マガジンのカバー画像

添削エッセイ

7
文化・社会特殊講義という大学の講義では、毎回エッセイを提出し、教授に添削してもらいます。 先生からのアドバイスを元に、書き直したエッセイをまとめました。
運営しているクリエイター

#大学生日記

排外思想

排外思想

「韓国なんて最低よ!あの国はダメ。みんな頭がおかしいの!」
普段、虫も殺さないような心優しい祖母は、韓国の話題になった途端に豹変する。

テレビのニュースで国際問題を取り扱った時、
何気なく韓国ドラマの話をした時、
祖母の地雷を踏んだ途端、韓国大批判大会が始まってしまうのだ。

幼い頃は、適当に聞き流していたが、大学生になってからは、祖母の嫌韓に対して、とてつもない不快感を抱くようになった。

もっとみる
母の空気

母の空気

「雪奈、ただいま」

雪が降り、凍るような冷たい夜空の中、母は私をぎゅっと抱きしめる。
冷たい空気、冬の寒さを感じるたびに、私は母のことを思い出す。

共働きの家庭で育った私は、幼い頃から留守番をすることが多かった。
特別支援高等学校で教師をしている母は、残業が多く、帰宅するのはいつも22時を過ぎていた。

母は帰宅すると、一目散に私を抱きしめる。
外の冷たい空気が、部屋のぬくぬくとした空気と溶け

もっとみる
声

偶然の中で生きている。
それは必然であって偶然ではないから。
偶然の中で生きている僕はいう。
月が綺麗ですねって。

この曲は、大好きな高校の友達が、私のために作った曲の一節だ。
とても厳しかった吹奏楽部を3年間共に生き抜いた仲間であり、卒業してからも遠出をしたり、ご飯を食べに行ったりする旧知の仲である。

私は彼の歌に何度も救われている。

大学2回生の春、人生最大の失恋をした。
ボロボロの私は

もっとみる
もし

もし

大きな檻の中いっぱいに詰められたビキニ姿の女の子達。
私と同じ歳くらいか、もう少し若い子もいる。

激しいビートの洋楽が鳴り響く中、そんな彼女を舐め回すように見て、品定めをする観光客。
女の子の着る水着には、番号札が付けられており、男性客は気に入った番号をスタッフに伝える。

番号を呼ばれれば、知らない人と一夜を共にすることになるし、呼ばれなければポツンと檻の中に取り残されてしまう。

ここは、タ

もっとみる