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鈍感と敏感のバランス感覚

人間の脳のメカニズムというのは、視覚や聴覚など五感を通して入ってくる膨大な情報の全てを同時に処理することは出来ないため、「この情報は受け止める」「この情報は受け止めない」と一定のフィルターを介すことによって、脳への負荷を調整しているという話を聞いたことがあります。

個々人によって設定しているフィルターには違いがありますから、果たして同じ景色を見たり、同じ講義などを聴いたりしていても、人それぞれによって受け止める情報や量には差が生じます。

人は、その人の見たいものだけを見て、聴きたい話だけを聴くということですよね。

フィルターの設定状態が良いか悪いかは別として、フィルターを設けるという要素は、脳内における情報処理への負荷を軽減させてオーバーワークを防ぐためでもあります。

それでは、負荷が過重にかかり過ぎたらどうなるか。

負荷がかかり過ぎた精密機械同様に、情報処理をしきれなくなった脳は、一定以上の情報を遮断するのではないでしょうか。

パソコンだって、負荷がかかり過ぎると処理が追い付かなくなって画像もカクカクし始めます。

人間はどうなるかというと、心を閉ざすのだと思います。

つまり、脳における情報処理の状況が、心の制御を行っているのだと考えられます。

仕事をする上でも、それぞれが独自のフィルターを設定して情報処理を行っています。

向き合う現実から入ってくる様々な情報。

自分の担当する地域や拠点や部下たちの問題。

担当責任者であるからには、そこで起こる全ての問題は自分の問題として向き合うのが理想の向き合い方でもありますが、その全てに実際に自分ひとりが向き合う必要もありません。

ましてや、問題は際限なく発生しますから、その全てに同時に対応できるわけでもなく、重要なのか急ぎなのか、優先順位をつけて対応していく必要もありますし、本人や第三者に解決してもらえばいい問題も中にはあるでしょう。

上手く対応する人というのは、この全てを受け止めるのではなく、何を受け止めて何を受け流すか、いわばスルースキルというものを経験の中で身につけています。

鈍感力や放置力もスルースキルのひとつと言えるでしょう。

どこまでの現実を受け止めて受け入れるか。

ここのフィルターの設定をきっちりとしておかないと、現実から押し寄せる情報量の洪水に脳の処理は追い付かなくなり、結果心を閉ざすことにつながります。

偏見でしかないかもしれませんが、繊細過ぎる人は世界中で起こる不幸を受け止めて自滅していきます。

大震災のような災害が起こった際にも、自分の地域は直接的な影響は受けていないにもかかわらず、被災地のニュースを連日見聞きすることで、少しずつ心の制御が効かなくなっていく人もいます。

人間の心は脳が支えているのだと思います。

だからこそ、情報処理が追い付かなくなってきたら、少し脳を休ませるためにも、一旦自分ひとりで全てと向き合うことから距離を置いてみることです。

受け入れられない現実は受け入れない。

これもひとつのフィルターの設定方法です。

何でもかんでもオレを頼るな。
少しは頼る前に自分で考えてみろ。

オレひとりに現実に向き合わせるんじゃねえ。
少しはお前らも一緒に現実に向き合え。

これくらいのスタンスでいる人の方が、結果的には案外現実と上手く付き合っていくことが出来るのではないでしょうか。

もうひとつのフィルターの設定方法は、「一点集中」。

前述したように、向き合う問題の優先順位を定めたら、今日、今対応するのは「これだけ」と向き合う範囲と対象を明確にしてしまうことで、反対に余計な情報をシャットアウトすることが可能になると思います。

雑念を挿し込まない状況というのは、ある意味、他の情報を受け止めない状況でもあります。

仕事中でないにしても、仕事のことを思い出してしまうことで、自らの中に入れてしまった情報量で再び溺れることも起こり得ます。考え始めたら眠れなくなってしまう人もいるのではないでしょうか。

そうした時には筋トレなど考えなくて済む運動をしてしまうというのもひとつの方法ですよね。ハードワークをしたら肉体的にも疲労しますから、考えることなく眠りにつけて一石二鳥です。

いずれにしても、情報のシャワーを浴び続けないよう、独自の対処法を持っておくことが、健全な心の制御につながるのだと思います。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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