中島花絵

Edtech系ベンチャーのスタディプラス株式会社で取締役CFO兼管理部長をしています。…

中島花絵

Edtech系ベンチャーのスタディプラス株式会社で取締役CFO兼管理部長をしています。 公認会計士×証券アナリストです。

記事一覧

ROAとROEの違いを知れば、財務諸表が読めるようになる

財務諸表が読むのが難しいのはなぜか財務諸表からは様々な情報を読む取ることができます。 それこそが、財務諸表を読むのが難しい理由でもあります。 たくさんの情報をただ…

中島花絵
3か月前
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CFOと管理部門管掌役員は兼務できるのか

『CFO思考』を読んでニコンや三菱UFJでCFOを務めた徳成旨亮氏の著書『CFO思考』(2023年、ダイヤモンド社)が話題です。 私も若輩ながら4年ほどCFOという肩書を持つ身とし…

中島花絵
10か月前
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コーポレート部門の2つのミッションツリー

コーポレート部門におけるミッションツリーの必要性ミッションツリーは、組織で達成すべき目標をロジックツリーのフォーマットでチーム、メンバーへと分解することで、それ…

中島花絵
10か月前
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IRの評価

これまでIRのミッションと具体的な仕事内容について書いてきました。 今回は、IRの活動の成果はどのように評価すればよいのか、評価指標を考えます。 IRの評価指標IRのミ…

中島花絵
11か月前
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IRのミッション

前回のnoteで、IRは具体的にどんなことをする仕事なのかざっくり解説しました。 では、IRのミッションは何でしょうか。 IR活動の究極の目的について考えてみます。 IRのミ…

中島花絵
11か月前
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IR担当の業務を解説

当社は現在上場していないので、IRという業務がありません。 未上場ベンチャーで、IR業務がどんなものか想像がつかないまま上場を目指している方も多いと思うので、ざっく…

中島花絵
11か月前
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ヒューマンエラーを低減するために

どんなに真面目に仕事をしてもミスは起こります。 スタートアップの社内では、全員が常にマルチタスクをこなしつつ、状況の変化に合わせて業務を見直していくので、なおさ…

中島花絵
1年前
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人が人を評価するということ~人事評価の話~

今回は、当社でリーダー・部長向けに行った評価研修から、人事評価について書いていきたいと思います。 人事制度は会社によって千差万別ですので、あくまでも当社で大事に…

中島花絵
1年前
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素人が1週間で人事制度をつくってから、かれこれ4年経ったので振り返ってみる

スタディプラスに入社してちょうど1年が経とうとしていた2018年末の正月に、私は人事制度を作っていました。 当時の私は、取締役CFO兼管理部長という立場でコーポレート全…

中島花絵
1年前
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年度予算と予算折衝

前回のnoteで予算管理概論について説明しました。 予算作成の詳細については、ボリュームの関係で前回のnoteに書ききれなかったので、改めてこちらに書いていきます。 予…

中島花絵
1年前
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「10ml -5時間」と「10km- 5トン」はどちらが大きい?~予算管理のはなし~

予算管理とは「10ml -5時間」と「10km- 5トン」はどちらが大きいですか? これは私が部長を対象にした予算管理研修で、冒頭にした質問です。 答えはもちろん…"分かりませ…

中島花絵
1年前
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ROAとROEの違いを知れば、財務諸表が読めるようになる

ROAとROEの違いを知れば、財務諸表が読めるようになる

財務諸表が読むのが難しいのはなぜか財務諸表からは様々な情報を読む取ることができます。
それこそが、財務諸表を読むのが難しい理由でもあります。
たくさんの情報をただ眺めても、記号の集合にしか見えません。

財務諸表を読むための最初のステップは、その目的を定めることでした。
誰が、何のために、何を知りたくて財務諸表を読むのか。
財務諸表を読むための目的が定まれば、財務諸表の読み方が見えてきます。

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CFOと管理部門管掌役員は兼務できるのか

CFOと管理部門管掌役員は兼務できるのか

『CFO思考』を読んでニコンや三菱UFJでCFOを務めた徳成旨亮氏の著書『CFO思考』(2023年、ダイヤモンド社)が話題です。
私も若輩ながら4年ほどCFOという肩書を持つ身として、大変興味深く拝読させていただきました。

さて、本著では、CFOと経理・財務担当役員のスタンスの違いが、それぞれ「アニマルスピリット」と「金庫番思考」というワードで表現されています。

アニマルスピリットとは「冷徹な

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コーポレート部門の2つのミッションツリー

コーポレート部門の2つのミッションツリー

コーポレート部門におけるミッションツリーの必要性ミッションツリーは、組織で達成すべき目標をロジックツリーのフォーマットでチーム、メンバーへと分解することで、それぞれの役割と組織目標との関係性を明らかにするものです。
ミッションツリーを作ることで、組織のミッションが過不足なく個人のミッションに落とし込まれ、個人がどのような役割を担っているかを可視化し、個人の目標達成が組織の目標達成にどのように貢献す

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IRの評価

IRの評価

これまでIRのミッションと具体的な仕事内容について書いてきました。
今回は、IRの活動の成果はどのように評価すればよいのか、評価指標を考えます。

IRの評価指標IRのミッションは前回のnoteに記載したとおり、リスクプレミアムを下げることを通して、企業価値を高めることです。

そのため、リスクプレミアムの値が究極的にはIRの評価指標となりますが、算出が容易でないことと、実際には環境要因なども影響

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IRのミッション

IRのミッション

前回のnoteで、IRは具体的にどんなことをする仕事なのかざっくり解説しました。
では、IRのミッションは何でしょうか。
IR活動の究極の目的について考えてみます。

IRのミッションIRのミッションは、資本市場において自社の企業価値を高めることであって、特に企業価値を以下の計算式で表したときの株主資本コストを下げることで企業価値を高めることです。

企業価値=将来獲得するキャッシュの予想額÷株主

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IR担当の業務を解説

IR担当の業務を解説

当社は現在上場していないので、IRという業務がありません。
未上場ベンチャーで、IR業務がどんなものか想像がつかないまま上場を目指している方も多いと思うので、ざっくりIRの業務を説明していきます。

私のIR経験私自身は、前職時代に2008年から2018年まで東証一部上場ITベンチャーでCFO直下のIR主担当(途中2~3年隣の部署に異動したりしましたが)として、時価総額800億から5,000億にな

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ヒューマンエラーを低減するために

ヒューマンエラーを低減するために

どんなに真面目に仕事をしてもミスは起こります。
スタートアップの社内では、全員が常にマルチタスクをこなしつつ、状況の変化に合わせて業務を見直していくので、なおさらミスが起こります。

新しいことに取り組んでいるのだから、ミスを起こすリスクはある程度許容していこうという考えも一定程度は正解だと思いますが、それでやり過ごしていると、徐々に会社が疲弊していきます。

リスクを受容したつもりでも、実際にミ

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人が人を評価するということ~人事評価の話~

人が人を評価するということ~人事評価の話~

今回は、当社でリーダー・部長向けに行った評価研修から、人事評価について書いていきたいと思います。
人事制度は会社によって千差万別ですので、あくまでも当社で大事にしている評価の考え方であることを含みおきください。

人が人を評価できるのか私がはじめて部下をもって評価したとき、自分が人を評価することなんてと怖くなったを覚えています。

価値を見定めるなんて普通の人間にできるものではありません。

人事

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素人が1週間で人事制度をつくってから、かれこれ4年経ったので振り返ってみる

素人が1週間で人事制度をつくってから、かれこれ4年経ったので振り返ってみる

スタディプラスに入社してちょうど1年が経とうとしていた2018年末の正月に、私は人事制度を作っていました。

当時の私は、取締役CFO兼管理部長という立場でコーポレート全般を管掌していましたが、人事が私の管掌領域なのか曖昧だった気がします。
他にいないから私だろうと思いつつも、それまで人事の経験などなく、何をどうしていいか分からない状態でした。
そんな私が、正月の1週間で作ったのが今の人事制度です

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年度予算と予算折衝

年度予算と予算折衝

前回のnoteで予算管理概論について説明しました。

予算作成の詳細については、ボリュームの関係で前回のnoteに書ききれなかったので、改めてこちらに書いていきます。

予算の体系予算は全体として以下の体系からなっていますが、損益計算書予算だけを指して「予算」という表現するケースもあります。

貸借対照表(BS)予算

キャッシュ・フロー(C/F)予算

設備投資予算

損益計算書(PL)予算=狭

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「10ml -5時間」と「10km- 5トン」はどちらが大きい?~予算管理のはなし~

「10ml -5時間」と「10km- 5トン」はどちらが大きい?~予算管理のはなし~

予算管理とは「10ml -5時間」と「10km- 5トン」はどちらが大きいですか?

これは私が部長を対象にした予算管理研修で、冒頭にした質問です。
答えはもちろん…"分かりません!"

単位の違うものは計算ができません。
予算管理も同じです。

メンバーが日々していることは、営業だったり開発だったりマーケティングだったりという「活動」ですよね。
売上高はその活動から得られる「果実」ですが、売上は

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