砂東 塩

さとうしお|31040|web小説を書いています。最近はファンタジー小説を書くことが多…

砂東 塩

さとうしお|31040|web小説を書いています。最近はファンタジー小説を書くことが多いです。

マガジン

  • 短編小説シリーズ【それ】

    同じ舞台設定で書く8000字以下の短編ホラー。 作者用メモ  2028 #1蠢く黒子(新農法トマト) 2025 #2見つめるものたち 2025 蒲谷地区大雨と祠崩壊  2014 #8二〇一四 2009 #6余所者の町 2007 Tダム完成 1996 #5T神社の怪 1996 #4真夜中のブラックグー  1995 #3『調査報告書』抜粋 1986 K・エリック・ドレクスラー グレイグー 1985 #7オカルトコレクター 1955 黒い沼の出現 狐憑き事件

  • 二次利用OK

    クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの付与作品。利用条件は各作品ページの本文末尾をご確認ください。 なお、星空文庫には砂東塩の二次利用OK作品のすべてを掲載しています。→https://slib.net/a/21830/

  • 掌編つめあわせ

    3000字以下の掌編(文字数ちょっとオーバーしてるのもあるかも)

  • 短編小説集

    短編小説▷全文無料公開している作品もあります。

  • 中編小説

    中編小説 無料『Moe――報われない僕らの恋の記録』SFファンタジー 無料『言霊つかい黒猫ヤマトのにゃんとも事件簿』現代ファンタジー 一部有料『夢を見る』青春小説

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長編小説『夜次元クジラは金魚鉢を飲む』

▼本作は小説投稿サイト「ステキブンゲイ」でも公開しています。 創作大賞2022中間審査通過 全45話 約12万字(文庫本一冊程度) あらすじ 登場人物 伊足波留 中学三年。夜次元クジラが見える。 槇村心 通称シン。一歳年上の海斗とはサーフィン仲間。波留のクラスメイト。 森谷笹音 波留とシンの担任。 砂見海斗 高校一年。シンの幼なじみ。波留の隣人。 砂見勇気・美羽 海斗の両親。サーフショップCONA経営。 伊足留里 波留の母親(同性婚)。波留が小五の時に死亡。

    • 小説『二〇一四』

       M県K市のS工業会社K支社勤務の井上諒は、高校卒業から二十年経って初めて同窓会に出席した。当時暮らした家はすでになく、ホテルをとってまでお盆の同窓会に向ったのは気の迷いだ。  同窓会の案内が届いたのは離婚成立の一週間後。単身赴任していた諒は妻と息子が出ていった後で一人マンションの片付けに戻り、その時ポストに案内状を見つけた。孤独感が募り返信用ハガキの参加に丸をつけて投函したが、離婚した途端に顔を出すのは再婚相手探しと思われないか――そんな考えが会場に到着するまでずっと諒の

      • 小説『オカルトコレクター』

         黄坂峠を挟んだM県のS町で幼稚園児の連れ去り事件が起きたのは今年の四月。同じ団地の子と遊んでいるときに忽然と姿を消した。 「母親は最初かくれんぼしていると考えて心配していませんでした。しかし、他の子が戻ってきても自分の子だけ戻って来ない。公園周辺だけでなく団地中を探しても見つからず、それで警察に通報したんです。  知らない人について行かない、おもちゃやお菓子をあげると言われてもダメ。それだけはしっかり言い聞かせてください。  校区内の公園はPTAと町内会で見回りをし、葉狩

        • 小説『余所者の町』

           三十歳を目前に尾田理一が地元に戻ったのは、リーマンショックに端を発した不景気で会社が希望退職者を募っていたのと、新型インフルエンザのせいで満員電車や人混みにストレスを感じるようになったからだ。  再就職先については何の心配もしていなかった。尾田の家は印鑑や名刺の作成を請け負う『尾田印房』を営んでおり、いざとなればそこで働けばいい。  六月下旬の週半ば、理一が降り立った駅は閑散としていた。駅前通りは三軒に一軒がテナント募集の貼り紙を掲げ、営業中の店も客の姿もまばらだ。退職

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        長編小説『夜次元クジラは金魚鉢を飲む』

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        • 短編小説シリーズ【それ】
          8本
        • 二次利用OK
          11本
        • 掌編つめあわせ
          21本
        • 短編小説集
          26本
          ¥800
        • 中編小説
          3本
        • 短文と言葉
          16本

        記事

          小説『T神社の怪』

           T神社に妖怪サトリが出るとM高等学園内に広まったのは、学園祭がきっかけだった。二年五組の生徒が『怪談小屋』という出し物をし、そこでされた怪談話のひとつがサトリだったのだ。  ――ここM市にまつわる怪談話をしましょう。僕の家の近くにある神社での話なんですが、人くらいの大きさをした、真っ黒な毛むくじゃらの獣が何度か目撃されているんです。最初にこの話を聞いたのは十年くらい前。僕はまだ小学二年生で、今の家に引っ越してきたばかりでした。  生まれたときはI町の団地に住んでいたんです

          小説『T神社の怪』

          作品案内

          2017年春からWeb小説を書いています。砂東 塩またの名を31040。 砂東 塩 ▶pixiv ▶ステキブンゲイ 31040 ▶エブリスタ ▶カクヨム ▶小説家になろう  ■完結超長編『巻き添えで召喚された直後に死亡したので幽霊として生きて(?)いきます』 超長編異世界ラノベ。(掲載 エブリスタ カクヨム 小説家になろう) ■完結長編『悪女を隠すなら森の中〜メゾン・ド・アリスの不穏な日々』 森の中のレストランで繰り広げられる長編ラブサスペンス。※R15(掲載サイ

          小説『真夜中のブラックグー』

          「ぬっペっぽう」は、『画図百鬼夜行』など江戸時代の妖怪絵巻に載っている妖怪のひとつだ。皺だらけの肉塊に目鼻口があって、短い手足がついている。想像してみなよ。そんなにおどろおどろしいものじゃなく、むしろ愛嬌があるだろう?   でも臭いんだ。腐った臭いがする。死肉が化けた妖怪で、ぬっペっぽうが通った跡は腐った肉の臭いがするらしい。肉塊のゾンビだね。  でも、ぬっぺっぽうが黒いという記述は見たことがないよ。粘液状というのも当てはまらない。君が探している「黒い粘液状で、腐った臭いがす

          小説『真夜中のブラックグー』

          小説『調査報告書(抜粋)』

           物心ついたときから隣家には犬がいた。小さな池にししおどしまである昔ながらの日本家屋で、数ヶ月に一回造園業者が手入れに訪れていたが、犬はいつも警備員のように玄関前でじっと様子を眺めていた。  繋がれているわけでもなく、初めて隣家を訪れた人々は顔をひきつらせて遠巻きにチャイムを押した。いつも出入りしている造園業者や郵便配達員には賢い犬と思われているようだった。  ここら辺は私有地と公道の境界があいまいで、塀や柵はなく、近所の人が勝手に戸口を開けて採れ過ぎた野菜を上がり框に置

          小説『調査報告書(抜粋)』

          小説『見つめる者たち』

           数年前に起きたM県O町採石場での崩落事故は局所的な大雨が原因だった。当時土砂災害警戒警報が発令されていたこともあり人的被害はなかったが、採石場周辺で五箇所の土砂崩れが確認され、地質調査の甘さが指摘されて採石場は閉鎖した。  採石権はS工業会社にあり、土地所有者との契約締結時には現場の再緑化が盛り込まれていたというが、崩落事故後にどんな話し合いが行われたのか、採石場閉鎖が決まるとS工業会社は早々に現場から撤収したのだった。  採石場にもっとも近い集落は蒲谷地区。フリージャ

          小説『見つめる者たち』

          小説『蠢く黒子』

           夕飯の準備をしていたサヨは、恐る恐るトマトの断面に顔を近づけ、小さな悲鳴とともに仰け反った。包丁の先に黒ずんだ液がこびりつき、まな板にこぼれ出た種の中に蠢くものがある。が、サヨは自分の手の甲にできた小さなホクロにまだ気づいていなかった。  珍しく家に居た高校二年生の息子トウヤが動画を撮影し、SNSにアップしたのはその日の夜。翌日にはフェイク動画と叩かれてすぐに削除したが、その後似たような動画が複数のアカウントから立て続けに投稿され、『ネットを騒がす未知の黒アメーバ! 身分

          小説『蠢く黒子』

          掌編『りんりんりん』

          りんりんりん あの時はね、怖いっていうよりも、ああやっと解放されるって思ったのよ。  隣りに座る女の子は、そんなふうに言ってため息をつき、手を伸ばして僕の目の前にあるフライドポテトを3本抜きとった。それをまとめて口の中に突っ込み、窓の外に目をやったままモグモグと頬を動かしている。    郊外にあるショッピングモール、そのなかにあるファーストフード店、の二階にある窓向きのカウンター。深夜0時前。そこに僕と彼女は隣り合って座っている。  左右に人影はない。  背後からも人の

          掌編『りんりんりん』

          掌編『波音とエンジン音』

          波音とエンジン音 「……しょっぱっ」  そう言って口元を拭う僕を、彼女はクスクスと笑いながらチラリと見て、そのあとザブンと漆黒の海の中へと一瞬の躊躇もなく潜る。ゆらゆらと揺れる海面は、雲間から覗く満月の光で優しく照らされていた。  あまりにも長いあいだ潜り続ける彼女に、出会った頃は溺れてしまったのではないかとずいぶん狼狽した。あのとき、兄貴と二人で、服が濡れるのも構わず夜の海へと飛び込んだ。  途方にくれて呆然と立ち尽くす僕と兄のちょうど真ん中に、突然ザブっと顔を出して、二

          掌編『波音とエンジン音』

          短編小説『羊のルンバ』全文無料

          §1 日高さんの鳴らす足踏みミシンの音は雨のようだ。雨の日に、一両列車の窓際にひとり座って、ぼんやり海をながめているみたいな。少し癖のあるリズムは、去年の地震のときに痛めた左足のせい。普通に歩いているけれど、足首が疼くと決まって雨が降るという。 「小苗ちゃん、今夜泊ってく?」  手元で流れてゆく布地に目を向けたまま、日高さんがハスキーボイスで聞いてくる。黄砂の季節は喉をやられるらしい。数枚の古着を預かってパッチワークでリメイクするのが日高さんの仕事。避難所からこの家に戻った

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          マガジン削除のお知らせ

           有料マガジン『執筆しながら考えたこととか、ほかのこととか』(旧題『たぶん、書いてます』)を近日中に削除する予定です。→削除しました。  note整理の一環ですが記事はマガジン削除後も読んでいただける(はず)です。過去記事にPVがつくこともないので、全文無料で公開していたものは何本か削除するかもしれません。ご了承ください。  追記 有料範囲だった部分も公開状態になっているようです。お金払って勝手くださった方には申し訳ないことをしました。

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          小説を書く人に100の質問

          こちらやってみました▽ 小説を書く人に100の質問Q.1 筆名(ペンネーム)を教えてください。   砂東塩/さとうしお/31040 Q.2 筆名の由来は?   砂糖と塩 Q.3 主にどんな小説を書いていますか?(長編・短編・掌編など)  最近はもっぱら長編 Q.4 主にどんなジャンルの作品を書いていますか?  最近はもっぱらファンタジー Q.5 作品はどこかで公開していますか?(商業誌・同人誌・小説投稿サイトなど)  note、エブリスタ、カクヨム、小説家になろう、

          小説を書く人に100の質問

          短編小説『化け猫にとりつかれた女の話』全文無料

          全編無料公開 〈一〉 丘の上の豪邸からのぞむ山並みが、ぼんやりと黄色く霞んでいた。 「奥さまの猫が死んだって聞いた?」 「おれが埋めたんですよ。車に轢かれたんですって。なんでも昨夜いらしてた」 「シッ、駄目よ。老衰で死んだことになってるんだから」 「いや、あの死骸は」 「奥さまがそう言ってるの」  女中の口調に気圧され、下働きの男は半笑いでハァともらした。  二人がいるのは丸山家の庭にあるひょうたん池のほとり。傍らの、形よく整えられたツツジの、影に見える部分は掘り返したばか

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