予兆 // 連載小説コネクト #6

東京

「やりたいこととかあるの?」

「今しか出来ないことってあるじゃん? だからやりたいことはやんなきゃね」

 ヒカリは、さっき会ったばかりの中年男に作り笑顔でそう答えた。いつもはなんともないが、バイトで疲れていたので、世間話はさっさと終えたかった。ヒカリは中年男から2万円を受け取り、制服のポケットに入れ、車から足早に出て行った。

「これは女子高生のうちしか出来ないことだね」ポケットの中で

もっとみる
わたしもスキです♡良かったらお友達にシェアしてね!
7

【第1部 破壊と再生のプリンセス編|Princess of destruction and rebirth】お試し編

――世界は神が創造した。

 ――じゃあその神はどこから来たのか?

 ――世界の外は真っ暗な宇宙が無限に広がり、どこにも居場所なんかないと言うのに……。

 複数の女性、そして遠くから見つめる男達。
 その中心に一人の赤子、漆黒の瞳をしているその存在を女性たちはあやしている。
 まだ言葉は理解していないが、その空間にある無限に等しい壁が見えない高さの本棚にぎっしりと大小、厚さが異なる本の中から童

もっとみる

歴史の授業 // 連載小説コネクト #5

ブルースター

 ブルースターでは、”経験”の少ない子供たちに授業をしている。「リーダー」の授業は人気で、毎回たくさんの子供たちで賑わっている。授業はホログラムで参加できるので、どこにいても受けることが可能だ。

「ーーこのように、この星の生物は生殖機能がないため、クローンを作り続けたが、著しく愛が育たなかったため、滅んでしまいそうです。”絶滅危惧星”はここまで。次の星を見てみようか」リーダーがホ

もっとみる
今日のあなたは運がいい♡良かったらお友達にシェアしてね!
6

2040年の彼女の憂鬱(10)

彼と直に会うことは、背徳的かつ幸福なことでした

 バイトを進めながら歩き、気がついた時にはハルトが住む集合住居のエントランスにいた。
 ここまで来るのに長く時間がかかった気がするけれど、ついてしまうとあっという間に感じられた。

「これから……1時間休憩をとります」

 パートナーの修繕ロボットに伝えると、ロボットはあっさり承諾を出して勤務記録モードを解き、パイプアーケードに設置されている充電ス

もっとみる
スキするたびに飯テロ☆
1

2040年の彼女の憂鬱(9)

彼と直に会うことは、背徳的かつ幸福なことでした

 待ちに待った埼玉点検の日が来た。
 私はアラタさんの助言通り、上長にお願いして埼玉、川口市第一ブロックの担当になった。
 作業時間も考えると、私がハルトに会えるのは30分くらい。
 今日、本当に会えたら、次は改めてどこかでゆっくり会えるといいな。

 アラタさんは第二ブロックの担当になったから、終わったら第一ブロックも手伝ってくれることになってい

もっとみる
スキするたびに飯テロ☆
3

2040年の彼女の憂鬱(8)

彼と直に会うことは、背徳的かつ幸福なことでした

「彼氏と会えることになったんだ。よかったな」

 バイト先で出会ったアラタさんは、気さくでいい人だった。

 川口の第一ブロックのことを詳しく教えてくれた彼と、私はたまに話をするようになった。

「はい。無理に会おうって言ったのよくなかったかなって思ったんですけど、向こうから会おうって」
「突然いくつもりだったみたいだから、心配してたんだよね」

もっとみる
幸せをおすそわけ
1

2040年の彼女の憂鬱(7)

彼と直に会うことは、背徳的かつ幸福なことでした

「ていうかさ、その彼氏やばいんじゃない?」

 久しぶりにウェブ上の大学構内で会ったサクラにハルトの話をすると、サクラは途端に眉を顰めた。

「どうして? サクラも直接会うのはおかしいとか言ってなかったっけ?」
「いやそうだけど、それとこれとは別だよ。何があろうがヒナと会うつもりないじゃん。いくらサイバースペースで結婚生活送ってても、みんな一回くら

もっとみる
サンクスです! ゆっくりまったりしましょね(^^)
2

2040年の彼女の憂鬱(6)

彼と直に会うことは、背徳的かつ幸福なことでした

「傷やひび割れ、ネジ等の欠け、そのほか気になることがありましたら、マップに印の上、メモをとって、できれば映像記録をとっておいてください」

 パイプアーケードへの扉を前にしたエントランスで、バイト先の上長の指示を聞く。私の他にもバイトの子が数人いた。みんな防護服を着て、パートナーとなる修繕ロボットが一人一台、側についている。
 これから毎週決まった

もっとみる
あなたの今日の運勢は大吉☆
3

2040年の彼女の憂鬱(5)

彼と直に会うことは、背徳的かつ幸福なことでした

 昼下がり、リビングのソファーで午後のお茶を飲んでいるママの隣に座る。
 私はママが淹れてくれたお茶を飲みながら、カップを持つ彼女の手元を見る。

「ママ、手を触ってもいい?」
「え? いいわよ」

 彼女の手をとって、掌や指を揉む。
 母の手は白く細くて、でも、掌に柔らかく薄く肉がついている。

「ふふ……マッサージしてくれてるの?」
「マッサー

もっとみる
幸せをおすそわけ
5

2040年の彼女の憂鬱(4)

彼と直に会うことは、背徳的かつ幸福なことでした

私は、窓ガラスに投影していたエメラルドグリーンの湖の壁紙をオフし、窓の外を眺める。

外には、管のように張り巡らされたパイプアーケードで繋がる高層住宅が立ち並んでいる。
地上は、人の足が入らなくなったこともあり、様々な植物が繁茂していた。建物の維持に影響がありそうな場合でもない限り、植物が手入れされることはない。
人々は、居住空間の外に対する興味を

もっとみる
わお! わお!! わお!!!
1