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人が人を評価するということ~人事評価の話~

今回は、当社でリーダー・部長向けに行った評価研修から、人事評価について書いていきたいと思います。
人事制度は会社によって千差万別ですので、あくまでも当社で大事にしている評価の考え方であることを含みおきください。

人が人を評価できるのか

私がはじめて部下をもって評価したとき、自分が人を評価することなんてと怖くなったを覚えています。

評価とは、どれだけの価値があるかを見定めること。

オックスフォード国語辞典

価値を見定めるなんて普通の人間にできるものではありません。

人事評価とはなにか

評価と人事評価は異なるものです。
人事評価とは、従業員の業務の遂行度、業績、能力を評価し、賃金や昇進等の人事施策に反映させる仕組みです。
評価対象は人そのものではなく、業務の遂行度、業績や特定の能力であって、一定のルールに基づいて行う評価
です。
やり方がわかれば、誰でもできるようになります。

人事評価の目的

人事評価の目的は、主に以下の2つです。

  • 会社計画を達成すること

  • 従業員を育成(能力開発)すること

つまり、人事評価は、従業員と会社がともに成長するためになくてはならない仕組みです。

人事評価の難しさと対処方法

誰でもできるようになるとはいえ、人事評価には陥りがちなエラーがあり、その傾向を把握して回避しなければなりません。

人事評価のエラー

  • ハロー効果
    ex|プレゼンが上手いという一部の事実をもって、営業マンの全ての要素が上手いと評価してしまう。

  • 寛大化傾向
    ex|厳しい評価を伝えたくないため良い評価を付けてしまったり、部下が成長していることを示すために良い評価を付けてしまう。

  • 中心化傾向
    ex|評価に自信がなく当たり障りのない評価としてしまったり、評価基準が曖昧なため評価の判断ができない。

  • 対比誤差
    ex|評価者が得意な領域について他の項目より厳しい評価をしてしまったり、評価者と同じやり方でできない場合に悪い評価を付けてしまう。

  • 論理的誤差
    ex|勤勉な人は仕事量をこなすはずという論理構造のもと、勤勉という部分だけを見て仕事量をこなすという評価項目に高得点を付けてしまう。

評価エラーを回避する方法

評価エラーを回避するためには、評価基準を明確にし事前に設定した評価基準に基づいて評価すること、印象ではなく客観的事実に基づいて評価することが重要です。

目標設定

評価エラーを回避するためにやるべきことは、事前に評価基準を設定し、その基準に基づいて客観的に評価することでした。
つまり、目標設定こそが人事評価の最も重要なポイントです。

目標設定の条件

目標設定には以下の条件が揃うことが必要です。

  • 組織の目標が各個人に網羅的に割り当てられていること

  • 育成の要素があること

  • 評価者と被評価者の間で合意していること

育成の要素

条件の一つである育成の要素とは、どのように目標設定に組み込めばいいのでしょうか?
この回答は色々ありますが、例えば以下のような手法があります。

  • チャレンジングな目標
    未経験の業務を割り当てる

  • 高い達成水準の提示
    必達の水準に加えて、よりハイレベルな水準を提示し目指させる。

  • プロセスの提示
    プロセスを詳細に定義し、各フェーズで上長がチェックし、改善点を指導するポイントを設定する。

目標設定のチェック

目標が設定できたら、必要な要件を満たしているか以下の項目でチェックしましょう。

  • 目標

    • 各メンバーに設定した目標をチーム全員分合計すると、組織の目標を達成することができますか?(組織の目標が網羅的にメンバーの目標として割り当てられていますか?)

    • 各メンバーに設定した一人当たりの目標の数は妥当ですか?(目安3~5)

  • プロセス

    • 主なプロセス(どうやって達成するかというステップ)を評価者と被評価者で合意できていますか?(合意できない場合、設定した目標の意味がお互いの間で曖昧になっている可能性があります。)

  • 達成水準

    • どのような水準になれば達成したといえるかを評価者と被評価者で合意できていますか?

    • 評価期間で達成できる水準が設定されていますか?(プロジェクトが評価期間に完了する必要はありませんが、評価期間に評価に値する実績が計測できる必要があります。)

  • その他

    • 育成の要素を折り込んでいますか?

    • 期日内に目標設定を作成し、評価者被評価者で合意ができましたか?

目標設定の確認

目標設定が終わったら、あとは評価の時期を待つだけでしょうか。
よい目標が設定できれば、評価の際は設定した目標に照らして判断していけばよいのですが、そう簡単にいかないのが実態です。

人はどんどん忘れていきますし、環境はどんどん変わっていきます。
気が付いたら決めたゴールと違うことを目指していたり、上司の方から違うことを指示していたり、合意したはずの目標設定の解釈が評価者と被評価者で徐々にずれていきます。

目標設定は、設定した瞬間から解釈のずれが開き始めると思ってください。
そのため、評価対象期間の間、継続的に目標設定の解釈の確認を続けていくことが重要です。
当社の場合は、最低でも月一回、評価者と被評価者の目標確認MTGを持つようにしています。

実は、このように継続的に確認をしていると、評価対象期間を通して、少しづつ評価をしていることになり、期間が終了したタイミングで評価が完了していることに気づきます。

人事部から、評価提出を求められてから、どう評価しようかと考えることはなくなります。

まとめ

人事評価が上手くいかない場合、以下のどちらかが原因の可能性があります。

  • 目標設定に失敗している

  • 目標を設定したあと、継続的な確認を怠っている

つまり、人事評価が上手くいかない要因は、評価の方ではなく目標設定に原因がある可能性があります。
特に、評価提出を求められてから評価を考えている方は、これを機に見直してみると良いかもしれません。

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