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【メンバーシップ】村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」

こんばんは!
僕の頬に痣はありません!小栗義樹です。

また1週間が始まってしまいましたね(笑)
僕は今週から、越谷雑談がやてっくのコンテンツとなる「情報源」の確保に邁進するつもりでいます。

このあたりの話も、いずれはメンバーシップに書こうと思っているのですが、そろそろ「がやてっくというニュースメディアのこと」を赤裸々に書く場所を作りたいなって考えています。

毎日のほほんと更新している越谷雑談がやてっくですが、無意味なことはしたくない性格のため、そこにはちゃんと狙いや意図があります。当たっているかどうかは抜きにして、目的をもって書いています。

そういう目的や狙い、意図などを公開する場所、耳に入ってくる越谷の情報を思いっきりかける場所を作りたいなぁなんて思っています。まぁ、今はやることが沢山あって、なかなかそんな事をしている暇がないんですけどね(笑)

いずれそんな場所を作ったら、当アカウントでもご紹介させて頂ければと思っておりますので、その際はどうぞよろしくお願い致します。

それでは本題に参ります。

今回のメンバーシップは「読書感想文」を書かせて頂きます。

題材はコチラ。

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」

です。

こちらは以前、毎週水曜日に投稿している読書感想文でも取り上げさせて頂きましたが、メンバーシップ内でもう一度「本気の感想文」を書こうと思います。

読書感想文って、その時思ったことをひたすら綴るものだと思うんですけど、感情って必ずしも一辺倒ではないですよね。読んでいてこう思うと思いながらも、もう一方ではこういう思いもあるなんてことはザラで、本気で読めば読むほど沢山の感情が生まれるのが、読書の醍醐味なんだとも思います。

というわけで、前回書いたねじまき鳥クロニクル感想文とは違った、もう少しがっつり目の感想分をメンバーシップ内で披露させて頂ければと思います。

ちなみに、前回僕が書いた読書感想文では「好きではないけど面白い。好きじゃないのに読まされる文章力に圧倒される。対外向けすぎて拒否反応が出る」と書いています。

もしよければ、以前書いた感想文のURLを貼っておきます。良かったら読んでみてください。

前回の感想文では、ねじまき鳥クロニクルに対するスタンスを表明することがメインとなっていて、感想についてはあっさりと触れただけのような形になっています。

今回は、もう少しお話に触れたうえで所感を書いていこうと思います。

ねじまき鳥クロニクルは、将来に漠然とした迷いを抱く男性が、次々と奇怪な出来事に巻き込まれていくというお話です。具体的には、不思議な家系を持つ奥さんに突然逃げられる。近所の未成年の女の子と不思議な関係を築く・夫婦の仲を取り持ってくれた老人から知り合いを経て不思議な遺品をもらう・水を研究しているという姉妹に猫探しをきっかけに出会い、妹と夢想交配する・枯れた井戸を見つけて中に入り特殊能力を得る・意識の中で嫁の兄と心理戦を繰り広げるなどがあります。

読んだことが無い人からすると「こいつは何を言ってんだ?」となるかもしれませんが、ざっくり書くとこうなるんです(笑)

この作品を読むためにはいくつか知っておかないといけない情報があります。いや、知らないと状況把握が難しすぎて、今なんの話をしているのかが分からなくなるかもしれません。

このお話は、現代の物語(主人公の物語)と過去の物語(作中登場するキーマンの物語)がリンクしていく構造になっています。お話が進むにつれてリンクしていることが明らかになるのですが、それまでは話があっちこっちに散らばっているため、1つ1つの物語が誰のなんの話をしているかを整理しておかないと、処理する事すらできなくなってしまうのです。

僕は
・主人公の話
・クレタの話
・中尉の話
・シナモンの話
と分けて、主要人物の心情と狙いをざっくり把握した状態で読むようにしています。こうするとお話が分かりやすく、誰が何をしているかを理解することが出来ます。

誰がどのような物語を背負っているかが分かると、この複雑な構造のお話が、いかにきれいに収束しているかに気づいて、ちょっとビックリします。いや本当に、軽く引くレベルです(笑)

スーパー作家の作品にこんな言い方は失礼かもしれませんが、1つ1つのお話が「ちゃんと気になる・興味深い内容」になっているため、ページをめくる手を止めることが出来ません。

前回の感想文で「文章に圧倒されると書いた」のはこのことを指しています。当然、複数の物語がきれいに収束していくので、終盤の方が圧倒的に読みやすくなるんですけど、序盤の物語も丁寧で、気になる言葉がいくつも出てくるので、読みにくさが全然気にならないのです。

村上春樹の作品は、舞台がいいなと思います。リアルな日本の姿なんですけど、夏はとても夏らしいし、郊外はとても郊外らしい。これを文章で表されると、想像力が掻き立てられます。行ってみたいではなく、すでにそこにいるような感覚に陥るレベルです。これも物語も推進する大きな要素になっていると思います。

さて、ここからは僕が「面白いけど好きではない」と言った部分について書かせて頂きます。

面白いと思える要素は前述したとおりです。

ではなぜ好きではないのか?

僕、登場人物の気持ちがあまり理解できないんですよね。ねじまき鳥クロニクルは、主人公の視点で話が進みます。当然、主人公の心境・心情を噛みしめながら読み進めるんですけど、最初から最後まで主人公の感情が好きになれないんです。

妻が突然いなくなってしまう。妻は何度もSOSを発信する。これに気づけないのは仕方ないと思います。ついさっきまで平穏を生きていた人間が、あんな難解なSOSに気づけという方が無理です。

でもそれを差し引いたって、この主人公鈍感が過ぎるでしょ(笑)

時代背景的に、今ほどせかせかしていない人が多いのも分かります。にしたって、明らかに自分たちの平穏が蝕まれつつあるわけです。対処に向けて動かないのはどうかと思うし、とてもやり過ごせるレベルの不穏ではないように、僕は思ってしまうのです。

あと、自分の家で飼っている猫に自分が苦手で嫌いだと公言している妻の兄の名前を付けている意味も分からない。そういう無頓着で優柔不断な部分が、大きな緊急事態を招いているとしか思えないです。

そう。僕とこの主人公、単純に性格が合わないんです(笑)

まぁ、苦手を乗り越えることで成長やカタルシスが生まれるわけで、最終的にこの主人公に成長を付与するためには、こういう人格にする必要があったのかもしれませんが、ちょっと抵抗感がある主人公で、この人の視点で物語が進むから、読んでいる僕は「なぜ?」「どうして?」という疑問を孕んだまま、物語を進めていかないといけないわけです。

今は主人公だけを例にあげましたが、他の登場人物の心情も理解できません。というか、分かりたくないというのが本音です。

僕が唯一「カッコ良い」と思える存在は間宮中尉です。この人、主人公の前世?というか先代みたいな立ち位置で描かれているのですが、さすがに生死の境をさまようような舞台で生きているため、臨場感もあるし考えがシャープです。

現代人に、この死生観を理解するのは難しいかもしれませんが、現代の生活と照らし合わせると、非常に共感できる部分が多くあると思います。

僕がこの物語を好きになれない部分。前回の記事で対外的すぎてちょっと・・・と書いたことももう少し深く書こうと思います。

この物語は、過去と現在の物語が交錯するだけでなく、現実と非現実の境界線が非常にあいまいです。加えて、国の運営体制に対する考えなど、イデオロギーが強めです。

ねじまき鳥クロニクルは、人間は意識や精神世界の中で1つの共同体であるという考え方があるという事を知らないと、なぜ精神世界みたいな場所でいくつかのやり取りが発生するのかが分かりません。

非常に全体主義的な考え方です。簡単に言えば、人類補完計画みたいなものだと思ってもらえればいいのでしょう。

そこには異文化交流における消極性や教育に関する行き詰まりなど、村上春樹が考える「日本が抱える様々な問題点」と「さらなる発展のためのいくつかの提案」が含まれていると思われます。そう解釈することも出来るという話です

問題や課題についてを取り上げるつもりはありませんが、個人の視点から見た課題と打開策が含まれている以上、それに賛成できる否かで好き/嫌いが分かれるのは事実だと思います。僕は、その問題や打開策は分かるけど、文学で追体験したいのはそこじゃないと思うので、この物語が好きになれないわけです。

もう1つ、僕の好きな村上春樹の作品は「人間の内面と心情をとことんまで追いかけたもの」なんです。ノルウェイの森ってそうじゃないですか?あそこまで純粋な恋愛を本で読めるってむちゃくちゃ贅沢だと思うんです。

回転木馬のデッド・ヒートなんかも、人らしさが反映されていて、僕が好きなのはそういう作品なものですから、ねじまき鳥クロニクルは、ちょっと対外的だなぁと思えてしまうのです。

もちろん、登場人物の内面変化と対外的な部分を両立させた上で、あらゆる問題を提起したこの作品が、すごい作品であるのは間違いないと思います。でも、これは最終的に好みになっちゃうんですけど、僕はノルウェイの森なんかにみられる、人間を描いた作品の方が好きなんです。

ただ、読み応えがある面白い作品であるのは間違いありません。近代から現代にかけての日本の問題を明るみにした作品であり、現に日本は今、ねじまき鳥クロニクルに登場した問題に苦戦を強いられていると思いますから。

もし興味があれば、読んでみてほしい・・・とは言いません(笑)
だって、めちゃくちゃ複雑だもん(笑)

中身や物語の意味を知りたいというのであれば、まとめサイトとか考察サイトを読めばいいですし、動画の朗読なんかで流し聞きとするのもありではないでしょうか?

文豪:村上春樹の、圧倒的な文章の力を体感してみたいと思う方がいれば、ぜひ読んでみてほしいなと思います。

趣が違うので比べる必要はありませんが、文章能力で言えば、ラノベの比ではありませんから(笑)

というわけで、本日はこの辺で失礼いたします。
また明日の記事でお会いしましょう!
さようなら~

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