IRのミッション

前回のnoteで、IRは具体的にどんなことをする仕事なのかざっくり解説しました。
では、IRのミッションは何でしょうか。
IR活動の究極の目的について考えてみます。

IRのミッション

IRのミッションは、資本市場において自社の企業価値を高めることであって、特に企業価値を以下の計算式で表したときの株主資本コストを下げることで企業価値を高めることです。

企業価値＝将来獲得するキャッシュの予想額÷株主資本コスト
（正確に記載すると、企業価値は将来FCFを加重平均資本コストで割り引いて非事業資産を加算することによって算出しますが、非事業資産や負債については割愛）

では、株主資本コストを分解してみましょう。

株主資本コスト＝リスクフリーレート＋β×リスクプレミアム

ここでリスクフリーレートは既定値であり、βは事業モデルによる影響が大きいので、現状の事業モデルで株主資本コストを下げるには、リスクプレミアムを下げる必要があります。

つまり、IRのミッションはリスクプレミアムを下げることを通して、企業価値を高めることといえます。

リスクプレミアムとは何か

リスクプレミアムとは、投資家が資金を安全な（リスクフリー）資産から、リスク資産に向ける際に要求する超過収益率のことです。
あなたの会社の株は、国債よりもリスクがあるので、その分高いリターンが期待できないといけないというときの、求めるリターンの差分のことです。
重要なことは、ここでいう「リスク」とは「危険」という意味ではなく、「ボラティリティ」を指しているということです。

つまり、リスクプレミアムを下げるには、ボラティリティを下げる必要があります。

ボラティリティを下げるには

ボラティリティを下げる最も有効な方法は、情報の非対称性を解消することです。そして、サプライズを起こさないことです。

そのために、定期的かつ本質的な投資家との対話を実現することがIRの最も重要な役割となります。
IRの具体的な業務については前のnoteに記載しているので、そちらをご覧ください。

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