を養う貴重な読書体験を提供します。高校生にとって、ホラー小説を読むこと

【Kindle出版】『鍵の指』/夏と言えばホラー!本当の死神はダァレ?

★単発短編ライトミステリーノベル記事を見つけてくださってありがとうございます、ホラー大好物な夏目です。と言っても、好きなのはリアルのホラー(お化け屋敷)(心霊現象)でなく、そのホラーを「怖く表現」している映画や漫画の方ですが。 この記事を選んでくださったということは、貴方様もホラーにご興味がありますね。ひとえに「ホラー」と言っても、様々なジャンルがあります。 心霊現象、迷信、風習、都市伝説、呪い等。 創作された「ホラー」は必ず「お手本」があります。恐怖の対象を作って、恐怖心を

腐るな、発酵せよ。

 一寸先は闇。  混迷の世の中ではいつ何が起きるか分かりません。占い師がそれ言っていいんかい、と思われる方もいらっしゃるかと存じますが、良いんです。全知全能など空想世界で、未来予知は限定的なものですし、そもそも不確定なのが時空の本質のような気もしますから。  因果応報。  結果には原因があります。不可抗力にみえる事象にも、その成り立ちを紐解けば了解可能な因果の道が浮かび上がるかもしれません。原因究明が必ず問題を解決するとは限りませんが、因果を知ることは己の在り方を見直す

報告:読了後もこの本のタイトルを想起できない(認識災害)

冒頭「同一SCPについての複数の報告( 作者自身が旧Twitterで「SCPじみた怪奇創作」として投稿しておられます)」みたいな感じで始まり、徐々に裏の統一されたストーリーが見えてくるという展開です。SCP財団をご存知の向きには「SCP-001/Kalininの提言」と言えば伝わるかと思いますが、3時間ほどが心地良く消えます。 おすすめ。 これはKindle版について改善を期待したいのですが、こういう「過去の章のエピソードに言及し、伏線を張りながら進む小説」についてはきちん

白い街路(かげみぼう第2話)

■前回の話はこちら■本編 砂川とは彼女の郷里で落ち合うことになった。  日光駅前からバスに乗ること約二十分。いろは坂という長く、とぐろを巻いた蛇のような山道を眺めて、大谷川沿いにかすめて行ったところに、最寄りのバス停はあった。  バスに乗っている間から不安だったのだが、辿り着いてみるとその不安は一層強くなった。バスは街中を横断するように走っていたのだが、車窓から見える民家や商店がみな雨戸やシャッターで閉ざされており、日中のことなのに人っ子一人歩いていない。観光地からほんの少し

中学生におすすめのホラー小説7選

今回は中学生向けにおすすめのホラー小説を7冊紹介していきます。 中学生がホラー小説を読むメリット中学生がホラー小説を読むことには、以下のようなさまざまなメリットがあります。 中学生がホラー小説を読むことは、想像力や読解力の向上、感情のコントロールや問題解決能力の強化など、多くのメリットをもたらします。また、非日常的な刺激を楽しみながら、道徳的な教訓を学ぶ機会にもなります。怖いものに触れながらも、それを楽しむことで、成長に役立つ経験が得られるでしょう。 中学生におすすめの

小説執筆時、書きたい要素が多すぎる場合の削り方。

現在、創作大賞のホラー小説部門に参加しておりまして、連載中でございます。お手すきの際にでも見て頂けると泣いて喜びます。 現在第7話まで書いて、起承転結の「起」が何とか終わった感じです。まだまだ先は長いぜ…。 そしてこの話は「SFホラー(虫系)、BL要素有り」です。 SF・ホラー・BL。ジャンルが3つも含まれているわけですね。妄想の中では色々考えてる。あれもやりたい、これもやりたい。ただし、今回はあくまでも「ホラー小説部門」での参加ですし、いくら長編と言っても14万字まで

私なりの、長編ホラー小説の書き方(実践編)。

元同人女、約10年のブランクを経ての「久々に長編小説を書けるようになりたい!」なリハビリのため、NOTEを始めたのが今年の2/8でした。 それから丸4か月。 いくつかリハビリ短編を書いたり、参考資料になり得る読書をしたり、過去のやり方を思い出してみたり、全く書いたことがないジャンルたちを新しくお勉強したり、時には関係ない他のことや植物や猫に逃避したり…。 そして6/10に創作大賞のホラー小説部門向けの長編連載を何とか開始できました。「シュレディンガーはたぶん猫」現在第4

命がけの片思いが切ない! ありそうでなかった鉄道×恋愛×ホラー『眼下は昏い京王線です』

『眼下は昏い京王線です』 芦花公園 2024/8/28 大学二年生の琴葉は、サークルの飲み会の帰りにお持ち帰りされそうになっていたところを助けてくれた「シマくん」という男性にひとめぼれし、猛アプローチの末に連絡先を交換します。それが命がけの片思いの始まりとも知らずに……。 琴葉によれば、シマくんはいわゆるイケメンとは違うけれど、蕩(とろ)けるような低い声で、メスを引き寄せる謎の電磁波みたいなものを発しているそうですが、はっきり言って変なヤツです。 「幽霊に会う」ことを切望す

【不思議な話】死神?!ショートストーリー

今回は、母の体験です。 私がまだ幼い頃の、姉の保育園の運動会で。 運動場では運動会の準備をしていました。 祖父が、他2人のおじさん達と談笑中 あれ?と。 3人の真ん中で立っている祖父の周りだけが 黒い膜とゆーかオーラが黒くボヤけていたそうです。 でも、笑顔で普通に会話中でした。 母は咄嗟に 祖父は病に侵されていて 死期が近いと分かってしまったそう。 勿論誰にも言えません。 数ヶ月後、祖父は病気が発覚し、 手術もし退院しましたが 結局帰らぬ人となってしまい

ダークな読後感が癖になる!土着信仰×土地の因縁『極楽に至る忌門』

『極楽に至る忌門』 芦花公園 2024年3月25日 四国の山間部に伝わるとされる猿神信仰をベースにした、4扁の作品が収録されたオムニバス。昔からその辺りの山には天子(てんじ)と呼ばれる猿に似た化け物が住んでいて、時々人と話をしに山から下りてくるという。天子は死後に極楽に行ける門の鍵を持っていて、ある契約を結べばその鍵を貸してくれるが、その契約とは、体の一部を3か所捧げ、最後に自分にとって一番大事なものを差し出すことだという。 そして怪しい地蔵のような石像や、わらべ歌。お互い

『口に関するアンケート』を読んだ感想

最近『口に関するアンケート』という本を読んだ。 オモコロの動画内で「新時代のホラー」と紹介されていて、面白そうと思い買ってみたのだ。 まず、読んだ人が皆言及しているが、本が小さい。 文庫本より二回りくらい小さく、レビューで「漫画コーナーにある紐で吊るされた副読本」「定期入れ」「かまぼこの板」など、サイズを例える大喜利がなされているが、私は「駅前で配っている広告が入ったポケットティッシュ」だと思った。50ページほどで、20~30分で読み終わる。 中身は最悪のホラーだった。

#灼いてるの

 覚醒した。  しかし身動きは出来ない。  冷たい台に寝そべって、天井を見上げている。  正面のドアが開いて、鎮痛な表情をした妻が入ってきた。傍らには学生服を着た息子がいる。普段なら詰襟を開けているのだが、やけにぴっちりと整った様子だ。  おお、と右手をあげようとした。  珍しく親戚の顔も連なっている。  余り風紀の良くない地域だった。  急傾斜地に張り付く住宅街で、漁港に近く、風には生臭さが浮いている。殊に最近では外国人の姿が目立っている。  その浪の上地区へ行くには細道

掌編小説 | クラリネット

 見てるよねえ。やっぱり。ほら、見てる。目が合うもの。嫌だあ。あなたの目って。血走っていて。今すぐにでも目薬を差したくなっちゃうよお? わたし。  子どもの目。そう、子どもの目を思い出して。濁りのない薄く青みがかった白目。大きな黒目は艶々光って、嘘みたいに澄んでいる。どうせなら、そういう目にみつめられたいねえ。だけど、その悲しげな眼差しは捨てがたいなあ。なんとも言えない悲壮感がある。繊細な人なのかなあ?   ねえ。あなたって。一言も話さないよね。 ・  まただ。見てる。今

良くある話?

 これは私が聞いた話です。  私は結婚式の記念動画を編集するアルバイトをしていました。結婚式の動画撮影を終えたとに、マイクの調子が悪かった所や撮影を失敗した場面などをカットしたり、音量の調整をしていました。早回しはできないので何時間にも及ぶ動画を目で確認しなければいけないので、なかなか大変な仕事でしたが給料が良いので続けていました。カメラは3台あり、手元のコントローラーで操作をするので荒い場面もあったりします。今回の動画もある場面でミスがありました。一瞬ですが砂嵐のようにな

職場に復帰する直前に読んでいた本

こんにちは、ぱんだごろごろです。 お蔭様で、職場復帰しました。 仕事を再開しました 先週の月曜日に、職務復帰可能の診断書を整形外科医院で書いてもらい、水曜日に産業医面談を受けました。 その後、係長に挨拶をしに行き、4月の残りのシフトを決めました。 7週間(約2ヶ月)まるまる休んでいたので、業務内容をすっかり忘れていたらどうしよう。 おそるおそる職場に入りましたが、幸いなことに、仕事の手順は身体が覚えていました。 勝手に身体が動くので、それにつられて自分が一つひとつ仕

【掌編怪談】太郎(仮名)

 太郎(仮名)は、中学2年生だ。  将来は歌手を夢見る彼は、その自分の平凡な名前が嫌いだった。それだけで、自分が凡庸な人間だと言われている気がした。 (絶対に歌手になって、カッコ良い芸名を付けて、太郎なんてダサい名前と決別してやる!)  太郎は自室の勉強机に向かうと、机上にノートを広げ、白いページにマジックで大きく『太郎』と自分の名前を書いた。そのページを破り、丸めてゴミ箱に投げ捨てる。  必ず歌手になって太郎の名前を捨ててやる、という決意を現した、自己儀式的な行動だった。

[1分小説] 知らない方がいいこと

世の中には、知らない方がいいことが、たくさんある。 ・ 予定の発着時刻より10分遅れで来たバスに、 悦子は、暑さで少しクラクラしながら乗り込んだ。 平日の午前中のバスは、ただでさえ乗客が多い。 今日みたいな遅延があれば、車内が混雑するのはなおさらだ。 ふぅ、と小さく溜息をついて、悦子は覚悟を決める。 後から乗ってくる客に押されるように、否応なしに バスの奥へと詰め込まれていく。 仕方ない。15分も揺られれば駅に着くはずだと、 彼女は手すりに掴まった。 ふいに、隣の

生きることは食べること。倉狩聡「かにみそ」

これは、夏にピッタリ…かもしれない1冊。 週末。 図書館に行ったら、たまたまこの本が目に入った。 「タイトル、かにみそってw」 「イラスト、シュールで可愛いな」 なんて思って、気軽に手に取り 読み始めた。 事前情報一切なし。 何の本なのか分からず読み進めたら… … うん、ホラーだった。 ゆるめの小説(ゆるめって何w)かな〜?なんて思ってたから、 「えっ?」 「は?」 「ファッ?」 って、思わず変な声出た。 … ホラーなんだけど、でもそれだけじゃない。 怖

小説版『アヤカシバナシ』行進

小学生の低学年の頃の話です。 それはそれは歴史ある古い小学校でした。 グラウンドも口の字型の校舎の真ん中にあり、 中庭と呼ばれるほどに古かった。 転校してからグラウンドって何?これ?広っ!て思ったくらいだ。 その小学校には施設が設けられており、 家に帰っても親が居ないから遅くまで預かりますと言う場所。 記憶では迎えに来ない親が居て、泊まったと言う話もあった気がする。 今はそんな事ないと思うが、昔は善意で用務員さんが 一緒に泊まってくれたりしたらしい。 現在

掃除して洗濯物済ませても苦しくない。 調子いいなー。嬉しい。 朝シャワーしたら、昨日無理して本業をすませていたので今日は自由だから、とりあえず読書。 お日様はあんなに高く明るいけど、今の読書傾向はこんなだよ。KindleUnlimitedもホラーばっかだよ…

【試し読み】織部泰助『死に髪の棲む家』重版記念 冒頭特別公開!

髪が口に入ったら死がやってくる――。 第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<読者賞>受賞作『死に髪の棲む家』が、角川ホラー文庫より登場! 本記事では、発売1週間での重版決定を記念し、大ボリューム試し読みを特別公開します。 物語の冒頭を、どうぞお楽しみください。 あらすじ 『死に髪の棲む家』試し読み 死に髪  その老人は明らかに死んでいた。  顔を左にねじむけて、うつ伏せに倒れており、その首には執念深い蛇のように、ぐるりと黒い縄が絡みついている。  しかも恐ろしいこと

【中編】かえってくる(Ⅰ)

「こんばんはー」 何の変哲もない女性の声だった。魅惑的でも、野暮ったくもない、一般的な透明度を備えた女性の声だった。 とん、とん、とん、とん、とん。 一定の間隔でノックは繰り返される。過剰に乱暴なノックではない。だけど音は確実に寝床にいる俺の耳まで届いている。 「こんばんはー」 平坦な女性の声。4回ノックするごとに規則正しく1回挟まる挨拶。 反応はせず、何も聞こえていないという態度でい続ける。 「こんばんはー」 今日はやけに長い。既に10分は経っている。時間は20時半。夏で陽

👁ホラー👁体験談👁実話

これは知人が30年前に体験した実話です。 読む前に先にお風呂やトイレを済ませておきましょう。 それでは暗闇でどうぞ👋 A子は20歳の滋賀県在住の会社員です。あれは良い天気の4月の土曜日でした。その頃は、あちこちで桜が満開で花見客がにぎわっていました。私も彼氏(彼B)と私の運転でドライブデートに出かける事になりました。花見客がいっぱいだったので夜桜見をしようと決めて昼間は買い物し、美味しいものを食べてデートを楽しんでいました。そろそろ夕方に近づいて来たので、花見スポットへ

¥100