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IRの評価

これまでIRのミッションと具体的な仕事内容について書いてきました。
今回は、IRの活動の成果はどのように評価すればよいのか、評価指標を考えます。

IRの評価指標

IRのミッションは前回のnoteに記載したとおり、リスクプレミアムを下げることを通して、企業価値を高めることです。

そのため、リスクプレミアムの値が究極的にはIRの評価指標となりますが、算出が容易でないことと、実際には環境要因なども影響した「結果としての値」であるため、目標値として設定しにくいという性格があります。
そこで、以下のような指標を設定することが実務的です。
なお、1が短期指標、3が長期指標となります。

  1. 決算説明会集客・面談設定数

  2. セルサイドアナリストカバレッジ数

  3. 投資信託組入数・株価出来高

決算説明会集客・面談設定数

決算説明会にどれだけの機関投資家・セルサイドアナリストを集客できたか、個別面談で何件の面談を設定できたのかは、最も分かりやすいKPIであり、短期的に目指しやすい指標です。

決算説明会の集客数を増やすためのアクションとしては、日々のIR活動で投資家との関係を作ることに加えて、決算説明会の会社側出席者・発表者の選定、他社と時間がかぶらない開催日時(早めの日程告知)、IR支援業者を使った集客プロモーションなどがあります。
特に、会社側出席者として、個別面談には参加しない事業責任者が質疑対応する機会を作ることは決算説明会の価値を高め、集客にもつながります。

セルサイドアナリストカバレッジ数

セルサイドアナリストとは、証券会社に所属し、機関投資家向けのサービス(営業)としてアナリストレポートを書く人です。
セルサイドアナリストのカバレッジに入ると、定期的にアナリストレポートを書いてもらえるうえに、アナリストが機関投資家向けに会社を売り込んでくれるため、カバレッジされるか否かは非常に重要です。

セルサイドアナリストのカバレッジに入るためのアクションとしては、セルサイドアナリストとのコミュニケーションが重要なことは当然ですが、基本的にセルサイドアナリストは機関投資家へ営業することが仕事ですから、機関投資家のニーズに応じてカバレッジを変化させます。
結局は、機関投資家へのIRがカバレッジへの近道となります。

投資信託組入数・株価出来高

IR活動の結果として、機関投資家がアクティブに企業を分析した結果、よい企業だと評価された場合(※)、機関投資家が株を買ってくれるわけで、その結果が投資信託組入数や株価出来高として現れます。
(※アクティブに分析していないマーケットの評価よりもリスクプレミアムが低い株だと評価された場合)

投資信託の組み入れは、他社との相対感など複合的な要因に影響をうけますが、より本質的な指標となります。

株価はIRの評価指標にならないのか

結局IRが成功した結果として、株を買ってくれる投資家が増えるため、株価の上昇もIRの成果になりそうですが、IRの評価指標として株価を用いることはできないのでしょうか。

株価はマーケットが企業を評価した評価額ですが、前回のnoteに記載したとおり、企業価値はIRの成果以外の影響を大きく含みます。
また、株価が適正な企業価値を上回って上昇する場合、それはIRの失敗ですが、株価をIRの指標とすると闇雲に株価を上げるインセンティブが働くため指標として適切とは言えません。

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