ヴィレッジ岩屋顛末 第1章 三〇三号室 夕羽 第九話
「あれ……? ねえ、ちょっとそこの子!」
会社でPCのモニターを見ていると、同僚がフロアで声を上げた。結構な大声だったので顔を上げると、入り口のドアから外に身を乗り出している後輩の女の子が見えた。営業の男性が「何? どうした?」と声を掛けている。
「そのドアのところに小さい女の子がずっと立ってて。フロア内を見ていたんですけど……」
「女の子? こんなところに?」
「はい。でも、ここってパスがないと入れないですよね? ちょっと白っぽい薄汚れた服着てたし、どこから入ったのかなと